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DX(デジタル・トランスフォーメーション)のススメ

急にDXに注目・期待が寄せられはじめた
ここ1年ほど、「DX(デジタル・トランスフォーメーション※)」を冠したプロジェクトを掲げたり、「DX推進室」といった部署を新設する企業が非常に多くなりました。予想以上に長引くコロナ禍の影響により、リテールをはじめとする多くの業種・業態が「販路や売り方の変革」「ビジネスモデルの変革」を迫られていることと思います。コロナ影響によりリアル店舗事業が苦戦する一方で、「急にDXに注目・期待が寄せられはじめた」そうした企業も多いことでしょう。
(※「DX」とは、デジタルを活用することで、ビジネスモデルに変革を起こしたり、競争優位性を高めること。)様々な種類のDX
一口にDXといっても、いろいろなパターンがあります。
①まったく新しいビジネスの創出
②既存ビジネスの(アセットを活かした、または弱点をカバーする)DX
③業務改革にまつわるDX

他にもいろいろあると思いますが、多くのケースでは上記いずれかのパターンに当てはまると考えます。

リアル店舗の役割を「一にも二にも、まず売上」「VMDや接客活動による(製品やブランドの)プロダクトアウトの後押し」と置き、「可能な限りリアル店舗を増やす」「店舗数を増やすことで売上規模を拡大し、競争優位性を築き上げる」方向で長年やってきた従来のリテールにとって、「①デジタルを活用し、新しいビジネスモデルを創出する」のは当然ながら容易ではなく、また「②オーバーストア状態になってしまったリアル店舗というアセットを、これまでとは違う形で活かす」にしても、相当な難問であることは間違いないでしょう。

誰がやるのか?ディレクター不在の問題
様々な企業のDXプロジェクトをお手伝いする中で感じることは、「誰がやるのか(できるのか)という問題に尽きる」ということです。

例えば、①②のDXの場合、多くのケースでは「コンセプトワーク」や「ブランディング」から入ります。そのDXを実現することで、生活者・消費者(もしくはマーケット)に提供できる「価値」「意義」を明確にし、(仮説ながらも)確からしい「競争優位性」を見い出し、原理原則になりえる「ステートメント」という表明・約束を作り上げます。
もちろん、「PoC(Proof of Concept)」という言葉も流行っている通りですが、最初からそんなに大仰に考える必要はありません。小さく始めて、試し試し改善を積み重ね、時には方向修正しつつ、「仮説や前兆を徐々に確信に変えていければよい」のです。
ただ、びっくりするほど、これに向いていない企業も少なくないのです。

・社内承認される(であろう)方向性しか考えられない。
・最初から「必ず成功するやり方」を求めてしまう(社内で求められる)。
・コンセプトやステートメントを作った側から、それを満たさないアウトプットや手段を良しとしてしまう。
・PoCを「スケジュール通り実施すること」が目的となってしまっている。

こうしたケースは非常に多いように感じます。もっと良くないのは、
・プロジェクトメンバーが「本気で実現したい(できる)」と思っていない。
・実現すべきことより、スケジュールや社内調整に重きを置いている。
ことでしょうか。

前例踏襲が常、社内承認・調整が最優先で、あとは競合や業界の流れに沿ってビジネスを行ってきた、そうした弊害でしょうか。現状ビジネスに対する危機感の欠如でしょうか。強い思いや(良い意味で)エゴを持ち、プロジェクトメンバーや社内外を巻き込んで変革を推し進めるべき「ディレクター」の不在が、多くの企業で課題になっているように感じます。

DXの前にMXが必要
生活者・消費者(もしくはマーケット)に対しDXを実現する前に、「MX=マインド・トランスフォーメーション」が必要だと感じることが多くなりました。マインドセットが変わらないがゆえに、DXが進まないのです。

ここには、言い方は良くないかもしれませんが、「優等生的な(特に中堅社員層の)難しさ」があるように思っています。これまでは「社内のルールや業務の流れをわきまえた上で」「無駄なく効率的に、破綻することなく」「既存業務を回す」で良かった。社内の仕事の仕組みを理解し、それを逸脱することなくスムースに業務を回せることが優等生の証であり、「個々人の内なるもの」や「自分(たち)自身」にはフォーカスが当たらなかった。

DXプロジェクトにおいて求められているのは、「単なる効率改善」ではなく、「製品価値中心から顧客価値中心にビジネスモデルを変革すること」です。顧客を深く理解する主体というのは「仕組みではなく、あくまで自分(たち)自身」であり、その顧客と繋がり継続的な関係を築き上げる主体も「仕組みではなく、自分(たち)自身」であると思います。にも関わらず、あくまで個は出さず(出せず)、これまで慣れ親しんだ「仕組みがなんとかしてくれる」もしくは「仕組みされ作ればうまくいく」とばかり考えてします。ここの覚悟や理解が足りない気がしています。

ある意味でDXとは「デジタルを活用し、デジタルに作業させることで、ビジネス的な『チート』を創出しろ」というお題目なわけですが、これまでの社内的な優等生が、この「チートの創出に向かない」のは、当たらずとも遠からずな気がしています。DXを推し進めるうえで、社内のメンバリングはなにより重要です。もし「DXプロジェクトがうまく進まない」とお悩みでしたら、メンバリングからを見直すことをオススメします。

JECCICA特別講師

JECCICA特別講師 唐笠 亮

株式会社パルコデジタルマーケティングのコンサルタント。数々の専門店・ショッピングセンター等を背景とした大規模ECの構築やシステム連携のプロジェクトマネージャーを務める。


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