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2024年物流問題を考える 荷物の住所情報不備問題

2024年度問題というと、物流会社スタッフの労働時間超過に目が向けられがちだが、その原因である荷物の住所情報の不備による再配達問題については、あまり話題にならない。

この再配達問題は、物流会社に限ったことではなく、我々の身近なEC事業者の出荷担当者にとっても大きな負担となっている。

そこで、これまであまり話題にならない荷物の住所情報不備について、取り上げてみたい。

EC事業の出荷担当者は、受注データをもとに物流会社の指定した宅配便の送り状発行データを出力し、物流会社に引き渡している。本業務はEC事業において非常に重要であるものの、上手く行って当たり前だと思われており「せつない」。

特に問題がなければ、受注管理システムが自動的に送り状発行データを出力できるが、住所情報に不備があると下記業務が発生し、「せつなさ」が増大する。そして度重なる住所情報の不備は、担当者の心を折り離脱(退職)へと繋がる。EC事業者にとっては、2024年問題より深刻である。

①出荷伝票データが正しく出力されるよう住所情報を修正
②正しい住所情報を取得するためのお客様との電話連絡
③修正した住所情報をもとにした再発送手続き
④不着や遅配によるクレーム対応

では、住所情報不備がどのようにして発生するかについて見てみよう。

郵便番号検索問題
送り状発行データは、郵便番号と市区町村名が正しければ出力できる。しかし、住所情報不備は市区町村名以下(町域)で発生する。そしてその発生率は、5〜10%程度である。すなわち100件の注文につき、多い時には10件もの住所情報の修正作業が必要となる。

現在一般的なECシステムは、郵便番号によって住所を入力することができるのに、なぜ、住所情報不備問題が発生するのか?

その答えは郵便番号の役割にある。

郵便番号は、日本郵便が郵便物を配達するための配達区分情報であり、住所データを管理するものではない。

そのため下図に示す町域(小字)については、ほとんど管理されておらず、郵便番号による住所入力では、手入力による住所情報不備が発生してしまうのである。


※住所データベースを提供しているレムトス社の管理している住所データは、40万件以上あるのに対し、郵便番号で検索できる住所データは12万件ほどしかない。

市町村の統廃合問題
筆者が以前音楽アーチストのファンクラブ会員向け商品(ファングッズ)販売のフィルフィルメント事業を行なっていた際に、実際に発生した事例について紹介する。

沖縄県出身の音楽バンドがデビューし、待望のファングッズのEC販売を開始。販売当日、地元のファンから100件程の注文が入る。出荷担当者が、受注データをヤマト運輸の送り状発行システムに投入したところ、全てシステムエラーとなってしまい処理が停止してしまった。

当初システムエラーの原因が分からず困惑していたが、ファングッズの販売直前に、市町村の統廃合が行われ、入力された郵便番号と市区町村名が異なることが判明。全ての受注データを修正し送り状発行データ出力を行なった。

事業所の個別郵便番号問題
大量の郵便物が届く役所や企業に割り振られる個別の郵便番号がある。この個別の郵便番号は公開されていないため、宅配便の送り状発行システムでは管理できず、受注データを取り込むとシステムエラーとなってしまうのである。

〒100-8280は、千代田区丸の内1丁目6番6号にある某大手企業の個別郵便番号である。この個別郵便番号をもとに、日本郵便サイトにて郵便番号検索を行うと「該当する郵便番号が見つかりませんでした。再度検索を行ってください。」と表示される。

同じく日本郵便サイトにて、該当住所から郵便番号を検索すると〒100-0005と表示される。

すなわち〒100-8280は、〒100-0005に変換しないと、宅配便の送り状発行データが出力できないのである。

これらの事例のように、住所情報不備問題は起こるべきして起こる。その度に出荷担当者の時間が奪われるのである。

そこで注目したいのが、前述のレムトス社が提供する住所情報入力支援システムである。同システムは、地道に収集した膨大な住所データをもとに、独自開発したRemtoss AIによって、誤入力された住所情報を、正しい住所情報に変換してくれるのである。

下表は誤入力された住所情報を、Remtoss AIが正しい住所情報に変換した結果である。


なぜこのような変換が可能かについては、企業秘密とのことで明かされていない。

同社の住所情報入力支援システムは、Web APIを提供しており、現在GMOペポパ社のECシステム「カラーミー」にオプション追加できるようになっている。既に導入済みの某社の住所情報不備問題に役立っているとのことである。

もちろん、このWeb APIは他社のECシステムにも組み込むことが出来るため、物流会社の2024年問題もさることながら、出荷担当者の「せつなさ」解消のためにも、導入を検討してみては如何だろうか?

松井 功

松井 功

1986年 株式会社日本ビジネスコンサルタント(現:日立シ
ステムズ)入社
1997年 独立。Web&ECソリューション事業会社設立
2006年 ECフルフィルメントサービス提供開始
国民的女性アイドルグループをはじめ、50以上のファンクラブ向け
ショップサイトの構築・運用を手掛ける
2015年 ビートレンド株式会社入社。
EC事業者さま向けにコマースCRM(ショップアプリ)導入を推進
2020年 betrend OMOソリューションの提供を開始


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