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楽天の「共通の送料無料ライン」の未来は?

いよいよ3月18日から楽天にて、3,980円以上という「共通の送料無料ライン」が導入される。離島は、9,800円以上と変更されたものの、「共通の送料無料ライン」の導入により、楽天市場の売上は、伸びるのでしょうか?

楽天が「共通の送料無料ライン」の導入に踏み切った一番の要因は、南米のECモール「メルカドリブレ」が、2017年から同様の施策を実施し、売上が伸びたという実例があったこと。

楽天の「共通の送料無料ライン」の未来は

ここ数年で、利用者数をAmazonに抜かれた、楽天市場としては、送料をわかりやすく統一するということは、楽天市場を利用するお客様にとってのメリットは大きいかもしれませんが、出店者にとっては、送料の負担が増すケースもあり、必ずしもメリットがある施策とはいえません。

出店者によっては、送料を商品代金に加算することでしか利益を出せなくなるケースもあり、結果にYahoo!ショッピングなど、他のモールを比較して、販売価格が高くなり、楽天市場の競争力が削がれるという可能性もありますので、「共通の送料無料ライン」の導入は、諸刃の剣と言えるかもしれません。

一度頓挫した楽天の物流事業を「楽天スーパーロジスティクス」として再開し、「共通の送料無料ライン」を武器に、自前の倉庫と配送で巻き返したいところでありますが、Amazonのように1商品からFBAを利用し、配送からサポートまでもAmazonに委託できる環境を、今すぐ楽天が用意できるわけではありませんので、その点でも心配です。

もともと楽天市場は、出店形式のモールとして誕生し、「Shopping is Entertainment!」を理念にスタートしたサービス。それが、出品形式のマーケットプレイスを提供するAmazonと同じことをやったとしても、二番煎じになり、商品の価格やポイントなど、お得さだけを武器に商品を販売する売り場になってしまうのではないでしょうか。

生鮮食品やギフト商材など、まだまだAmazonより強いジャンルのある楽天市場。Amazonができないで、楽天市場だけができる販売方法も同時に考えてみると、「共通の送料無料ライン」以外の打開策も見つかるかもしれません。

例えば、楽天市場は、仮想商店街として、同じ商店街で同じ商品を販売しあうショップが集まることで、お客様も増え、売上を伸ばしてきたわけですからAmazonのように1商品1商品ページで、出品者がカートボックスの獲得を競うのではなく、ショップ同士がそれぞれの販売ページやメルマガ、SNSで商品を紹介し合うことで、利益を分配できる仕組みであったり、単純に価格で比較されない個数やグラムなどの従量で価格が変動する売り方、賞味期限が近づくにつれて料金が変動する買い物かごを提供するというのも面白いかもしれません。

また、昨今のさくらレビュー問題の打開策としては、既存のみんなのレビューやROOMなどと違い、実名のレビューを募集し、そのレビューから販売につながった場合は、レビューアーにアフィリエイト報酬を支払うという方法も、納得感のないアフィリエイト料率を改定より、出店者からの理解は得やすいかもしれません。

コンビニ業界の24時間営業が見直されるように、楽天も、楽天市場全体の売上だけではなく、出店者の売上、利益に目を向けて、ビジネスモデルを見直す時だと思いますので、お買い物マラソンやスーパーSALEなどのイベントを繰り返し、RPPなどクリック単価が高い広告を広めるだけではなく、同時にイベントに参加し、広告を利用しているお店が、本当に儲かっているのかに目を向けてもらえることに期待したいと思います。

また、Amazonは、広告としてレビューを集めるプログラムも開始し、ベンダー向けだったAmazonVineもマーケットプレイスのブランドストアにも提供を開始するなど、次々と手を打ち、更に出品者の売上を上げるため、コンサルティングも強化するという動きもあります。

JECCICA客員講師

JECCICA特別講師 清水 将平

EC得意分野/楽天などモール出店ショップ支援
日本ECサービス株式会社 代表取締役社長 ECマーケター。元楽天ECコンサルタントとして数千店舗を担当。独立後、月商数千万円規模のショップをメインに会員制サービス「ECマスターズ」を運営。


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