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2016年 年頭所感《JECCICA理事 天井 秀和》

JECCICA理事・講師 天井 秀和

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新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年は日本を代表する大手企業のオムニチャネル戦略がいよいよ実施の段階に入ったことから、大小様々な新しい試みのニュースが相次いだ変革の年となりました。

 

オムニチャネル消費は一方で物流量の飛躍的な上昇を招くため、慢性的に不足していた物流業界のキャパシティの問題が料金問題と共に一気に顕在化し、将来も見据えた抜本的解決を目指すようになりました。

経済産業省を中心に検討いている宅配便の再配達の効率化以外にも、人材の確保のための外国人の登用や、過疎地の生活インフラとしての物流網の再整備が急ピッチで検討されているようです。

 

私個人としては、米国で検討されているドローンによる配達や、東南アジアで最近盛んなタクシーと宅配サービス、買い物代行サービスの融合など、物流サービスのイノベーションを、日本でも期待したいと思っています。

 

大きな規制緩和も必要になりますが、昨年末には政府が国家戦略特区である千葉県でのドローンによる配達を許可したそうですから、日本が世界で最初にドローンによる宅配を実現した国になる日も近いのかもしれません。

 

昨年はまた、訪日観光客による爆買いやインバウンド消費の企業業績へのプラスの影響がより身近になった年でもあり、私共には海外販路開拓や越境ECについてのお問い合わせや相談がひっきりなしに寄せられるようになりました。

一昨年に情報収集をしていた企業はテストマーケティングに、海外からの注文を既に受けていた企業は業務改善や次なる展開の検討や実施に進んでいます。

少し広い視点で見ると、越境ECへの関心はなにも日本に限った話ではなく、北米や欧州ではそれほど関心が高くないのと対照的に、アジアではほとんどの国で非常な盛り上がりを見せています。

ただし、国によって越境ECに注目が集まる理由や背景が異なっていることから、特に規制や政策には、国の越境ECに対する姿勢がはっきりと現れるようになりました。

これは、越境ECによる取引額が増えてきて今後も成長が見込まれることから、奨励や規制に関して国ごとに制度化や立法が進んだ結果とも見ることができます。

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中国では海外旅行者が爆買いして持ち帰った商品に対する税関での課税漏れが無視できなくなったため、政府が管理しやすい越境ECに税制優遇をして税収のアップを図ろうとしています。

これによって、中国の保税倉庫に商品を在庫し、注文を受けると即通関・国内出荷するスキームに注目が集まりました。

我々EC事業者にとっては願ってもないチャンスなります。

 

一方でインドネシアでは、国をあげて越境ECを活用していくために、政府が総力を挙げてガイドラインを策定するとの方針を打ち出したものの、結果的には外国企業に対する巨大な資本金規制や流通商品の事前登録制度によって政府統制色を強め、国内産業の保護の名の下に外資が超えなくてはならないハードルは高くなったままです。

またルールチェンジも突然に発表されるため、我々にとっては頭の痛い問題となってしまいました。

今や、中国や東南アジア諸国を筆頭にアジア中で中流階級の消費購買力が急成長していることは数字からも明らかですが、

  1. 今後はTPPやAECなどの枠組みにより商品流通がより盛んになること。
  2. 個人商店などを中心とした旧来の小売から、いわゆるモダンリテールへの移行が急速に進行していること。
  3. 越境ECの増加を見越しつつ国内の小売業を保護しなければならないこと。

などを背景に、各国は慎重な舵取りを迫られています。

市場トレンドの他にも、規制や制度の変更に注意を払う必要性が高まっています。

2016年も引き続きアジアのBtoC EC市場は急激に成長するため、目が離せない年になりそうです。

 

人材不足がより顕著に

消費のオムニチャネル化の進展によって、店舗の売り場担当者にはデジタルマーケティングツールの習得と活用が求められ、デジタルマーケティング担当者には関与する販売チャネルの増加やそれらのデータの管理が求められています。

現在のような変革期では、施策やツールも次々に移り変わって行きますから、どの企業でも経験者が重用されることはもちろんのこと、社内のスペシャリスト教育のスキームが将来の業績に大きな影響を与えていくことは間違いありません。

JECCICAでは、このような重要なポストを担う優秀な人材を、引き続き積極的に育成して参ります。

また、越境ECの分野では、最近では特定の国ごとに市場開拓のノウハウを持つ必要性が高まっています。

浅く広く多くの国でテストマーケテイングしたのちは、対象の国や特定の消費者層に対する集客手法を磨いて行かなければならないためです。

 

今年は、対象となる国や地域を絞った上で、学びや交流の場としての越境EC担当者の交流と育成を目指して参ります。

皆様の本年の飛躍、活躍を心よりお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせて頂きます。

 

 

JECCICA理事・講師 天井 秀和

amai

大規模ECサイトのマーケティング支援、システム構築を行うインフォマークス株式会社を2002年に設立し、代表取締役に就任。スタートアップから年商100億円を超えるメジャーサイトまで、数多くのネット通販ビジネスの事業戦略コンサルティング、業務改善を実施。海外各国の通販マーケットにも精通している。

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