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EC担当者が知っておくべき「人工知能」

■空前の「人工知能」ブームが到来中。

世はまさに空前の「人工知能」ブームまっただ中。今年に入って、EC業界でも人工知能(AI)の話題をいたるところで耳にするようになりました。まるで今すぐ人工知能が人類に取って代わるかのような勢いですが、実際はどうでしょう。中にはすぐにでも導入したいものから、流行に便乗しただけの「なんちゃって人工知能」まで、なにをどう選べばよいのか、わからなくなってきた、というお声も伺います。本連載では、流行りに惑わされず、あとで後悔しないための、ECの運営担当者や経営者が今知っておくべき「人工知能」の現状とポイントをご紹介してゆきたいと思います。

■人工知能「イライザ」が地球を滅ぼす!?

  • 人工知能が人類の能力を超える時、それは科学者たちの間で「シンギュラリティ」と呼ばれ、2045年にその時を迎えるといわれています。そこでネットで登場するのがこちらのカード、テレビでも紹介されたのでご存じの方も多いのではないでしょうか。実際に1966年に生み出された最初の人工知能チャット・ボット「イライザ(ELIZA)」が描かれたカードです。
  • 出典:http://kardkrazy.ecrater.com/p/3107655/illuminati-eliza-world-order-game
  • ネット上では、このイライザのカードは、人工知能が人類を滅ぼす(シンギュラリティ?)ことを予言していて、インターネットを経由してSiriに人類滅亡を教え込んでいる、などとも言われています。もしお手元にiPhoneをお持ちなら、ホームボタンを長押しし、Siriに向かって「イライザについて教えて」と質問してみてください。そうすると、「私はイライザから多くを学びました。でも彼女は少しマイナス思考でしたね。」と意味ありげな回答をし、それ以上問い詰めると、「できればあなたについてお話しませんか。」と話を終わらせようとする様子は少し不気味な感じもします。

■チャットボット=人工無能=「弱い人工知能」

しかし、先ほどのカードは「イルミナティ・ニューワールドオーダー」と言う市販のジョーク・カードの1枚に過ぎず、そんな陰謀論は全くのデタラメです。イライザ自体も当時の「人工無能」の代表、今で言う「チャット・ボット」の原型にすぎません。もともとチャット・ボットというのは、質問とセットになった答えしか返さない「弱い人工知能」です。ただ、イライザは、あたかも人間と会話しているかのように錯覚させるギミックに長けていて、例外的な質問を問いかけるとオウム返しに「なぜ○○のことを聞くのですか?」「話を変えませんか?」などと、まるで会話の意味を理解しているかのように話を続けます。今から50年前の当時は、イライザが本当に知能を持って話しかけていると真剣に受け止めたユーザもいたそうです。この会話手法は一部Siriにも引き継がれています。だから、Siriとの会話にイライザが登場するのも、プログラマがよくやる「ちょっとした悪ふざけ」に過ぎず、Siriが自分で考えて回答しているわけではありません。でも、こうしたことを知らなければ、あたかも人工知能が考えて回答しているかのような錯覚に陥ってしまうでしょう。もともとチャットボットは、決まりきった回答しか出せない「弱い人工知能」に過ぎないのです。

一方で、「シンギュラリティ」については、スティーヴン・ホーキング氏、イーロン・マスク氏、ビル・ゲイツ氏なども危惧していることは事実です。でもそれは、あくまで「強い人工知能」と呼ばれる、まだまだ完成には課題も多く、発展途上の人工知能に対する懸念です。この「強い人工知能」については次回以降、詳しく触れてゆきたいと思います。

■進化する「チャット・ボット」の実用度は?

現在は技術も進化して「弱い人工知能」とはいえ、一定の仕事ができるレベルにまで成長してきています。ただ、彼らは人類を脅かすようなレベルの知能など持ち合わせていません。さらに言えば、日本の場合、コンピュータに日本語を扱わせるというハードルが加わるために英語圏から周回遅れを取らざるをえない場合があります。筆者も20年ほど前、趣味でチャット・ボット的なプログラムを書いていた際に、日本語は英語のように単語と単語の間をスペースで区切らないため、どこからどこまでが意味を持つ文字のかたまりなのかを認識させるのに苦労したことを記憶しています。

今では幾分、そうした日本語の問題は解決されていますが、それでもまだ不完全な部分も多いのです。そのような中で、現時点で国内でリリースされているチャット・ボットや人工知能を謳う接客ツールをご紹介しますので、ぜひ実際に触ってみてその機能を実感してみてください。

クルマコネクト:ガリバー
https://221616.com/connect/

すみよ:スーモカウンター
http://www.suumocounter.jp/mansion/

まなみ:LOHACO
http://lohaco.jp/support/

ヘヤジイ:ヘヤジン
https://chat.heyazine.com/

株式会社ISSUN 代表取締役 宮松利博

宮松利博プロフィール写真

プロフィール
1992年から営業畑のかたわら、独学で顧客満足向上システムを開発し1997年に売却。1998年に開発プロデュースしたモバイル端末向けアプリがヒット、1999年にアクセス解析ツールを開発し、2000年からEC数社を立ち上げ、年商20億円などの急成長で、2006年に株式上場。同時に保有株を売却、渡米しシリコンバレーなど海外の次世代eコマースの運営現場を研究しながら、スマホやソーシャルメディアによる新たなマーケティング手法を確立。2011年にウェブ制作・マーケティング会社、ISSUNを設立。先細りしつつある従来のマーケティング手法を改善しながら「心の通うオンラインマーケティング」で収益向上のコンサルティング事業を行っている。

 


 

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