2016年 年頭所感《JECCICA理事 小林 亮介》
JECCICA理事・特別講師 小林 亮介
あけましておめでとうございます。
JECCICA理事の小林亮介でございます。
2015年、日本経済を索引するEC業界での一番の印象は、顧客接客度を上げるということに時代のベクトルがシフトしてきていることでした。
消費者も賢い買い物をするようになってきた消費者が成長した年でもあると言えます。
ではECの視点からであるとどのような改革が行われてきたのかといいいますと私は大きく分けて3つあると考えております。
⑴ 顧客分析ツールの普及
CRMという言葉が認知されはじめ、分析のツールが多くでてきてWEBマーケティング企業はこぞってCRMという言葉を入れはじめました。メルマガをターゲット分けせずに送り続けてきたEC企業も、顧客を振分け内容を変更するようになって参りました。
⑵ チャットツールの普及
中国のECではチャットが当たり前のように、接客ツール・値切り交渉などに使用されております。
数年前にもチャットのツールはちらほらありましたが、タグを入れるだけで簡単な接客ツールとして安価でクオリティの高い接客ができるチャットツールもでて参りました。
電話での表記も多くなってきているのも印象的です。
⑶ 物流宅配網からの脱却
大手EC企業は、ヤマト運輸・佐川急便・日本郵政に頼らない自社配送網を持つ動きをはじめました。
東京の目黒区・世田谷区などまだまだエリアは狭いですが楽天の「楽びん」をはじめ、オイシックスも新物流センターより自社配送をはじめました。
又宅配BOXの普及も宅配会社と接触をせず、自分の良い時間 に取りに行くことができるという消費者心理への対応です。
この3つの動きは、EC業界にとって大きな第一歩と言えます。
テクニック的な広告施策から、顧客接客向上の為への施策が増えてきているということ。
物流宅配網は特に自社配送網で配達するという15年以上の配送方法へと戻ってきております。
これは、時代を遡っているということではなく、「インターネットで商品・サービスを購入する消費者の心理の変化」によるものであると私は考えます。
ECでは、
「商品を作り(もしくは仕入れ)→ 商品を店にだし → 商品に広告を打ち → 商品を購入してもらい → 商品をお届けする」
この商品をお届けするところまで、消費者のニーズに合わせるという時代に突入したという事なのです。
その背景には、
「ECだから自分の好きな時間にこない」
「ECだから顧客に直接渡すことはない。」
「ECだから電話対応はない。」
「ECだから届くまで商品がわからない」
という時代ではなく、
【ECはリアル店舗と変わらない評価になった】
ということであると思います。
総ずると【ECはIT事業ではなく、接客業である】ということを多くのEC企業様がいち早く感じ取り、施策を打っていく必要がある。
私はこう考えます。
特に越境ECという事が多くニュースにもでた年でもございましたが、海外の消費者からも日本のECは接客が素晴らしいと印象付けるチャンスでもあります。
2020年の東京オリンピックの外国の方が多く来日する中で、「おもてなし」の発祥のジャパニーズECが活躍するそんな時代がくると私はわくわくしています。
長くなりましたが、2016年がECを愛する皆様にとってより良い年になりますよう心よりお祈りを申し上げ新年のご挨拶とさせて頂きます。
JECCICA理事・特別講師 小林 亮介
1979年、東京都生まれ。2002年に杏林大学社会科社会科学部を卒業後、株式会社エスビーエス(現:SBSホールディングス株式会社)に新卒入社。2007年に株式会社Ryo-MAを設立し、代表取締役に就任。EC企業専門情報メディア『ECのミカタWEB』『ECのミカタ通信』を運営。EC10万社の情報支援、相談支援を行っている。