ネットショップの教科書109 高水準な販売自動化を可能にする Amazon MWS Webサービスの活用
以前に当会報紙でAmazonの提供する「無料で使えるAPI」を紹介したことがありました。AmazonのマーケットプレイスなどWebサービスの内容・水準は激しく変化し、それらの変化についていくのが大変ですが、数年前に統合された「AmazonマーケットプレイスWebサービス(MWS)」APIの現況と、その登録方法など手順と詳細を紹介します。
Amazon MWS とは何?
AmazonマーケットプレイスWebサービス(MWS)は、Amazonの出品者が、出品、注文、支払い、レポートなどのデータを取得交換できるよう手助けするもので、出品運営で自動化が可能となり、Amazon MWSを使用することで出品者は運営効率の改善や業務コストの削減、顧客サービスの向上を期待することができます。ECショップ運営で欠かせないのが、商品のアクセス解析レポートや競合出品者比較など各種統計データの収集と分析です。
AmazonマーケットプレイスWebサービス(Amazon MWS)は統合されたWebサービス API で、これにより出品者は前述のような出品、注文、支払い、レポートなどをプログラムでデータを交換することができます。Amazon とデータ統合することで、高レベルの販売自動化が可能となり、出品者がビジネスに役立てることができます。Amazon MWSを使用することで、出品者は販売効率を高め、労働力を軽減し、カスタマーへの応答時間を改善することができます。
Amazon MWSに関連付けられる手数料はありませんが、Amazon MWS API を使用するには、Amazon MWSを利用するのに適した出品者アカウントを持ちAmazon MWSに登録する必要があります。
Amazon出品の場合、特に出品商品登録作業や注文、支払いなど出品運営で手助けとなるAPIをうまく利用することが重要で、出品運営の効率化を図る上で利用をオススメします。
無料のAmazon MWSが出来ること
Amazon MWSが無料で提供するAPIにどんな機能があるか?どんなことができるか?整理してみましょう。Amazon MWSには以下のような機能があります。
●在庫管理:在庫品の一括アップロード、商品の登録、在庫レベルの確認、価格情報の調査。
●注文管理:注文情報のダウンロード、支払いデータの取得、注文の承認、レポートのスケジュール設定。
●レポートの管理:レポートをリクエスト、ダウンロード。(FBA関連)
●Amazon FCへの納品の準備:FCに納品する商品のラベル作成プロセスを自動化。
●Amazonへの納品のステータスの確認:発送した商品がFCに到着したかどうかを確認。また、到着している場合、納品の手続きが処理されたかどうかの確認。
●出荷依頼の送信:出品者の受注システムとAmazon MWSを統合することで、購入者にいつでもFBAマルチチャネルサービスの出荷依頼を送信。
●発送リクエストの追跡と管理:注文商品がAmazon FCから出荷されると、出品者は出荷を追跡して、購入者に配送予定日時を通知。
Amazon MWSを利用する資格と登録するには、以下のいずれかのAmazon 出品アカウントを持っていること。多くの出品者は大口出品アカウント「小口出品ではない出品者アカウント」を持っていますので資格は大部分がクリアです。
●小口出品ではない出品者アカウント
●Amazon Webstore
●Amazonプロダクトアド
●Amazonペイメント
●Amazon Fresh
●Amazon Business
Amazon MWS利用への登録
Amazon MWSは、Amazon MWS認証サービスを用いて出品者が呼び出す権限を開発者に与えることのできる安全な仕組みです。Amazon MWSを利用するには、前記のAmazon 出品用アカウントを持ち、以下のサイトでAmazon MWSの登録をする必要があります。
Amazon MWS利用登録サイト
https://developer.amazonservices.jp
〔開発者アカウントを作成〕ボタンをクリックすると、
1)セラーセントラルアカウントを持っている。
2)ベンダーセントラルアカウントを持っている。
を選択するようになっています。
選択し開発者アカウントを作成した後、サインインし、メインメニューで「パートナーネットワーク」を選択し、「アプリの開発」を選択して開発者コンソールにアクセスします。
ここで〔私は開発者ではない〕〔開発者として専門的な仕事をしていない!〕などという遠慮は不要です。
デベロッパーセントラルコンソール(トップ画面)
Amazon MWS利用のために登録する場合、
3つの利用方法があります。
①MWSで自分のAmazon出品用アカウントにアクセスする場合
②MWSで自分のAmazon出品用アカウントにアクセスするアプリを使用する場合
③MWSで開発者が自分のAmazon出品者アカウントへアクセスを許可する場合
Amazon MWSにおいて自分で出品用アカウントへのアクセスを登録(①と②)した際に表示される認証情報とIDの例は、それぞれ4桁の「出品者ID」と「マーケットプレイスID」にひも付いた以下の認証情報があります。
開発者アカウント ID(12桁の ID):1234-3214-4321
AWSアクセスキー ID(20文字の英数字の ID):022QF0EXAMPLEH9DHM02
秘密キー(40文字の ID):kWcrlEXAMPLEM/LtmEENI/aVmYvHNif5zB+d9+ct
そして、自分で設定する「セキュリティパスワード」がセットされ登録完了です。
開発者やアプリケーションにアカウントへのアクセスを許可
開発者を認証するには、まず開発者がその人のAmazon MWS開発者アカウント ID をあなたに与える必要があります。詳細については、「Amazon MWS アプリケーションの開発」のリンクを参照してください。
「Amazon MWS アプリケーションの開発」
https://docs.developer.amazonservices.com/ja_JP/dev_guide/DG_Developing.html
Amazon MWS 登録で利用できる「無料 Amazon MWS API」はサイトに掲載されているものだけではありません。Amazonが過去に配布している、JANやASINから商品を検索するエクセルシート「ShouhinKensakuSheet」も「無料 Amazon MWS API」と言えますが、
https://s3.amazonaws.com/seller-tool/ShouhinKensakuSheet.htmlこれらのサービス提供は、既に終了しており、Amazon MWS 日本公式ブログ: 商品検索シートの商品情報の取得は以下外部企業ブログ移管しています。
Amazon マーケットプレイスWebサービス(MWS) 日本公式ブログ
https://aws.typepad.com/jp_mws/2018/12/product_search.html
商品検索シートの提供終了に伴う商品情報の取得について
無償ツールとして提供されていた『商品検索シート』が廃止となりました。商品検索シートは、既にAmazonのカタログに登録されている(ASINが存在する)商品を出品する際に必要な商品情報を取得するツールです。
商品検索シートで提供されていた5種類の検索機能と、それぞれ利用されていた商品APIの主なオペレーションは以下のとおりです。
1 | JANから商品を検索 | GetMatchingProductForIdオペレーション |
2 | ASINから商品を検索 | GetMatchingProductForIdオペレーション
(またはGetMatchingProduct) |
3 | キーワードから商品を検索 | リストマッチング製品オペレーション |
4 | 親ASINから子ASINを検索 | GetMatchingProductForIdオペレーション
(またはGetMatchingProduct) |
5 | ASINからブラウズノードを検索 | GetProductCategoriesForASINオペレーション |
Amazonが無償で提供する役立ちそうなAPIを紹介しました。運営する出店者や、開発者のための機能やデータの提供を理解し、有効に活用することで店舗運営に役立てられるものと思います。
せっかくの機能うまく利用しないともったいないと思います。
JECCICA特別講師 松橋 正一
EC得意分野/モールEC構築、amazon出品支援
楽天、ヤフー、amazon、自社サイトなどECサイトの運営経験を基に、数々のショップを構築サポート。大規模ECサイトの効率的な構築、データ処理システム構築を得意とする。