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圧倒!体制を整える前でも、まずやってみるという中国勢の勢い!

先月号では、中国系ECプラットフォームの今後の伸びが気になるなどというのんびりした記載で締めてしまいましたが、2024年2月27日の日本経済新聞の記事で、中国系ECプラットフォームの1つTemuの1月度の日本における月間利用者数が1550万人にまでのぼり、国内総合EC大手3社、Amazonショッピング、楽天市場、Yahoo!ショッピングの平均利用者数(約2970万人)の52%に達したという記事が掲載されたのには皆様も驚かれたのではないでしょうか。

Temuは2023年7月に日本でのサービスを本格開始したサービスですので、サービス開始からたった約半年でこの数字。データ分析のヴァリューズによると、毎月約220万人ずつ会員数を増やしており、アプリ利用者数と公式サイト訪問数を合算したユーザー数については、サービス開始から4か月の時点で、なんと2,500万人近くにまでのぼっているとのことです。

Temuより早く日本で本格活動を始めているSHEINはTemuに先駆けて勢いを伸ばしており、ヴァリューズの発表によると2024年1月時点のSHEINアプリの利用者数は839万人にまで至っています。テレビなどでおなじみのZOZOTOWNのアプリ利用者数が242万人ですので、その差のひらきは歴然です。

SHEINの日本国内での本格稼働開始は2020年12月。そこから4年間で800万強のアプリ利用者を集めているということ自体もすごいですが、この数字がリリース直後など短期的に集まった数字ではなく、年々飛躍的に増えている(直近1年の利用者数増加率が200%以上)という伸び率であることには恐怖すら覚えます。市場の動きからすると、今後も加速度的に国内市場を拡大させていく可能性は十分にありそうです。

こういった海外勢力の勢いが激しくなると焦りを感じるのはどこの国も同じで、日本よりも先に中国勢の活動が活発化した韓国では、2024年3月6日、公正取引委員会が急遽アリババの展開するAliExpressの韓国法人アリコリア社に対し、消費者保護義務違反の疑いがあるとして調査に着手したと韓国各紙で報道されました。

韓国ではアリババの展開するAliExpressが人気を集めており、データ分析のワイズアップ社によると2024年2月現在AliExpressアプリ利用者数は818万人にまで達しています。韓国の国民数が日本の約半数(約5100万人)であることから考えると、その利用率の高さは驚きです。

公正取引委員会がアリコリアの調査に乗り出すこととなった経緯としては、AliExpress関連の消費者相談件数が急増している背景があると新聞には記載がありましたが、韓国消費者院の公表情報をみてみると「2023年のAliExpress関連の消費者相談件数は673件に上り、2022年の相談件数228件に比べて約3倍にまで増加した」とあるものの、全体利用者数から比較するとその件数はかなり低く感じられます。それだけ韓国国内のシェアが奪われることに対する焦りとも見えるのは歪みでしょうか。

2018年~2024年1月 韓国 AliExpress関連消費者相談および被害救済受付現況

区分 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 小計 2024年1月 合計
消費者相談 件数 7 52 88 133 228 673 1,181 212 1,393
被害救済 件数 3 30 30 36 69
金額 2,623,515 2,623,515 3,074,378 5,697,893

※ AliExpressを照会した件数(2024.2.26 照会基準)
金額は被害救済処理金額基準(但、2024年の場合2.26 基準で作成した金額/単位ウォン)
※元表出典:天地日報 (https://www.newscj.com/news/articleView.html?idxno=3114588)

AliExpress自体はプラットフォーム(モール)であり、消費者からの各クレームはAliExpressに参加する各店舗の問題であろうと思われますが、今回は、カスタマーセンターがない、返品が拒否されるなど、そもそもの基本的な電子商取引の安全確保ができていない体制であるという指摘が調査対象となったといわれています。

しかしそんな措置にも負けないのも中国勢の強さ。最近では食品に関しても取り扱いも始めるといわれており、韓国内に自社在庫を抱えない越境スタイルで生鮮食品販売にも着手し始めるというチャレンジャー精神は中国ならではとしか言いようがありません。

また、韓国消費者からの苦情が増えているというニュースが流れても、利用者が減少したというニュースがないことを見ると、多くの利用者が満足して(納得して)利用しているのではないでしょうか。

まず現地の法律を調べて想定リスクを洗い出して対策案を練ってから・・・とすべて慎重に進める日本式のビジネスに慣れてしまうと、この“体制を整える前でもまずやってみる”という中国勢の勢いには圧倒されますが、最終的に「利用者がどれだけ満足するか」に帰結するという点はどの国でのビジネスでも同じこと。私たちも私たちなりの強みを生かして頑張っていきましょう。

JECCICA客員講師 酒井 愛子

JECCICA客員講師 酒井 愛子

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