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構造転換を理解してECを磨く Vol.5:関係は積み上がる

前回は、「売って終わる店をやめる」というテーマで、購入後の関係設計についてお話ししました。購入直後は、その店への好感度が最も高いタイミングです。だからこそ、購入後のフォローが重要であり、接点は未来の売上につながるという話をしました。今回は、その続きです。

接客を磨く。選ぶ体験を設計する。購入後も関係を続ける。ここまで聞くと、「関係性が大事なのは分かった」と感じる方も多いかもしれません。しかし、関係にはもう一つ重要な特徴があります。それは、積み上がることです。

売上は毎月リセットされます。今月どれだけ売れても、来月また同じように売れる保証はありません。一方で、会員登録、メルマガ登録、レビュー、LINE登録といった顧客との接点は残ります。そして、その接点は少しずつ増えていきます。

これからのECでは、この違いがますます大きくなります。

売上は結果、関係は資産

多くのECサイトでは、売上やCVRが重要な指標として管理されています。もちろん間違いではありません。ただ、それらは結果です。結果は積み上がりません。

一方で、会員数やメルマガ読者数、レビュー数はどうでしょうか。これらは毎月少しずつ増えていきます。そして、それぞれが次の売上を生む可能性を持っています。

会員やメルマガ登録者には、新商品やキャンペーンの案内を届けられます。レビューは次のお客様の購入判断を後押しします。つまり接点が増えるほど、再び思い出してもらえる機会が増え、次の売上を作りやすくなるのです。

これからのECでは、「いくら売れたか」と同じくらい、「誰とつながれているか」を見る必要があります。

人は登録しているのではない

ある店舗では、利便性の高い決済手段の普及をきっかけに悩みを抱えていました。購入は増えている。しかし会員比率が落ちている。会員登録をしなくてもスムーズに購入できるようになったことで、以前より会員登録されにくくなっていたのです。

そこで実施したのは、会員キャンペーンです。会員登録をすると通常ポイントがもらえますが、さらに毎月抽選で登録特典ポイントもプレゼントする。応募条件には「お知らせを受け取る」を設定しました。 すると会員登録率は40%前後から50%後半まで改善しました。

ここで注目したいのは、ポイントではありません。会員機能そのものは以前から存在していました。変わったのは、「会員になる意味」を会員登録訴求画面で正しく伝えたことです。

人は会員登録しているのではありません。その店と関係を持つ理由に納得しているのです。

さらに興味深いことに、当初は「お知らせを受け取る」が応募条件にもかかわらず、十分に伝わっていませんでした。そこでオプトイン案内にも認知されやすいバナーを追加したところ、受取率は30%台から40%台へ改善しました。

機能を増やしたわけではありません。関係を持つ意味を、もう少し分かりやすく伝えただけです。

関係は購入後も増やせる

関係は購入前だけに作るものではありません。購入後にも増やせます。

ある店舗では、非会員購入者向けのフォローメールを見直しました。購入のお礼に加えて、会員登録の案内、会員特典の紹介、レビュー投稿ポイントの案内を追加したのです。

特別なキャンペーンではありません。ごく普通のフォローメールです。しかし結果は興味深いものでした。メールを受け取った顧客のうち、約5%が会員登録へ移行したのです。

5%という数字だけを見ると小さく感じるかもしれません。しかし、この施策は購入後です。すでに売上は発生しています。それでも会員になってくれたのは、商品の購入だけでなく、その店との関係を続けたいと思ったからです。

しかも、このメールは自動配信です。一度設定すれば、購入者が増えるたびに会員も増えていきます。毎月少しずつですが、確実に関係資産が積み上がっていく仕組みです。

さらに、この店舗ではレビュー依頼メールもシナリオから作り直したことで、レビュー投稿率も大きく改善しました。 レビューもまた、新しい顧客との接点になります。関係は一つ増えて終わりではありません。次の関係を生み続けます。

KPIの重心を変える

Vol.1では、商いの重心が売場から関係へ移っているという話をしました。

もしそうだとすれば、見るべき数字も変わります。売上だけを見ていると、今月の成果しか見えません。しかし会員数やメルマガ読者数、レビュー数といった数字を見れば、未来の売上を作る力が見えてきます。

これからのECは、売上を追いかけるだけの時代ではありません。関係を積み上げる時代です。

まとめ

商売の歴史を振り返ると、資産の形は変わり続けてきました。リアル店舗中心の時代は立地が資産でした。EC黎明期はアクセスが資産でした。そして現在は、顧客との接点そのものが資産になりつつあります。

会員登録、メルマガ、レビュー、LINE登録、購入後フォロー。どれも一つひとつは地味な施策です。しかし、それらは毎月少しずつ積み上がり、未来の売上を支える土台になります。

売上は結果です。関係は資産です。

これからのECは、どれだけ商品を売れるかだけではなく、どれだけ関係を積み上げられるかが問われる時代になっています。

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客員講師

豊島 恵太

EC得意分野/食品通販支援

大学卒業後、照明メーカーを起業。2013年、株式会社Eストアー入社。サポート、セールス、コンサルタントを経験し、現在は企画設計室のマネージャーとしてECの未来を作る活動を行う。

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豊島 恵太

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大学卒業後、照明メーカーを起業。2013年、株式会社Eストアー入社。サポート、セールス、コンサルタントを経験し、現在は企画設計室のマネージャーとしてECの未来を作る活動を行う。

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