ネットショップを始めるために必要なモノ・コト・ヒト〈1〉
商材について
ネットショップを始めるに当たり、販売する商材がそのショップの命運を分けるといっても過言ではありません。
これより商材について、いくつかの例を挙げ、それぞれのメリットデメリットを説明していきたいと思います。
実店舗(会社)で扱っている商材をネットショップで販売するケース
実店舗で販売している商材を、そのままネットショップの商材とする。
正直、そんな安易な考え方でネットショップ運営を行っても、成功しないケースが殆どです。今一度立ち止まり、自身の持つ商材について、じっくり検討してみましょう。
メリットとしては、実際実店舗で扱っているので、商材知識が非常に豊富であったり、購入ユーザーの「生の声」を既に持っている事や、ほかよりも優遇された仕入れ条件を持っているところは、更に強みがあるでしょう。
また、在庫を実店舗と併用出来る部分も出てくるので、仕入れや在庫管理等においての効率化が図れるといった面もあります。
また、いわゆるブルーオーシャン戦略が投入できる商材をお持ちである所は、ウォンツとニーズの分析にもよりますが、非常にネットショップ向きであると言えます。
デメリットとしては、実店舗でもそこそこ売れているから、ネットショップでも売れるだろうと、勝手な憶測が働いてしまう場合がありますので、注意が必要です。
新たに販売商材を設定し、ネットショップで販売するケース
ネットショップ運営メインで起業をされる方、全くの別事業で展開を行う企業となります。何かのご縁があったからとか、その商材に情熱を抱いていたり等、何らかのきっかけや経緯がある中、意思を持って商材を決定しなければなりません。
多くは趣味やセミプロレベルの知識を持ったジャンルの商材を選ぶケース、様々な事情により、全く違う新たなジャンルを選ばれる2つのケースがあります。
メリットは「自分で商材を選べる」事に尽きます。
事前リサーチやシュミレーションは必須ですが、場合によっては、ほかの人が目をつけておらず、非常にニッチで、コアな層に対してウォンツとニーズが見込める商材を探し当てることも、もしかしたら可能です。どうしても実店舗で販売している商材を投入しなければならないという柵もありません。
デメリットは、仕入れ条件が悪かったり、仕入れルート確保に苦労したり、企業間取引契約が締結にまでいたらなかったりと、初動より満足のいく仕入れが行えないケースが見受けられます。
まだ世に出ておらず、ウォンツもニーズもわからない、たった一種類だけの商材に情熱を注がれる方も多く見受けます。
新規の販売商材発掘については、大変注意が必要となります。
材料から製品にし、それをネットショップで販売するケース
いわゆる生産者、製造メーカーの部類に入り、B2Cを行って行くスタイルがメインとなります。
メリットとしては、製造元になりますので、「粗利確保」が通常の商流よりも優遇される点があります。
ネットショップ限定商品や企画などに、柔軟かつスピーディーに対応が可能となり、B2Bでは見えなかった、様々な販売チャンスが生まれてくるでしょう。
デメリットとしては、既に商流を持っている場合、「直販」スタイルとなるので、既存の卸先や代理店等からのクレームが多く出やすいという点があります。
その辺りの諸問題をクリヤーしてからの販売開始となることをあらかじめ認識しておく必要があるでしょう。
委託商品もしくは受注発注形式メインに、ネットショップで販売するケース
在庫を持たずに商品販売が可能になり、仕入れ資金面、倉庫等の諸経費面で優遇されます。
ジャンルや業種によっても様々ですが、ある程度の取引実績がないと実現できないケースが殆どなので、仕入れ実績高を見つつ交渉を行っていき、徐々にウェイトを増やしていく方法が好ましいです。初動から取り入れる事は難しいでしょう。
メリットとしては、在庫を持つ必要が無いため、旬が過ぎた、誰もが見向きもしないデッド商品を持つといった、在庫リスクを軽減できるという点が最も大きく、ジャンルによっては、トレンド商品の情報を入手しやすいでしょう。
デメリットとしては、委託商品の場合、商材を持っている業者に対して、委託商品販売が可能になるまでの信頼感獲得プロセスが必要となる点や、当然、通常仕入れよりも原価が高い場合が殆どとなります。
受注発注形式の場合、注文を頂いたものの仕入先に在庫が無く、機会損失を招き、購入ユーザーが納得するまでやり取りを行わなければならず、場合によっては不信感を抱かれるケースがでてきます。
顔の見えないユーザーとのトラブルは極力避けることがネットショップ運営の基本となります。
まとめ
ネットショップの歴史はまだまだ浅いものがありますが、現在既に「同じ商材を販売しているショップ(既にライバルのいる市場)が非常に多い」のが現状です。
従って販売する商品のジャンルによっても、様々な戦略・戦術を打ち出す必要があります。ここはリアルもネットも関係なく当然商売ですので、緻密に計画された明確な売上目標の中、運転資金を確保しつつ、在庫回転率や仕入先への支払い等、重々考慮していく必要があります。
販売商材によって、企業の運営スタイルが決まるといっても過言ではありません。
販売商材については、事前に可能な限りの販売シュミレーションを行い、販売商材を決定することをお勧めします。
JECCICA理事・特別講師 小林 厚士
地方拠点かつ海外事業部展開をしたEC企業経営で培ったマーケティングノウハウ及び実績を活かし、経営戦略的視点を重視した、現場最優先の実践的なアドバイスを得意とする。