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通販サイトにおける新たな方程式の必要性 vol.4

1. はじめに
前回のコラムでは、「来店回数」の因数分解を通じて、顧客が再訪したくなる理由と、それを生む構成要素(来店理由・購入品数・商品価格)について考察しました。
今回は、新方程式の理解度をより深くするために「なぜリピートされるのか?」を掘り下げます。

2. なぜリピートされるのか?
リピートされる理由は、決して「商品が良かったから」だけではありません。もちろん商品力は前提ですが、リピーターの多くは商品とお店がもたらす幸せを期待して再訪しています。その理由は大きく2つです。
●誰から買うかが重要になる時代
⇒同じ商品が他でも買えるなら、「どこで買うか」ではなく「誰から買うか」が判断基準になる。
⇒たとえば、対応してくれたスタッフの人柄や、ブランドの価値観への共感が再来訪につながる。

●リピートは“関係性”の結果
⇒購入後の丁寧なフォローやユーザーの気持ちを理解した商品紹介など、継続的な接点の積み重ねが関係性を育てる。
⇒関係性ができていれば、多少の価格差や納期差は気にならなくなる。

3. 幸せをもたらす方法
お客様が本当に購入しているのは、商品に加えて、お店の姿勢、店員の対応、店長の個性、サイトの世界観、発信される言葉やストーリー、そしてその一貫性です。
(1) 一貫性が信頼をつくる
店舗のブランディングがしっかりしていても、メール対応や同梱物、SNSの投稿トーンがバラバラでは、「このお店は本当に自分のことをわかっているのか?」と不安になります。

●洗練されたサイトに反して、商品同梱のメッセージが事務的では、体験がチグハグ。
●SNSで親しみのある発信をしているのに、問い合わせメールは機械的。

お客様は、目に見える以上に、「雰囲気」や「姿勢」といった空気感を敏感に感じ取っています。リピートされる店舗とは、商品の価値とコミュニケーションの姿勢が矛盾しないお店なのです。

(2) 店長や店員への共感がリピートの起点になる
ECでは顔が見えにくい分、「人の気配」を感じさせることが再来訪につながります。たとえば、

●店長のこだわりが綴られた商品紹介文
●店員の実体験に基づくレビュー
●日常の一コマを垣間見せるSNS投稿

こうした表現の中に、人間らしさや、熱意、想いが込められていると、顧客は「この人から買いたい」と幸せを感じるようになります。
スターバックスが「コーヒー」ではなく「空間や体験」を売っているように、ECサイトも“誰が届けてくれるのか”という人格の部分が価値を持つのです。

4. 顧客の分類を理解する
これまで顧客づくりの大切さについて唱えてきましたが、お客、ファンなどいろいろな呼び方がありますが、実はこの理解がとても大切なので、改めて、考え方をお話します。
一般的にはお客さんを分類する場合、経済的に分類をします。下記がその例です。
消費者:不特定多数のまだ関係値のない消費する可能性がある人
顧客:購入経験がある人
お得意さん:事あるごとに連絡したり、お客が相談があればお店にくる状態

上ほど薄く、下ほど濃く感じるかと思います。3つを総称してお客と呼びます。
ここからがこの章の本題ですが、先ほどの分類はほぼお店視座です。無意識に経済的な理論で考えてしまっているはずです。確かに通販なので、お金を使って貰わないとお店は成り立たないので、経済的な視点は正しいです。
それに対して、「ファン」はお金を使うとは別の話です。この章でお伝えしたいのは「お客とファンはイコールではない可能性がある」ということです。下記がファンの例示です。
消費者:お店にお金を落とさないが、すごいファンもいるかも
顧客:購入したが、さほど関心がないこともある
お得意さん:お店にお金を凄く落とすが実はさほどファンではないかも

たとえば、職場や自宅近くのコンビニは毎日行くので「お得意さん」ではあるけれど、「ファン」とは言えないかもしれません。
一方で、普段は行けないが、近くを通ったら必ず立ち寄るお蕎麦屋さんのように、売上には貢献していなくても「ファン」であるというケースもあります。
通販はこの点において極めて有利です。物理的制約がないため、ファンづくりをそのままお客づくりにつなげやすく、リアル店舗とは異なる関係性の構築が可能です。

5. まとめ
リピートは「商品が良いから」だけではなく、多くは商品とお店がもたらす幸せを期待して生まれるものです。新方程式が示す「顧客数 × 来店回数」のなかでも、来店回数を増やすためには、商品以外の価値、つまりお店との関係性を育むことが不可欠です。
ファンづくりを中心とした設計は、リピーター獲得の要。まさに、通販ならではの商いがここにあります。

6. 次回について
次回も、新方程式の理解度をより深くするために関連する考え方をお話します。

JECCICA理事・講師 豊島 恵太

EC得意分野/食品通販支援
大学卒業後、照明メーカーを起業。2013年、株式会社Eストアー入社。サポート、セールス、コンサルタントを経験し、現在は企画設計室のマネージャーとしてECの未来を作る活動
を行う。


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