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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol.77 【創造力を拡げるブレーン・ストーミング①】

ブレーンストーミングとは?
ブレーンストーミング(brainstorming)は通称「ブレスト」と言われる会議手法で、複数のメンバーが自由に意見を出し合うことで、新たな発想を出しあったり、アイデアを昇華させることを目的として実施します。
広告代理店出身の私は、昔から良くブレストを行い、今でも行うのですが、最近広告代理店の方々が、あまりブレストを行わなくなったと何度か聞いたことがあります。その理由は「根拠のない話をだらだらとしても仕方がない・・」ということらしいのですが、根拠のある企画はチャットGPTなど生成AIが重宝される今、そして今後、改めて人間同士が意見を持ち寄ることは大切だと感じています。

ブレーンストーミングの利点
ブレーンストーミング最大の利点は、新しいアイデアや発想を創出して「右脳」を優位に働かせることです。参加者があらゆる角度から意見を出すことで「前頭葉」が刺激され、一人では思いつかないようなアイデアが生まれますし、またアイデア同士を結合させて、ユニークなアイデアを創出することが可能です。
またブレーンストーミングは、相手の意見を否定せずに発展させることを目指すので、メンバー間の関係性向上や一体感醸成にも繋がります。
参加者は様々なアイデアに触れることで、自分の思い込みや固定観念に気付くことがありますし、視野や思考が広がったりすることもあります。他者のアイデアを知ることで、発想力も磨かれると思います。

ブレーンストーミングのルール
そんなブレーンストーミングですが、基本的に4つのルールに則って行うことが求められます。
【発言を批判・評価しない】
●ブレーンストーミングで先ず重要なのが、できるだけ参加者が多種多様な発言を多く出すことです。そのため、ブレーンストーミングは上下関係なく「発言を批判・評価するのは禁物」です。周囲や先輩、上司の反応が気になって発言出来なくなってしまったら、ブレーンストーミングを行う意味はありません。
【自由に発言する】
●ブレーンストーミングの大前提は「自由に発言する」ことです。そのため司会進行を行うファシリテーターは、楽しく面白い議論が出来る雰囲気作りが大切ですし、参加するメンバーも、自分が楽しんで、相手も楽しませるくらいの感じで、良い意味で雑談のような雰囲気作りが大切です。
【質よりも量を重視する】
●そして発言内容の「質より量」を重視します。質にこだわると、発言内容を考えすぎてしまい、静けさのある閉塞感ある意味のないブレストになってしまいます。量をたくさん出すことで、それが質の向上につながって行きます。
【発言を結合・発展させる】
●あらゆる発言が出てくると、それぞれの「発言が統合」し、そして「発展」して行きます。中でも誰かが「キーワード」を発言すると、まさに閉ざされていた扉が鍵(キー)で開くように視界が広がって、参加者は「そう、そう!」と共感し発言はより活性化します。

私の経験で言うと、ブレーンストーミングの時間や人数も大きなポイントとなります。時間に関しては60分から90分。時間帯も頭が冴えている午前中に実施すると議論が活性化します。また人数は6人程度で、メンバーには当該プロジェクト外の人、ターゲットに近いであろう人に参加してもらうことも重要だといえます。

数字に表れにくい「潜在ニーズ」を発見するために!
ブレーンストーミングは、従来は戦略をベースにした「具体的施策」のアイデアを出すときに有効でしたが、今後は「生活者ニーズ」を発見して「新商品や新サービス、新規事業」の企画会議として用いることが有効だと思います。何故なら生活者ニーズは「私たち人間の日常生活の中」から発見することが出来るからです。

会社員時代、休み明けの月曜日にランチやコーヒータイムで仕事仲間と話をしていると、誰かが土日の休みに体験した話から「企画のような」話に広がり、それをもとにして企画書を作成してクライアントに提案したことが良くありました。特に「潜在ニーズ(生活者がまだ気づいていない眠っているニーズ)」は、「日常生活のちょっとした気づき」からヒントを得ることは往々にしてあります。

様々なデータをもとに市場環境を分析し、生活者ニーズを見つけると、それは往々にして「顕在ニーズ(生活者が明言出来るニーズ)」を導くことに繋がりやすいと言えます。顕在ニーズは、既に多くの生活者が何らかの「悩み」を抱えていて、それを解決したがっているため、調査で生活者はニーズが明言化出来る訳です。

顕在ニーズを解決するモノやサービスは、世の中に出回っているケースが多く、そうなると差別化が課題になりますが、結果的にはレッドオーシャン(競争が激しい市場)に入り込むことにもなります。

以前に「ニッチ市場」の投稿時にもお話ししましたが、新しい社会を創造するため、イノベーションを起こすためには、人間の直観力を生かした瑞々しい「コンセプト(ニーズを満たす顧客価値)」と、日進月歩の「テクノロジー」が化学反応を起こし、人間をワクワクさせることが求められます。

大きなビジネスのヒントは、私たち日常生活の中に隠れています。ダイヤモンドの原石を探すように、人間社会に好奇心を持ち、自分自身の五感で体験することは「前頭葉」を鍛え、そして「AIには真似できない」とてもクリエイティブな行動でもあるわけですね。
次回もブレーンストーミングに関してお話します。

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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