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事業計画とは何か 〜ネットショップならではの指標について

JECCICA客員講師 渡辺 太志

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ネットショップにおいても、事業計画書は必要不可欠です。特に開業の場合は、中・長期ビジョンを策定しながらの事業計画書が無くては、事業として成立しない可能性が高いのです。まずは、ネットショップ開業のケースから検討してみましょう。

以下のケースが該当すると思います。

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  • これまで店舗販売・卸販売だけだった自社商品の「直販サイト」を立ち上げたい。
  • 既存のネットショップが好調なので、別商品でもう1店舗出店したい。
  • 自社ノウハウを生かした新規事業としてITサービスを立ち上げたい。
  • 数年前に作成したオンラインショップを「リニューアル」して、規模を拡大したい。

 

いずれの場合も、新たに事業計画を策定する必要があります。

その中で、今回はネットショップ開業及びリニューアルの際に、事業計画書作成時に立案しなければいけない事項や、検討しなくてはいけない項目について述べさせて頂きます。

特に創業・起業・独立でネットショップを立ち上げる方は、必須項目です。

 

まずは、開業資金の調達

最近のネットショップは、自己資金だけでは開業できないケースが多くなっています。

一言に「開業資金の調達」といっても3種類に分類されます。

  1. 自己資金
  2. 借入金
  3. その他

 

特に開業の際は、ネットショップオープン時に、投資する金額は年々高額になっております。

一般的にサイトの構築費用だけしかイメージされませんが、売れるネットショップを構築するには、それ以外の資本投下が必要不可欠になっております。

 

1.「自己資金」ですが、これは開業時に用意されている預貯金のことです。

 

2.「借入金」ですが、業時や事業拡大時に、金融機関から借り入れ、開業時に準備出来る資金のことです。

法人の事業拡大でなく、個人創業の場合は、一般的に融資される金額は自己資金と同額とされていました。しかし昨今は、政府も創業を応援する傾向にあります。

個人創業の場合は、日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」や商工会系の「創業者支援資金」といった優遇された融資制度を利用すべきです。

 

3.「その他」ですが、親類や友人、共同出資者等から開業までに融通してもらえる資金のことです。

ここでは「補助金」や「助成金」は含まれません。

これらは開業以降に入金されるからです。

 

「開業・独立」の場合は開業費用を明確にする

「開業・独立」の場合は、その際に必要な経費を明確にします。

具体的には

  • 〈事務所店舗費用〉店舗賃貸契約費/店舗保証金/店舗前家賃/工事費等
  • 〈什器・備品費用〉店舗用品費用/オフィス用品費用/パソコン・OA関連費用/文具・事務用品・その他
  • 〈初期仕入費用〉
  • 〈会社設立費用・開業諸経費 等〉

開業資金から開業費用を引いた額が、「運転資金」となります。

 

1年目の売上設定を行う

事業スケールを明確にして、売上目標値を設定する。ネットショップの運転資金が明確になったので、まずは1年目で見込んでいる売上を設定します。

この目標額の設定で、事業スケールが明確になります。

ここを軽視して「売上は多ければ多いほどいい」や「ネットで注文入るから、売上目標なんて決められない」と考えられる方が非常に多いのです。

それは、事業計画立案以前の問題です。

 

ネットショップだからこそ、これから販売する商品のマーケティング調査を緻密に行い、販売ターゲットやライバル店舗の分析を、しっかり行った上での1年目売上設定を行います。

売上の計算方法は、ご自身で調べて明示できるようにします。

根拠が適当ではいけません。

しっかりと考えて、算定根拠を明示できなくてはいけません。

 

開業後の営業見通しを検討する

1年目の売上目標から、一ヶ月あたリの経費を検討する。1年目の売上目標が出来てから、これを月毎の売上に置き換え、発生する経費を検討します。経費については以下の項目を検討します。

  • 原価:商品の販売、製造、サービス提供に必要な仕入・原材料費用のことです。
  • 人件費:従業員(正社員・契約社員・派遣・パート・アルバイト等)に支払う給与や福利厚生費、社会保険料、各種手当のことです。
  • 役員報酬:役員(社長個人を含む)への報酬のことです
  • 地代家賃:店舗や事務所の家賃(共用費含む)のことです
  • 水道光熱費:店舗や事務所の電気・水道・ガス代になります。
  • 通信費:店舗や事務所の電話・FAX、ネット回線やプロバイダー費用になります。
  • 広告宣伝費:ネットショップのモール参入費用やリスティング広告、アフリエイト費用等のネットショップの販売促進費用になります。
  • その他営業諸費:コピー代や旅費、事務用品、消耗品等費用のことです。ネットショップの場合は商品送付の送料がここに含まれる場合もあります。
  • 借入金返済:開業資金で借入をした場合に毎月返済する費用のことです。

 

これらの経費をすべて合算し、月毎の売上から引いたものが利益となります。

本来の会社経営であれば、営業外収益等もあるのですが、ネットショップという観点で考えると、検討する必要は無いかと思います。

経費も算定根拠が適当だと、大変なことになりますので、じっくり検討する必要があります。

 

以上の計画を1年目、2年目、3年目で計画します。

これによって、この事業の損益分岐点が明確になり、売上に対して適正な経費なのかを判断出来ます。

何度も検討し、このネットショップが事業として成立するかを判断します。

また、創業の場合は、事業が軌道に乗り、黒字化するまでは7ヶ月以上かかるといったデータもあります。

借入金に大きく依存した場合は、毎月の返済額が大きくなるので、売上が伸びないと一気に資金繰りが苦しくなります。

 

 

これらの数値シュミレーションが完成したら、以下の項目を再検討します。

1.全体の事業イメージを構築する

「創業の動機、事業の目的、将来的なビジョン」を明確にします。当たり前ですが、どのような目的で何をどうするかをはっきりさせます。

事業に対する考え方や熱意、将来的な事業展開を説明します。

「市場調査」結果を分かりやすく説明します。

これから始める事業の市場規模、将来性、取り巻く環境等を調査し行う事業内容の裏付けを行います。

新しく取り組む事業の場合は、既存で展開されている事業との差別化や顧客にもたらす付加価値について書けると効果絶大です。

 

2.具体的な事業内容について説明する

提供する商品、サービス、技術等やこれらの供給方法にどのような特徴があるのか、また顧客となるべき対象のニーズにいかにマッチしているかを簡潔かつ分かりやすく説明する必要があります。

これには売上計画と経費計画をベースに「販売計画」と「仕入計画」を作成し事業に対するお金の流れを明確にしなくてはいけません。

 

最後に、このネットショップ事業の素晴らしさや、これまでの経験、開業に向けて準備してきたことを明確に説明できれば、ネットショップの事業計画書は完成します。

これらを実行し、金融機関を唸らせるような事業計画書を作成して頂きたく思います。

 

 

JECCICA客員講師 渡辺 太志

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コンサルタントとして企業の経営戦略から組織開発までトータル支援が可能。SNSを活用した集客・販促により宣伝広告費の圧縮を行い、経営改善に繋げるシステム作りのコーディネートを得意とする。

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