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「自己肯定感」というマジックフレーズから読む、顧客の背景

最近、「自己肯定感」という言葉をよく耳にするようになったと思いませんか?
特にここ1~2年は「自己肯定感」をタイトルにした書籍やマスメディアでの特集が顕著に増えてきています。

少し前、とある女性ファッション誌の中吊り広告で「自己肯定感が上がる服」というタイトルの特集があるのを見たとき、「自己肯定感、流行ってるな~!」とこのマジックフレーズの浸透度に感心したことは今でも鮮明に覚えています。

そもそも「自己肯定感」って何?
weblio辞書によりますと、「自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する語。自己否定の感情と対をなす感情とされる」とあります。
要するに、ありのままの自分を肯定する、好意的に受け止めることができる感覚・概念ということになります。

自己肯定感が高い人は、物事をポジティブに捉えることができるので、ありのままの自分を受け入れることが可能です。「私はきっと大丈夫」とか「私はきっと幸せになる」という言葉をよく発したりします。また、他者に対しても寛容なので「ありがとう」とすぐに言葉に出し、相手のことも尊重し、より良い人間関係を作ることができます。

逆に自己肯定感の低い人は、物事をネガティブに捉えやすいので、自分に対して否定的で「私にはムリ・・・」や「私なんて・・・」と、「できない」方向で物事を考えがちです。また、すぐに人と比較してみたり、他者にも否定的なため「あの人は○○だから・・・」と、決めつける傾向が強くなります。

このことから、世の中的には自己肯定感が高いほうがよい風潮となっており、多くの「自己肯定感」関連の著作では、下記のような高めるための方法が記載されています。
・「自分の好きな所を見つける」
・「自分の思いや意思も大切にする」
・「自分に正直になる」
などなど。

自己肯定感に対する秀逸なアプローチ法
さて、先ほどの特集記事に戻ります。
自己肯定感を上げるというだけあって、この特集記事では「今日の私、いい感じ!」「私の気分をあげてくれる服!」など、高価なバッグやジュエリーだけではなく、上質なコートやスタイルよく見える服、肌触りのよいスカーフなど、気分を上げるモノ・フレーズが誌面いっぱいに散りばめられていました。
なんでもこの特集は、「なんだか気分があがらない」「どうしても憂鬱になってしまう」という読者に対して、「とにかくHAPPY感あふれる1冊を!」という思いで作られたとか。

でも、なぜ、私がこの特集に関心を寄せたのでしょうか。
それは、通常、自己肯定感を上げるには、まず、自己を受け入れ自分に正直になるという、自分の内的要因に視点を向けていくことが多いのです。ところが、この記事では、外的要因に視点を向け、外からワクワク・ウキウキするモノを身に着けることによって自己肯定感を上げていこうというアプローチをしているからなのです。
そもそも、自己肯定感が低い人は、自己を受け入れるという、その行為自体が苦手だからこそ、自己肯定感が低いわけなので、そこをあえて逆の方向から攻めているわけです。
読者のおかれている状況・背景をよく汲み取っている特集だと感心したと共に、これは物事を検討するプロセスと同じだと思ったのでした。

顧客の背景を読むということ
私がサービスや商品・施策などを検討するプロセスの中で重要だと思っていることは、「顧客の背景を読む」ということであり、「それを選ぶまでに、どんな事情があったのかな?」と想像するということです。俗にこのことを顧客視点、もしくは顧客視点の理解と呼ぶ方も多いと思います。

この顧客視点の理解が高いということは、顧客の背景を読む想像力が豊かであるということです。顧客の置かれている状況やそこに至るまでの背景、そしてそこから得られたであろう価値観までも想像し、理解することです。すなわち、顧客のことを尊重する姿勢があるということです。

顧客視点の理解が低いということは、顧客の背景を読む想像力が乏しいということです。そうなると、「顧客はこういうものだ」と思い込みや決めつけから、今までのセオリーを元に顧客像を設定する傾向が強くなります。

例えば、「顧客は安くすれば選んでくれる」「業界最安値と言っておけば購入につながる」などと決めつけ、顧客の真意を汲み取れないでいると成果を得ることはできません。
逆に柔軟に、顧客を決めつけたり、評価することなく、そこに至った経緯、行動をとるに至った事情を想像し理解し、その尊重した視点で、サービスや商品・施策を再度見直すことで、改善点が見えてくるものです。

前段に述べたファッション誌では、「自己肯定感」というマジックフレーズを活用しながらも、読者の自己を受け入れることが苦手という背景を読み、それでも気分を上げていきたいという思いを理解し尊重した結果、あのような顧客視点の理解が高い特集になったのです。
皆さんも、ぜひ、想像力豊かに顧客の背景を読んでいただきたいと思います。


JECCICA客員講師 松本誠世


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