広告の効果測定において「LTV分析」の重要性が高まっている理由
今回は、広告の費用対効果を測定する際、CPA(獲得単価)だけに囚われてしまうと広告戦略に失敗する可能性があることをお伝えします。
広告効果測定の指標は適切か?
最近、ウェブ広告を出稿しているEC事業者から、「広告費の費用対効果が合わなくなった」という悩みを聞くことが多くなりました。特に美容健康商材のEC業界はレッドオーシャンとなっており、以前と比べて顧客獲得単価が上がっているのは間違いないでしょう。EC業界全体で見ても、以前と比べればウェブ広告の費用対効果は下がっているかもしれません。しかし、本当に全ての広告の費用対効果が合わなくなっているのでしょうか。実は、弊社お客様の広告の費用対効果を調査・分析したところ、効果測定の際に用いる指標の選び方次第で、広告効果の評価が大きく変わることが分かりました。
CPAとLTVでは費用対効果の評価が異なる
そのお客様は美容健康系のメーカーなのですが、化粧品や健康食品のメーカーは同一ジャンルに大量の広告を出し続けており、広告出稿の初月のCPAだけを見ると、費用対効果が合わなくなってきているのは明白でした。しかし、CPAが悪くても、LTV(ライフ・タイム・バリュー、顧客の生涯価値)を分析してみると、実は費用対効果が高い場合があったのです。CPAは初回購入者の獲得への投資額を算出するため、その顧客の2回目以降の購入実績は加味されません。一方、LTVを指標にした場合、リピートやアップセル、クロスセルなどを含む「顧客一人が生涯に渡り生み出した利益」で広告効果を評価します。そのため、LTVを分析すると、CPAとは全く異なる費用対効果が判明する場合も珍しくありません。
商品や媒体ごとにLTVを分析
LTVを分析する際は、商品や媒体ごとに分析を行うことが重要です。商品や媒体ごとに分析することで、商品と、数ある広告媒体の相性が分かります。例えば、商品Aの広告を媒体Zに掲載したときの費用対効果が悪くても、商品Bの広告を媒体Zに掲載すると費用対効果が抜群に良いことがあるのです。ECの競争激化が進む中、このようなきめ細かいLTV分析は今後、ますます重要になるはずです。また、LTVを分析する上で、販売方法として定期購入のプランを打ち出すことも有効です。顧客一人当たりの平均継続率など重要指標を把握しやすくなるためです。
LTV分析はシステム化が必須
LTVを分析するには膨大な購買データを管理・分析する必要があります。エクセルなどを使って手作業でデータを処理していては、事業規模が大きくなるにつれて作業負担が重くなり、いずれ行き詰まるでしょう。一つの解決策として、ECサイト構築システムを選ぶ際に、LTVの分析機能が標準搭載されているものを選ぶことをお勧めします。何時でも何処でも、LTVの分析結果が自動で計算され、管理者が寝転がりながら管理画面を確認できるぐらい簡単である方が良いと思います。LTV分析を簡単に行える環境を整えて、LTV分析を習慣付けることが大切ではないでしょうか。
時代の流れに応じて環境を整える
過去と今では同じ広告の費用対効果が変化し続けています。競争率が高くなるジャンルは競合が価格を押し上げ広告費が高騰する。結果、過去と比べると費用対効果が下がる傾向があります。その打開策としてLTVを軸にしたリピート戦略を取り入れることで解決することが多いです。LTVを稼ぐには消費するリピート商品が必要で、買い切りの商品は該当しません。このご時世を勝ち続けるには、通販サイトで新規顧客を獲得した後の導線として、リピートしていただける商品を販売することが必須不可欠です。定期購入機能を利用して、リピート商品を決められた間隔毎に自動決済をして、商品発送する仕組みが一部の通販事業者の中では流行りの戦略です。自社が持つ主力商品の平均LTVを理解することで、獲得上限単価を決められるので広告費投下が怖くなくなりますね。
定期購入機能を有効活用する
利益率が高い自社商品や、仕入れが安い商品のゴール地点を定期購入に設定することで、安定的な収益を確保することが出来ます。リピートする商品を都度購入いただくよりも定期購入機能で毎月お届けする仕組みを取り入れていただくほうが年間LTVが高くなるデータがあります。定期購入を離脱する時期には離脱防止施策キャンペーンを打つことで解約率を下げることも出来ますし、解約希望の連絡時にお悩み相談を受けることで、再び定期購入に戻ることもあるのです。
まとめ
・広告効果測定はCPAだけではなく、LTVで測定すると違う角度から広告効果測定が可能です。
・運営方法1つで会社の業績は大きく伸ばせるので、LTVを重視した戦略を取り入れることをお勧めします。
・LTV分析をするためのシステムを導入すると非常に便利です。
・リピート商品を販売してLTVを稼ぐことができます。
・定期購入機能で安定的収益を確保することができます。
FID 代表取締役 和田聖翔
1984年富山県生まれ。
2011年10月株式会社FIDを設立。
2013年5月ショッピングカートASPサービス「侍カート」の提供開始
2016年8月フルフィルメントサービスを開始。
EC事業者の総合支援企業として活動中。