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クレジットカード不正利用被害の現状

クレカの不正利用の被害額は6年間で2.3倍
クレジットカードの不正利用によって消費者が受ける被害は、EC市場の健全な発展を阻害するものであることは言うまでもありません。メディアによる報道などで被害額が増加しているということを耳にする機会はしばしばあると思います。クレジットカード不正利用はEC事業者や関連事業者にとって、かなり厄介な問題です。直近の被害額や増加のペースについて正確に把握している業界関係者はどれくらいいるでしょうか。そこで、その被害額の内訳と推移についてグラフの通りまとめてみました。

2023年の不正利用被害額は540.9億円。そのうち番号盗用が504.7億円と9割以上の高い比率を占めています。経年ではどうでしょうか?2017年は236.4億円ですので、6年間で約2.3倍に拡大した計算になります。ただし、2020年までは緩やかな増加であったところ、2021年からその増加ペースが加速しています。コロナ禍でECの利用が急増したことが、その理由かもしれません。

尚、クレジットカードの偽造被害については、2017年は31.7億円でしたが2023年には3.1億円と10分の1にまで縮小しています。技術的な進歩等を含めた諸々の対策が奏功しているのではないでしょうか。

クレジットカードの不正利用の被害額の推移(暦年)

フィッシング報告件数は6年間で100倍以上
クレジットカードの番号盗用による被害が増加しているという事実は、その背景のひとつにフィッシング詐欺の増加が挙げられると思います。つまり、フィッシングによってクレジットカードの情報が多く盗まれ、その情報が不正利用につながっているということです。フィッシング対策協議会が発表しているフィッシング報告状況によれば、2023年のフィッシング報告件数は1,196,390件です。2017年がわずか9,812件ですので、7年間で100倍以上に増加した計算になります。

この増加ペースは驚愕です。このペースだと今後もまだ増加する可能性が想定されます。

尚、この数値はあくまでも表面化した数値ですので、消費者が気付いていないフィッシング詐欺は相当数発生していると考えられます。とすれば、上述のクレジットカード不正利用の被害額についてもひょっとしたら氷山の一角かもしれません。フィッシング報告件数が6年間で100倍以上の驚くべき増加ペースですので、クレジットカードの不正利用の被害額の方も6年間で2.3倍ではなく、実態はもっと大きな金額であっても不思議ではないでしょう。

フィッシング報告状況の推移

継続的なウォッチが必要
フィッシング詐欺、ならびにクレジットカードの不正利用は、言うまでもなくあってはならない犯罪行為です。クレジットカードの不正利用額について、EC上での発生がどれくらいの割合なのか、すなわち「クレジットカード不正利用版EC化率」は分かりません。しかしその犯罪内容からして大半はECを通じた不正利用であることは容易に推測できます。これはEC市場の健全な発展にとって大敵です。

ところが年々被害額、およびフィッシング報告件数は右肩上がりで上昇していますし、前述の通り氷山の一角の可能性もあります。

官民挙げて諸々対策は実行されています。ですが以上のように数値は上昇の一途を辿っています。犯罪を仕掛ける側の手口が巧妙化し、どうしてもその手に引っ掛かってしまう消費者が後を絶たず、対策を講じても「いたちごっこ」という状況でしょうか。引き続きこれらの数値をウォッチし、何らかの変化を数値から読み解くことができないか、アプローチしたいと思います。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 本谷 知彦

株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役


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