2026年が明けました。今年はEC業界に何が起こるのか、どういう年になるのかとても楽しみです。年が明けたということで、2025年のEC市場規模について早速予想したいと思います。執筆時点で入手可能な最新データは2025年を完全にカバーしていませんので、その点ご了承いただけたら幸いです。それでは次の3つのデータを考察し、それらを踏まえて予想してみましょう。
その1:3大ECモールのGMVの伸び率
まずはECモールについて見てみましょう。株式会社Nintが提供するデータベース「Nint ECommerce」には、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングの3大ECモールのGMV(流通総額)に関する推計値が格納されています。同データベースによれば、2025年11月までの3大ECモールの流通総額の昨対比は+7.8%です。Amazonの伸びが大きく、全体を押し上げている点が特徴的です。同データベースはあくまでも推計値ですので、100%正確というわけではありませんが、信頼がおけるものと私は思っています。
なお、Nint ECommerceはあくまでも3大ECモールに限ったデータベースです。DtoC-ECはカバーしていません。そのDtoC-ECですが、さすがに7%も上昇していないと思います。したがって、DtoC-ECをあわせたEC市場全体では、あくまでもNint ECommerceに基づいた推計値ですが、+7.0%前後といったところでしょうか。
その2:1家計あたりのEC支出額の伸び率
総務省は家計消費状況調査というものを実施しており、このなかに1家計あたりのネットショッピング(EC)支出額に関する統計があります。同省による定点観測的なアンケート調査ですが、毎月発表されているため、月単位での小刻みな数値の動きを把握することが可能となっています。
2025年10月までの数値になりますが、同調査では昨対比で+8.0%という結果になっています。Nint Ecommerceより高い値です。ここで気を付けたいのですが、私は長年の市場分析の経験から、同調査の結果はやや大きめに出ている傾向があると思っています。また同調査はふるさと納税もネットショッピングとして回答者が回答している可能性があり、その分を差し引かなければなりません。
以上を踏まえると、実質的にはこちらも+7.0%前後といったところではと私は考えます。偶然にも、Nint Ecommerceによる推計値と同じになります。
その3:宅配便個数の伸び率
3番目は宅配便個数の伸び率です。ここでは大手宅配便事業者3社(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便)合計の宅配便個数を見てみます。各社10月までの数値ですが、昨対比で+2.5%という結果になっています。この数値から「ではEC市場もそれくらいの伸び率か」と思うかもしれません。
しかしながらそうではない点に注意が必要です。詳細は省略しますが、宅配便にはBtoB用途やECではない個人向け荷物が多数含まれており、私の予想はそれらが約半分占めています。つまり純粋にECでの宅配便の伸び率は5.0%を超えているということです。加えて、Amazonやヨドバシなどの自社物流分の伸びを加えると、実質+5%台後半といったところでしょうか。
EC市場規模の予想伸び率は+6%台半ばから+7.0%
あらためて3つの数値を見てみましょう
その1: 3大ECモールのGMVの伸び率 → +7.0%前後
その2: 1家計あたりのEC支出額の伸び率 → +7.0%前後
その3: 宅配便個数の伸び率 → +5%台後半
その3だけやや低い値となりました。ここで考えてみましょう。宅配便はあくまでも個数であり金額ではありません。2025年も物価高騰の波が押し寄せましたので、金額ベースでは明らかに6%を超えていると見ます。とすれば、その1、その2、その3すべて近似値になります。おおよそ+6%台半ばから+7.0%が着地点ではないでしょうか。
2025年のEC市場規模は16.2兆円と予想
+6%台半ばから+7.0%という伸び率を経済産業省発表のEC市場規模(正確には物販系BtoC-EC市場規模)に落とし込むと、16.2兆円という計算になります。同省発表の数値では2024年の伸び率は+3.70%でした。コロナが終息して以降、消費者のリアル回帰によってEC市場には逆風が吹いていましたが、2025年は状況が変わり、どうやら再びEC市場に消費者が戻ってきたのではと思います。
なお、金額ベースでのEC市場規模の伸び率には物価高騰分が含まれていますので、宅配便個数の伸び率がEC市場の力強さを測る指標として適切かもしれないという私の考えを付記しておきたいと思います。とはいえ、いずれにせよEC市場が好転していることに変わりはないでしょう。この勢いで2026年もEC市場が元気であることを切に願ってやみません。