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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol.72 34年ぶりに変わったマーケティングの定義

日本マーケティング協会がマーケティングの定義を刷新
日本マーケティング協会は、戦後復興から経済の成長期に入ろうとする昭和32年に設立され、産学協同の下に、マーケティングの理論と技法の研究、教育、普及に努めてきた公益社団法人です。その日本マーケティング協会が実に34年ぶりに「マーケティングの定義」を刷新しました。

1990年に規定された定義
マーケティングとは、企業および他の組織1)がグローバルな視野2)に立ち、顧客3)との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動4)である。
1)教育・医療・行政などの機関、団体などを含む。
2)国内外の社会、文化、自然環境の重視。
3)一般消費者、取引先、関係する機関・個人、および地域住民を含む。
4)組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動をいう。

2024年に刷新された定義
(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。
注1)主体は企業のみならず、個人や非営利組織等がなり得る。
注2)関係性の醸成には、新たな価値創造のプロセスも含まれている。
注3)構想にはイニシアティブがイメージされており、戦略・仕組み・活動を含んでいる。

今回の刷新は「社会のデジタル化、人間の価値観の変化、地球環境への意識向上」が前提にあると考えます。その上で、以下3つが変わったと捉えています。

主体が企業や組織から「顧客や社会と共に」に変化した
成熟社会にビジネスを発展させるため「共創」と言われて久しいと感じます。「共創」とは、企業がそれまで自社内だけで行ってきた企画・開発・事業化などを、消費者、協力企業、教育機関、研究機関、自治体などの「ステークホルダー(利害関係者)」と対話・協業しながらビジネスを生み出していくことを指します。
端的に言えば「生活者や社会と一緒になって、新たな価値を創る。」時代と言えるでしょう。
そもそもマーケティングを行う相手は「生活者=顧客」であり、そのために市場調査やあらゆるデータを活用してきた訳ですが、とりわけ今の時代は「インターネットで生活者とすぐに繋がる」ことが可能であり、また「SNSを通じた生活者同志の口コミ波及」で、価値あるモノやサービスは生活者が情報を拡散し、今のトレンドをすぐに収集することが可能です。
こうしたデジタル化の恩恵で事業の主体者は、より生活者と一緒になって、まさに「共に創る」時代になったと言えるのではないでしょうか。

「価値」が主軸に変化した
「価値」というキーワードは、従来からマーケティングを語る際に良く使われて来ました。私も一貫して「ニーズ(欲求)」の発見と、「ニーズを満たす価値=コンセプト」の重要性を伝えています。
しかし実際の現場では、同業他社に追随した類似製品や、製品特長を伝えているだけの広告表現を良く見かけ「どんなニーズを持つ人に向けて、どんな価値を提供する製品なのか?」と言った、コンセプトが曖昧なケースは多々見られます。
またニーズは「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」があり、日本をはじめとした先進国では、いわゆる「悩み・不の字」とも言える顕在ニーズは概ね満たされています。一方で「新たな気づき」を与える潜在ニーズの掘り起こしは、あらゆる視点から可能だと考えています。人生100年時代、理想的なライフスタイルを叶えるモノやサービスは、まさに潜在ニーズを満たす、今までに無かった新たな価値の提供が必要です。

目的が「より豊かで持続可能な社会を実現する」に変化した
SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年9月に国連総会で採択された持続可能な開発のための17の国際目標で、今では世界の多くの国民が、持続可能(サステナブル)であるべきことを理解しています。
社会に対して、何らかの害があると考えられるモノやサービスは生活者から支持されませんし、また新型コロナウイルスの生活様式の変化で「自分自身にとって本当に必要なコトとは何か?」を考える時間が出来ました。
こうした時代の要請と変化で、生活者の価値観は大きく変わり、そこにSNSという生活者が発信するメディアが大きく影響していることは事実でしょう。

マーケティングも「利他の心」でイノベーションを!
「利他の心」と言いますが、「人の利益になること、自分より相手の幸福を願うこと、人に尽くすこと」、こうした理念のもとに生まれた「ユニークな価値あるモノやサービス」が、社会や人間をよりハッピーにさせる。そして提供した人や企業には、必然的に多くの対価が生まれてファンが増える。とても社会や人間にとって、シンプルで理想的な構造だと思います。
こうした理想を叶えるために、人間の知恵とテクノロジーを生かして「イノベーション」を起こす。今回34年ぶりのマーケティングの定義刷新も、そんなダイナミックな時代に突入したことを言語化した、マーケティングの新たな定義付けだと感じています。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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