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ネット広告の成果激減、iOS14.5 の衝撃と対策

ネット広告業界が震撼するiOS14.5の衝撃
2021年5月某日、5年愛用した iPhone X が ”バッテリー交換せよ”のメッセージとともにマスク着用でもOKなはずの顔認証が故障、修理代7万円コースです。「いたしかたなく」 新たにiPhone 12 ミニ をゲット。12のなかでもミニは、銘記 iPhone5よりも少し大きいものの、ケース無しでも落としにくい「グリップ感」が購入の決め手です。さらにモバイルバッテリーもマグネットだからケーブル無しでストレスフリー。

と、軽〜い話題でツカんだところで今日の本題です。

・・・このままだと、「許可」は押さないですよね。実際、許可を押している人達は約25%程度とのこと。まだ影響はiPhoneユーザの15%程度とのことですが、これからドンドン増えて行きます。(詳細後述)もともとは、ヨーロッパ圏で厳しい罰金が課される個人情報保護法の「GDPR( EU一般データ保護規則)」に起因しています。

では、どうしてこれが「ネット広告業界が震撼する」かというと、理由は3つです。

1)たとえばiPhoneユーザへのFacebookリマーケティング広告が壊滅状態に
2)ビュースルーコンバージョンがカウントできない
(つまり、それによるコンバージョン最適化が不可能となる)
3)「個人が特定できる」情報を元にした広告配信ができなくなる

特に大きく影響を受けるのは、Facebook広告とYouTube広告でしょう。

1)2)については、致命的としか言いようがありません。一方、3)については、現場で混同しているケースを見かけますが「化粧品に興味があると思われるfacebookユーザ」など「個人が特定できない【群】」に対するターゲティング広告は、IPやクッキーで特定しているわけではないのでGDPR的にOKなので従来通り可能です。制限を受けるのはあくまで「個人が特定できる」ターゲティング広告です。

ちなみに先ほどご紹介した許可ボタンの画面を「ATTプロンプト」と呼びます。この機能自体がリリースされたのは、2021年4月26日公開の iOS 14.5 からです。告知自体は昨年からありましたが、いよいよ公開スタートとなったわけです。現時点ではややゆっくりではありますが、iOS14.5以降のOSはiPhoneユーザの中で確実にシェアを伸ばしつつあります。現在約15%のユーザがiOS 14.5以上にアップデートしており、ATTプロンプトが表示された場合、約86%は「許可しない」を押しているようです。(250万人のデイリーユーザに対する調査 iOS14.5対象 FLURRY 2021/5/25)

そんな事情で、サクッと古いiPhoneと新しいiPhoneを同期してFacebookアプリを起動するとこんなポップアップ画面が登場。

3つの「パーティ」を把握しておく
ここで今後、今まで以上に「3つのパーティ」を理解しておく場面が予想されますので、おさらいです。

・ファースト・パーティ・データ・・・自社(ドメイン)が収集したデータ。
・セカンド・パーティ・データ・・・他社(ドメイン)が収集したデータ。
・サード・パーティ・データ・・・自社(ドメイン)以外から収集したデータ。

つまり、サード・パーティー・クッキー(3Pクッキー)とは、自社ドメイン以外で収集したデータのうち「クッキー」を指しています。たとえば issun.com の広告を、facebook.comで収集されたクッキーデータを元にfacebook上でターゲティング広告を実施する場合などです。ちなみに、最近目にする「ゼロ・パーティ・データ」はファースト・パーティ・データの一種とかんがえておけば良いと思います。

つまり、IDFA(アップルが各個人の端末に割り当てるID:Identifier for Advertisers) が利用制限されたり、リマーケが不可能、3Pクッキーでのコンバージョン計測ができないなど、広告成果が劇的に悪化することが予想されるわけであります。

試しに弊社のグーグル・アナリティクスで確認したところ、iOS15.xはいつもよりアップデートの伸びが悪いことがわかります。アップル側も慎重に、なんらかのコントロールをおこなっているように感じます。

とるべき対策
ではなにを行っておけば良いか。
手っ取り早いのは、影響を受けないアンドロイド・スマホに特化して広告をすれば良いわけですが、やっぱりiPhone市場は大きいので、良い手とは言い難いです。そこで、特に影響が大きい Facebook(Instagram)広告とYouTube広告上で、弊社広告チームがGoogleやFacebookとMTGを繰り返しながら行っているタスクリストの一部を共有しておきますのでチェックしてみてください。

・facebookのドメイン認証
facebookが発行するタグをトップページに埋め込んだあと、facebook ビジネスマネージャから申請して、ドメインあたり8件のコンバージョンイベントに変更すればOKです。詳しくはヘルプを参照してください。

・YouTube広告のサイトワイドタグの実装
YouTube広告(Google広告)の回避方法としては「サイトワイドタグ」の実装です。つまり昔から使っている「コンバージョンタグ」を直貼りしている場合は、今すぐタグマネージャか gtag.jsを使って回避すべきです。特にGTM / gtag を利用した コンバージョントラッキングが 正確に行われるための各種設定を完了していることが必須条件となります。さらにこれらが関連ドメインすべてに実装されているかのチェックも必要です。ちなみに、Googleでは2022年以降はChromeでのサードパーティクッキー取得を廃止して、代わりにGoogleの機械学習を中心としたテクノロジーで代替する予定です。

・その他の手法を試す
ただ、こうした策を打ったとしても代替技術が確立するまではiOSユーザへの効果的な広告の一部が制限を受け続けることには変わりはありません。広告によっては全くお手上げの状態になるケースも出ています。こうした流れから、現在各社、代替技術を模索中ですが、プライバシーを侵害せず、ユーザの利便性を考慮したコンバージョン獲得のためのサービスが注目を浴びています。たとえば、個人的に注目しているサービスの一つとして、トランスコスモスの柏木さんがジェシカ定例オンラインディスカッションでお話くださった「Hero」というサービスは、ユーザの満足度を高めながら今までに無い購入体験を提供できる可能性があります。ご興味のある方はぜひチェックされてみてください。
(https://www.usehero.com/ja/)

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 宮松 利博

得意分野/Eコマースの立ち上げ・販売拡大
※弊社はGoogle社およびFacebook社から上位数%の優良代理店として認定を受けており、各社と個別MTGを定期的におこないながら常時ベストな対応を模索しています。1998年に公開したフリーウェアがヒット。その知見で開発した商品が大手ECコンテストで12部門受賞、3年で年商20億円に(現ライザップ)。上場と同時に保有株を売却し、ECコンサルティング会社を立ちあげ、業界No.1クライアントを多数抱える。日本イーコマース学会専務理事。


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