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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol.62 「間違いだらけ」のシニアマーケティング① 【とにかく「シニア」はNGワード】

そもそも「シニア」とは?
少子高齢化と言われて久しい日本ですが、人口ボリューム、つまりマーケットの規模が大きいのに、「シニアビジネス」はなかなか難しいと言われています。普段なにげに使っているシニアと言う言葉ですが、そもそも「シニア」とはどう言う意味でしょうか?

シニアとは「年長者・先輩・先住者・上官」を意味します。しかしその年齢の定義はバラバラです。シニアと同様に使われる言葉が「高齢者」ですが、WHO(世界保険機構)では65歳以上と定めています。65歳から74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と定義しています。
こうした定義づけはありますが、私の現場感覚では概ね「60歳以上」、場合によっては「50歳以上」をシニアと呼んでいる感じがします。

日本のビジネスは「50歳以上十把一絡げ」か?
テレビの視聴率調査はビデオリサーチが行っていますが、視聴者の年齢区分を分けています。この区分は以下のように分けられています。
●「C(Child)」=男女4~12才
●「T(Teen)」=男女13~19才
●「M1」=男性20~34才 「F1」=女性20~34才
●「M2」=男性35~49才 「F2」=女性35~49才
●「M3」=男性50才以上 「F3」=女性50才以上
何と、50歳以上は一括りなんですね。

またシニア調査で毎年代表的に紹介されている某保険会社の「シニアの生活意識調査」の対象は、全国のシニア(50歳~79歳)男女1,000名と、親子ほど年齢差がある人が対象で、「シニアの楽しみはやっぱり旅行だった!」と記していますが、「現在の楽しみは何ですか?」と選択肢の複数回答であれば、おおよそ誰でも旅行にチェックを入れます。
来年になると、日本の人口は「50歳以上過半数」になりますが、この現状ではシニアビジネスがうまく行くとはとても思えません。

「実年齢」と「主観年齢」の違い
以前にも当コラムでお話ししましたが、年齢には実際の年齢「実年齢」と、本人が感じている気持ち年齢「主観年齢」があります。私は2020年の1月に首都圏在住の50歳~64歳男女500名にアンケート調査を実施しましたが、主観年齢は実年齢より平均で「マイナス6歳」で、また「マイナス10歳から20歳」と回答した人も半数近くおり、年齢相応と感じている人と、年齢より若いと感じている人が二極化していました。また「言葉」に対するイメージも聞きました。プラスイメージを感じるのは「前向きな気持ち・若さ・外見美の印象」「大人向け」という言葉が多く、一方で「高齢者」や「シニア(向け)」「おじさん・おばさん」という言葉はマイナスの印象が強いという結果でした。

そして半数以上の人が、現在の「シニア向け商品」には抵抗を持ち、「自分たちが買う商品と思っていない」ことも判りました。

とにかく「シニア」はNGワード
私は様々な企業の方に対して、「シニア」はビジネス用語で「高齢者」はお役所用語。顧客に向けたネーミングや、広告コピーでは絶対に「NGワード」で、使用しないようにと伝えています。ターゲットである当事者は、シニアや高齢者という言われ方に多分に違和感を持ち、良い印象はありません。同じ内容を伝えても、使う「言葉」によって、受け手の「印象」が随分と異なってしまうのです。

例えば「若々しい」という言葉をシニア向け商材のコピーでよく見かけますが、これは若い世代の人が年齢を重ねた人を見て「年齢より若く見える」ことを意味している感じです。当事者同士の日常会話で「鈴木さんは若々しいですね!」とは言いません。普通に「お若いですね」とか「若い!」と会話します。印象として「若々しい」という言葉は、それだけで高齢者をイメージさせてしまっているのではないでしょうか?

印象創りで「ブルーオーシャン」を!
やはり、言葉が与える「印象」から感じ取ることで、人間の「気分」はとても大きく左右されるのです。

今もある仕事で、年齢層で言えば50代から60代前半に向けたサービス商材の企画に携わっていますが、クライアントの現場に携わっている方の年齢層が50歳以下でチーム構成されていますので、ミーティングで「シニア」と言う言葉を使うと、彼らの中で自然と年齢層が上振れし、具体的な施策の世界観や印象がもっと上世代に向けた感じになってしまい、その都度私は修正を図っています。それだけ「シニア」という言葉は、「お年寄り」などのネガティブなイメージを帯びてしまっているのが事実です。

「サザエさん」のお父さん磯野波平さんは、昭和44年のアニメ開始時点で54歳の設定ですが、当時の日本人男性の平均寿命は69歳でした。平均寿命が大きく伸びて、「人生100年時代」と言われるようにもなった今、従来の「シニア」イメージは大きく変わっています。

ところが実際のシニアビジネス、シニアマーケティングは、こうした実態を反映せずに今までの「シニア=高齢者=お年寄り」に対する固定観念が拭い去れません。

しかし、逆に考えればこうした当事者世代の実態や気持ちを反映することにより、従来のシニアマーケティングとは大きく異なる「ブルーオーシャン」を捉えることが可能です。

次回からこうしたポイントを分かりやすくお伝えします。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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