JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

最新セミナー・イベント情報
お申込みはこちら

CSからCXの時代へ

コールセンターの老舗の挑戦
これからはそれぞれの企業が当たり前に、お客様と並走する時代。それを痛感する。そう思ったきっかけは、先日、トランスコスモスの執行役員 所年雄さんが『最近、重要視しているのはCSではなくむしろCXの方だ』と言及したからであった。

語弊を恐れずいうならば、彼らはコールセンターの老舗でありながら、最近、やけにデジタルの要素も強くて、何をやっているか掴めない感じもする。でも、それはそのまま、彼らにとっては今のままではいけないという危機感の表れで、挑戦しているからなのだ。

その変貌を紐解けば、今という時代が見えてくるのではないか。そう思って2022年は一体どんな会社になるのだろうと彼に直撃したのである。

コールセンターがテクノロジーの力をつける?
どうやら、トランスコスモスの最近のテーマは「社員一人一人がテクノロジーの力をつける」ということのようで、それに直結してくるのがCSとCXに関する話。

順当に考えれば、トランスコスモスはコールセンターだから「CS」つまり「カスタマーサービス」を強化すべきなのに、CX(カスタマー・エクスペリエンス)が大事だとするその心の中に何があるのか。すると、所さんはこんな話をしてくれた。

例えば、彼らは10年前からコールセンターでのやりとりをもとにして、現場の生産性を高めるために「FAQマネージメント」といったサービスを提供している。それはそれで現状、多くの企業に歓迎されているのだけど、それで満足していては「時代遅れ」だと指摘する。

CSでは既に問題が起きている
ズバリ「CS」の課題は「既に問題が起きている」ということにある。

勿論、どんな企業でもコールセンターの存在は必要で、お客様とダイレクトに向き合う拠点だからそこで対応が大事で、その内容が評価されて今がある。
ただ、一方で企業は全体を俯瞰して見れば、そもそもそういう問題発生を無くしていこうとする動きが生まれていて、そこでテクノロジーの活用が一役買っている。特に、家電用品などがその傾向が強い。

例えば、洗濯機。洗濯機は実は故障の前兆として、音に変化が現れることがわかっていて、一部のメーカーはそこにセンサーを内蔵し、その前兆となる音が察知されたときには、その段階でコンタクトセンターに連絡が入るようにしていく構えであるという。

そうなった時に、感覚がCSでは太刀打ちできない。

CXを取りに行く為テクノロジーを学ぶ
だから、逆に彼らは先回りする。

彼ら自体システム会社ではないので、寧ろセンサーなど必要なシステムはそういう専門家たる企業に任せる。その代わり、彼らはそういう会社と連携して自らはコンタクトセンターという強みを提供し、それらをセットにするわけだ。そこで自ら窓口となって、CXの価値を底上げするサービスを家電メーカーに提示していけば、彼らは自らの強みを進化させたことになる。

なるほど。だから、彼らもテクノロジーを学ばないといけない。一見すると、コールセンターとはかけ離れているようで、結果、コールセンタの価値を活かすためにそれが必要なことがよくわかる。

そう考えていくと、これからの時代というのは、ものづくりも変わっていくに違いない。作って終わりという感覚では通用せず、いかにしてお客様とつながっていくかの視点が大事になる。

もはや家電はデバイスだ
特に、所さんが教えてくれたところでいうと、シャープの動きなどはかなり積極的。最近、発表されたものでは、スマホと冷蔵庫、自動調理鍋をWiFiで紐づけて操作すると、冷蔵庫のディスプレイから「オススメ」レシピが出てくるそうだ。

しかもその材料を「ヘルシオ ホットクック(自動調理鍋)」に入れると調理ができることまで教えてくれて、自然とその企業の関連家電を利用するように、連動している。

また、これを可能にしているのは、まさにスマホが連携しているから。その家庭の皆の情報がそこに蓄積されていて「最近作っていないのはこの材料のこのレシピ」という具合に、提示してくれれば、そのファミリーにとって欠かせぬデバイスである。

ずっと顧客と寄り添う商品の時代へ
繰り返すが、ものとお客様がそこまで密接になったときに、コールセンターとして何ができるのか。その答えが顧客体験(CX)をどれだけ向上できるか、という課題を企業と共に考え、お客様と寄り添うことである。

だから、彼らが自らデジタルを学び、そして、自らの強みを今とは違った使い方として進化させる中で活かす。それを一言で「CSではなくCX」と語るところに、新時代を感じる、というわけである。

キーになっているのは「情報」だろう。ものづくりも、こうやってデータをテコにお客様と並走していくことが前提となるとなると、勿論、商品を売っているお店は、当たり前に、お客様との関係構築を、より長く、継続できるかを考えるべき。新規顧客を追い求めるだけではなく、既存顧客といかにして並走するかを考えることは、時代の必然とも言える。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


 - JECCICA記事, お知らせ, その他, コラム, ニュース

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

Copyright© JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会 , 2022 All Rights Reserved.s