2023年 年頭所感 天井秀和
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、当協会への格別のお引き立てを賜わり誠にありがとうございました。
皆様のご支援、ご協力のもと、無事に新春を迎えることができ心から感謝申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年は、自社(インフォマークス株式会社)の設立からちょうど20年の節目の年となりました。
おかげさまで長きにわたりEコマース事業支援を生業とさせていただき、ネット通販業界の成長を通じて社会や消費文化の変化を眺めてきましたが、ここ数年ほど生活や消費文化の瞬間的な変化を目撃したことはありません。
コロナ蔓延による生活関連消費のデジタル化は全世界に及びましたが、ウクライナ情勢の影響による為替や国際物流の混乱が製造業のサプライチェーンや越境ECに与えた影響は甚大です。
急激な円安が進行したことにより、昨年後半は日本から海外への越境ECがとても盛況になりました。
特徴的だったのは高額商品の飛ぶような売れ行きです。近年の越境ECで安定的な主役商品といえば、キャラクターグッズやゲーム関連アイテム、雑貨などの比較的購入しやすい価格帯の商品がやはり多くありましたが、昨年は歴史的な円安水準だったため、従来だと海外の消費者が買い控えていた、50万円、100万円を超えるようなブランド品、カメラ、時計、オートパーツなどが多数購入されたのです。
これはおそらく、円安を超えたお買い得感が追い風になったのではないかと直感しました。歴史的な円安と言われれば、財布の紐が緩むのも納得できます。
それに加え今年は、中国のロックダウン政策が転換期を迎えていることから、中国人インバウンド観光客の回復も見込まれています。
周知のとおり、インバウンド観光客の動向は越境ECの市場と密接な関係があるため、目が離せない状況です。
また、国内ではなかなか成功例が少ないライブコマースですが、これを越境ECでのテストマーケティングに活用する例が見られるようになってきました。
たしかに現地のインフルエンサーによるプレゼンテーション力は絶大ですし、日本企業側もコンテンツ制作の手間や時間が大幅に節約できるので、スピード重視のテストマーケティングにうってつけで、これからの拡大が期待できそうです。
既にトランス・コスモス社などサービス化して営業展開する企業も出てきており、ライブコマースが盛んなアジアではうってつけの施策と言えそうです。
さて、わが街バンコクの近況ですが、出張者の往来などはコロナ以前の水準に回復しており、名物の交通渋滞も残念ですが復活しています。
コロナ蔓延の副産物として特筆に値するのがロックダウンの影響によるデリバリーサービスの発展で、例えばfoodpandaやgrabなどのアプリで配達可能なレストランを検索すると、数千軒がヒットします。
これが非常に便利で、例えば以前では出張の短い期間中ですと多数ある名店からどこに行くかを選ぶのは至難の業だったのですが、デリバリーであれば、予約が取れない店や行列のできる店の名物料理を2、3店舗から同時に取り寄せて食べるといったことが容易にできます。
また日本だと深夜早朝などは候補が少なくなりますが、バンコクでは朝食のデリバリーでも選び放題で、食文化が変わってしまうのではないかと思うほどの利便性があります。
さらに、ドライバーには指定した店舗に行って商品を受け取ってくるような依頼も可能なため、例えば深夜に薬局に行って薬を届けてもらうことも可能で、物販のみならずサービスもEC化された、ECの未来を先取りした感覚を経験できます。
日本では法規制が厳しいためなかなか新しいサービスが生まれませんが、東南アジアではコロナで広がった新しいECが根付き始めていると言えるでしょう。
今年もEコマースがますます社会に浸透する大きな流れに皆さまと一緒に取り組み、共に大きく成長し、大きな成果を挙げられるよう、頑張ってまいります。
皆様方の益々のご隆盛とご健勝を心からお祈り申し上げます。
JECCICA理事・講師 天井 秀和
大規模ECサイトのマーケティング支援、システム構築を行うインフォマークス株式会社を2002年に設立し、代表取締役に就任。スタートアップから年商100億円を超えるメジャーサイトまで、数多くのネット通販ビジネスの事業戦略コンサルティング、業務改善を実施。海外各国の通販マーケットにも精通している。