JECCICAでは先日、株式会社ユナイテッドアローズ OMO本部 本部長 岩井一紘氏をお招きし、「感動ドリブンのOMO推進」をテーマにご講演いただきました。
第158回 JECCICA6月セミナー「顧客満足って何?」ユナイテッドアローズのOMO戦略と、Temu初月1,000万円セラーの実例。顧客満足と売上拡大の“次の勝ち筋”を学ぶ。
本記事では、講演全体のうち冒頭約15分で語られた内容をご紹介します。前半では、ユナイテッドアローズという企業の特徴や経営理念、そして同社がOMOをどのように位置付けているのかについてお話しいただきました。
理念を起点に事業を動かす会社
講演の冒頭で最も印象的だったのは、ユナイテッドアローズが「理念」を非常に大切にしている会社であるというお話でした。
同社は、「真心と美意識」を大切にしながら、お客様に価値を届けることを企業理念として掲げています。
岩井氏は、ユナイテッドアローズについて「理念が良い意味で会社全体に染みついている」と表現されました。
この考え方は、単なる企業紹介ではありません。OMOやCRM、ECといったデジタル施策を推進する際にも、この理念が重要な判断軸になっているとのことでした。
つまり、デジタルによって何を効率化するかではなく、「ユナイテッドアローズらしい価値をどう届けるか」を起点に施策を考える。この姿勢こそが、同社の取り組みを理解する上での出発点であると感じました。

中高価格帯で価値を届けるブランド戦略
続いて、同社のブランド戦略についても紹介がありました。
ユナイテッドアローズは、多数のブランドを展開していますが、現在は中高価格帯のマーケットを主戦場としています。
価格競争ではなく、商品やブランドの価値をしっかりと感じていただき、その価値に納得して購入していただく。そうした顧客との関係を広げていくことが、同社の方向性として示されました。
この考え方は、OMOにもつながっています。価値を届けるためには、ECだけ、店舗だけといった単独の接点ではなく、お客様の体験全体を設計することが重要であるという考え方です。
会員基盤とF2転換率の改善
講演では、近年の成果についても紹介されました。
特に大きな成果として挙げられたのが、会員基盤の拡大とF2転換率の改善です。
以前は2回目購入につながる顧客の割合が30%に満たない状況だったそうですが、現在では50%を超える水準まで改善しているとのことでした。
その背景には、EC、CRM、アプリ、基幹システムなどへの継続的な投資があります。
一方で、岩井氏は「数字を伸ばすこと自体が目的ではない」とも語られていました。
顧客との関係を深め、継続的に価値を感じていただくために、データやシステムをどう活用するか。その文脈の中で、OMOが位置付けられていることが印象的でした。
OMOはデジタル戦略から機能戦略へ
講演では、ユナイテッドアローズにおけるOMOの位置付けについても説明がありました。
OMOは、もともとデジタル戦略の一つとして推進されてきましたが、現在ではチャネル整備の段階を経て、「機能戦略」へと移行しているそうです。
つまり、オンラインとオフラインをつなぐ仕組みを整える段階から、事業そのものを成長させるためにOMOを活用する段階へ進んでいるということです。
店舗売上が大きな割合を占める一方で、ECも重要な販売チャネルとなっています。しかし、お客様の体験という視点で見ると、オンラインとオフラインは十分につながっているとは言えません。
その分断を解消し、店舗とECを連携させながらLTVを高めていくことが、同社がOMOに取り組む大きな理由として紹介されました。
OMOの目的は「感動提供」
講演前半の中心となるテーマは、「OMOの目的をどこに置くか」という点でした。
ユナイテッドアローズにとって、OMOは単なるチャネル統合ではありません。
オンラインとオフラインをシームレスにつなぐことで、お客様の体験をより良くし、「感動提供」を実現することが目的であると説明されました。
ECのリプレイス、基幹システムの整備、CRMアプリの最適化といった取り組みも、すべてそのための基盤として位置付けられています。
OMOという言葉は、「店舗とECをどう連携させるか」という仕組みの話として語られることも少なくありません。
しかし、今回の講演からは、その先にある「どのような顧客体験を届けるのか」という視点こそが重要であることが伝わってきました。
UAクラブとアクションマイル
講演前半の最後には、UAクラブにおけるCRM施策についても紹介がありました。
同社では、購入金額に応じたポイントだけでなく、お客様の行動に応じてマイルを付与する「アクションマイル」の仕組みを導入しています。
これは、顧客の行動をファーストパーティーデータとして蓄積し、その後のコミュニケーションに活かしていくための取り組みです。
F2転換率をどのように高めるのか、ロイヤル顧客をどのように育成するのか。そのために顧客行動を丁寧に設計し、ファネルごとに最適なコミュニケーションを行っていることが紹介されました。
講演後半で語られたテーマ
本記事では、講演冒頭約15分の内容をご紹介しました。
講演後半では、ここで示された考え方をもとに、さらに具体的な実践事例についてお話しいただきました。
店舗とECの役割分担、顧客分析から見えてきた課題、ロイヤルティプログラムの見直し、店舗スタッフとの連携、そしてデジタルが顧客体験をどのように支えていくのかなど、実務に直結する内容が紹介されました。
詳細はクローズドセミナー内での共有となりますが、全体を通じて印象的だったのは、OMOを単なるデジタル施策ではなく、「企業理念を顧客体験として実現するための取り組み」と捉えている点でした。
JECCICA会員の皆さまは、本セミナーのアーカイブ動画を通じて講演全編をご覧いただけます。より詳しい内容にご興味のある方は、ぜひ会員向けコンテンツをご活用ください。
次回JECCICAセミナーのご案内
今回のセミナーでは、「顧客体験」を起点としたOMO戦略についてご紹介いただきました。
そして、その顧客体験をさらに高めるために重要になるのが、お客様一人ひとりの声や行動をどのように収集し、活用していくかという視点です。
そこで次回のJECCICAセミナーでは、このテーマをさらに発展させ、「ワークマンと実践する画像・レビュー・動画を活かした最新のマーケティング手法」を開催します。
講師には、株式会社visumo 代表取締役社長 井上 純 氏をお迎えし、ワークマンの実践事例をもとに、画像・レビュー・動画・UGCをAI時代のマーケティング資産としてどのように活用していくのかについてご講演いただきます。
本セミナーでは、次のようなテーマを取り上げる予定です。
- ワークマンにおけるレビュー・UGC活用の実践事例
- 商品画像・動画を活用した商品ページ改善
- AI時代に求められる商品データ・レビュー・コンテンツの考え方
- EC・SNS・店舗・CRMを横断したマーケティング戦略
レビューや画像、動画、SNS投稿といった顧客起点のコンテンツを、単なる販促素材ではなく「経営資産」としてどのように活用していくのか。その具体的なヒントを得られる内容となっています。
今回ご紹介したユナイテッドアローズの事例とあわせてご参加いただくことで、「顧客体験」を起点としたマーケティングについて、さらに理解を深めていただけることでしょう。
セミナー終了後には、講師や参加者とのディスカッション・懇親会も予定しています。EC・小売・メーカー・D2C・マーケティングに携わる皆さまのご参加をお待ちしております。
第159回 JECCICA7月セミナー&ディスカッション | ワークマンと実践する画像・レビュー・動画を活かした最新のマーケティング手法
