2024年 年頭所感 小林厚士
新年明けましておめでとうございます。
皆様におかれましてはお健やかに新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
旧年中は、一般社団法人ジャパンイーコマースコンサルタント協会(JECCICA)への格別のお引き立てを賜わり誠に有難うございました。皆様のご支援のもと、無事に新春を迎えることができ心から感謝申しあげます。
現在、2023年12月の初旬。1年は本当に早いもので、気がついたら年頭所感を書く時期となっておりました。
この1年を振り返ってみると、やはりコロナウイルス収束傾向の影響により今までにない様々なスタイルが生まれ、その1部が仕組化、定着化するといった今までにない動きが見受けられる年であったと思います。
生活面で見ると物価高騰傾向にある中、ニーズ系とウォンツ系の需要においての考え方も変えざるを得なくなり、生活していく中でどうしても必要なものは物価が上がったとしても購入せざるを得ない状況である中、以前よりも質を落としたり、まとめ買いで購入コストを抑えたりなどの様々な工夫が必要であると言えます。
代わりにウォンツ系においては、趣向系のものになりますので買い控えもせざるを得ない状況下にある方はやはり増えているかと察します。
また、ビジネス面においては昨年よりさらにリモートワークやオンライン会議や面談などが定着し、業種や企業によりリアル出社は行わずリモートワークが主であったりといった動きが一般的になってきたという半面、リアルとリモートワークの良い部分を融合した新たなスタイルも出始めてきました。
リモートメイン業務だけでは得られないリアルならではメリットもあります。
ここに来て思うのは、それぞれの良さをそれぞれに活かした業務活動に見直されて来ていると感じます。
実際に、オンラインセミナーのメリットを活かした展開のみではなく、臨場感や集中、吸収力、人とのつながりが実感として得られるリアルセミナー開催数もコロナ渦に比べだいぶ増えています。
令和5年10月よりインボイス制度が施行されました。
これにより、個人事業主によっては業務に大きな影響が及ぼされたり、今までの商流ではままならないといったケースも出てきます。
EC業界では、法人に商品を卸している個人事業主に影響が出てくるかと思います。
さらに、昨年よりフォーカスしてきた2024年物流問題ですが、2024年4月より本格的に施行する物流、運送業界の働き方改革関連法により業界は愚か、EC業界や消費者においても大きな影響が及ぼされるものとして認識をしています。
既に働き方改革関連法の施行に向けての準備を行っている事業者も、今までの環境やルールの改革に苦戦を強いられています。
EC業界では、送料値上げが引き続き行われていく中、商品販売おいての考え方も柔軟に変えていく必要があり、消費者にとっても商品到着までの時間などが今までの認識の様にはいかなくなることなどもあり、ある程度のシュミレーションは出来ていても、実際に経験していく事により初めて目にする事実等もあり、ECの市場規模にどのような影響を及ぼすかが心配の要素となります。
経産省が発表した国内ECのBtoCの市場規模として、2022年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、2021年の20兆6,950億円に対し22兆7,449億円まで拡大しており、のEC市場規模は420 兆 2,354 億円(前年比 12.8%増)となっている。BtoC-ECの市場規模の内訳として、物販系、サービス系、デジタル系とあり、増減率においては物販系が5.37%増、サービス系が32.43%増、デジル系がマイナス6.10%となっている。旅行・飲食・チケット・予約、理美容等による事前決済に該当するのですが、この伸び率は脅威といっても大げさではなく、前年のコロナ渦での市場規模の伸び悩みが戻ってきたと言えます。
そしてEC業界を支えるベンダー企業の考え方も、大きく変わりつつあることを実感しています。
例えば、EC運営代行を専門とした事業者は、そのノウハウや経験値、情報収集力等が資産であり、限られた事業者でなければ成果を上げることが出来ない時代が続いていました。
〇〇ジャンルに強いとか、楽天に強い、amazonに強い、自社ECにつよいと言った個性が見受けられ、運営代行の依頼先の相性によっては、双方でWIN-WINの関係が持続します。
最近おいてはリモートでのやり取りが一般的になってきたことにより、全国にECの運営代行会社が増加していると感じます。
お互いにWIN-WINの関係を築いていく事が出来れば、依頼者はEC以外の他の展開が可能になります。
実店舗展開を行っている依頼者は、OMO戦略展開に力を入れることも可能ですし、今まで以上にCRM戦略展開に力を入れていく事が可能になるでしょう。
また、EC運営にかけていたリソースやコストなども環境整備出来ていけば、商品開発や事業計画の精査にもより力を入れることが可能になっていきます。
今後においては、EC運営プレーヤーはこれからも増加していくということを念頭に、ニッチ系やオンリーワン商品、製造販売等でない限り、同ジャンルのEC店舗の参入の脅威も増加していくという事は常に意識していく必要があります。
EC運営事業者様にとっての2024年は、次への一歩を踏み出すためのリソースの確保と、OMO戦略、CRM戦略の強化がひとつ大きな鍵を握るのではないかと感じています。
最後に、当会は本年も引き続き、常に最新の業界動向や様々な視点から市場の動きを睨みつつ、より優秀なECコンサルタントや企業内のEC事業部リーダーを多く輩出できる様、邁進していく所存でございます。
本年も皆様方の益々のご隆盛とご健勝を心からお祈り申し上げます。
理事【小林厚士のプロフィール】
地方型Eコマース経営・運営総合的アドバイザー
主な経歴
1996年:建設業にてCADとの出会いによりPCへの可能性に目覚め転職を決意
1997〜99年11月:自作PC制作、販売、環境構築、法人向けトレーナー
サービスを展開
1999〜05年3月:ネット販売会社設立 2箇所の海外支店をハブに、最大7店舗のネットショップ運営展開を行う
2005年4月〜:アイズモーションウェブコンサルティング設立
2007年6月:株式会社アイズモーション設立
2013年:WEB・EC及び経営コンサルティング支援を行い現在に至る
・99年より楽天市場出店を期に、最大7チャネルのECサイトを運営
楽天店舗では02年楽天ショップオブザイヤースーパーオークション賞受賞
・長野県・新潟県・富山県・山梨県登録専門家(IT部門)
長野商工会議所経営革新支援アドバイザーセンター 登録専門家
経済産業省中小企業支援ネットワーク強化事業 認定専門家
物販で培ったマーケティングノウハウを活かし、経営視点かつ現場最優先の実践的なコンサルティングを得意とする。