ECサイトの「転換率」を左右する要素
JECCICA特別講師 松橋 正一
ECサイトの売上げについて考えてみますと、
売上=注文数×客単価
注文数=訪問数×転換率
【売上=訪問数×転換率×客単価】
当然ながら、転換率(コンバージョンレート)をアップさせることは売上げアップにつながります。
ここでいう転換率は、カートボタン〔買い物カゴに入れる〕をクリックした数ではなく、カートに入り注文確定を行なった注文数になります。
カートに入っても、注文確定をしない率「カゴ落ち率」は、
カゴ落ち率=(カート入り数-注文確定数)/カート入り数
例えばカート入り数が10件で、その内、注文確定が3件とすると、
カゴ落ち率=(10-3)/10=0.7 となります。
転換率(コンバージョンレート)は、カゴ落ち率を減らすことで向上します。
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- 訪問数(ユニークユーザー数):100人
- カート入り数:10人
- 注文確定:3件
- カゴ落ち率:0.7
- 転換率:0.03
- 客単価:5,000円
売上=注文数×客単価
売上=3件×5,000円=15,000円
売上=訪問数×転換率×客単価
売上=100人×0.03×5,000円=15,000円
売上= カート入り数×(1-カゴ落ち率)×客単価
売上= 10人×(1-0.7)×5,000円=15,000円
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カートボタンをクリックした人はその商品に「ちょっと興味を持った人」です。「よし、買う」と意志決定した人が注文確定した人ということです。訪問者の内、注文確定した率が転換率ですが、当然、転換率が倍になれば売上げは倍になります。
売上げを倍にするには
①客単価を倍にする
②訪問数を倍にする
③カートボタンをクリックする人数を倍にする
④客単価、訪問数、転換率をそれぞれ向上させ売上げを倍にする
⑤転換率を倍にする
⑥リピート率を向上させる
などが考えられます。
①の客単価を上げるには、取り扱い商品の構成を変え商品単価を上げる、まとめ買えを促進させる。
②の訪問数を増やすには、費用をかけて広告やSEOに力をいれないといけません。
③のカートボタンをクリックする人数を増やすには、商品ページやサイトのコンテンツをよりよいものにし、信頼感をアップさせないといけません。
⑤の転換率は、カゴ落ち率を減らすことで直接影響されます。
ECサイトを効率的に改善し、転換率を向上させるには、
- 安心・納得して〔買い物カゴに入れる〕ボタンをクリックする人を増やす
- カゴ落ち率を減らす
ことが重要です。
それぞれの改善のため、ユーザーが不安になる要素を列記してみましょう。
①利用できる決済方法がわからない。
②この注文で送料がかかるのか?いくらなのかわからない。
③今注文していつ商品が届くのかわからない。
④本当に商品が届くのか?不安。
⑤商品の内容、内容量がわからない。
⑥商品画像が不鮮明で質がよくわからない。
⑦売れている気配が感じられない。
⑧カートに入ってみたら注文者情報の入力が面倒。
⑨カートに入ってみたら利用できる決済方法が乏しい。
⑩商品ページに書いてある支払い送料と異なる。
⑪カートに入ったが先に進まないと実際の支払い送料がわからない。
⑫商品ページ、カートが重くて表示速度が遅い。
ECサイトでお買い物をする場合、ユーザーは「送料はかかるのだろうか?」「いつ届くのだろう?ホントに届くのだろうか?」などを不安になるものです。
これらの不安を解消し、〔買い物カゴに入れる〕ボタンをクリックし、カート最後の〔注文確定〕ボタンをクリックしてもらわなければいけません。
転換率を左右する要素(ポイント)
- ヘッダーに会社概要、お支払い送料などのリンクや決済方法、送料をわかりやすく表示する。
- サイドナビに会社概要、お支払い送料などのリンクを表示する。
- フッターにお買い物ガイドなど概要を掲載する。
- 商品ページのカートまわりに決済方法、送料、可能なお届け日などわかりやすく表示する。
- カートの注文情報入力項目は、ユーザーにできるだけストレスのかからないようにする。
- カート内最初のページに利用できる決済方法、送料などをわかりやすく表示する。
などの工夫が必要です。
ユーザーの不安を解消してあげることが、〔買い物カゴに入れる〕ボタンをクリックする人を増やすことになり、カゴ落ち率を減らすことで転換率を向上することができます。
そのためにもユーザーの立場、目になってECサイトを眺めてみてください。
JECCICA特別講師 松橋 正一
楽天、ヤフー、amazon、自社サイトなどECサイトの運営経験を基に、数々のショップを構築サポート。大規模ECサイトの効率的な構築、データ処理システム構築を得意とする。