検索はオワコン?サイト離れを招くGoogle検索画面
何か知りたいことがありGoogleで検索をしても、サイトにたどり着く前に用事が済むことが増えてきました。
ユーザーがサイトに辿り着くまでの障壁
●検索サジェスト
「今年の敬老の日」など、すぐに答えがわかるキーワードを検索すると、検索窓にキーワードを入れてエンターキーを押すまでもなく、画面の右側にイラストとともに正しい日付がサジェストされます。この場合、サイトにたどり着くどころか、検索をする前に答えが判明します。
●関連する質問
何とか検索窓にキーワードを入れ、エンターキーを押しました。次に表示されるのはPPA(People Also Ask)、「関連する質問」です。簡単な疑問であればここで解決します。また、「関連する質問」を一つ開くと、表示が4つから6つ、8つと増えていくため、途中で欲しい情報を得られることも多く、こちらもサイトに辿り着く前に検索は終了します。
●注目されている商品
「関連する質問」が表示されないからといって安心はできません。商品を探している場合、「注目されている商品」のセクションで、Amazonや楽天などECモールの商品が大量に表示されます。それだけで終わらず、最近では¥2,500以下、¥2,500~¥5,000など、値段別のセクションも表示されるようになりました。
通常のSEOでサイトに辿り着くためには、これら多くのセクションを乗り越える必要があります。
●検索AIの出現
そもそもGoogleで検索しなくなる動きもあります。
Genspark(https://www.genspark.ai/)やPerplexity(https://www.perplexity.ai/)といったAIサービスを使うと、検索キーワードに合わせてAIが複数のサイトを同時にブラウジングし、レポートを作成してくれます。1つのサイトだけでは得られない網羅的な結果が得られるため、私自身も最近はGensparkを多用するようになりました。
懸念点は検索結果の正確さですが、GensparkにはAutopilot Agentという機能が追加され、検索結果が正しいかを自動でクロスチェックするようになり、正確性も向上しています。
この場合もAIによる「引用」は行われますが、サイトに辿り着く前に検索行動は終了します。
逆に、Googleで見つけやすくなっているもの
通常のサイトに検索で辿り着くのが難しくなっている一方で、Google検索画面に追加されているセクションもあります。
SNSの投稿
会社やサービス名で検索した場合、その会社の公式アカウントだけでなく、一般ユーザーの投稿もGoogleに表示されるため、「#ハッシュタグ」もSNS内だけでなくGoogle検索に引っかかるという視点が必要になっています。
ショート動画
今年の8月頃から、検索画面に「ショート動画」の項目が表示されるようになっています。InstagramやTikTokの投稿や、サイト内の埋め込み動画で60秒以内のものが採用されているようです。
Googleの方針から分かること
これらの変化から見えてくるのは、Googleはユーザーにとって必要な情報をできるだけ迅速かつ直接的に提供しようとした結果、サイトへのアクセスは必ずしも必要ではないと考えているようです。
一方で、ウェブサイト運営者やマーケターにとっては、従来のSEO戦略だけでは十分ではなくなってきています。以下のポイントを踏まえて、戦略を見直す必要があります。
構造化データの活用:サイト内の情報を構造化データでマークアップし、検索エンジンやAIが理解しやすい形で提供することで、「関連する質問」やAIの引用に表示される可能性を高めます。
動画やSNSの強化:ショート動画や画像、SNS投稿など、多様なコンテンツ形式を取り入れることで、検索結果の様々なセクションでの露出を狙います。
指名検索を増やす:ユーザーがブランド名やサービス名で検索する「指名検索」を増やすことで、他の競合サイトとの差別化を図ることができます。そのためには従来の検索広告より、動画での認知広告やPRが今後さらに重要になっていくことが予想されます。
まとめ
せっかく作成したコンテンツがGoogleに学習され、要約されてしまうのは何とも言えない気分ではありますが、「時代の流れ」と割り切ってSNSと動画を頑張るしかないようです。時代の波に乗り遅れないよう、私も「検索される」から「フォローされて選ばれる」存在を目指していこうと思います。

JECCICA客員講師 矢崎 宏一郎
(株)ISSUN チーフマネージャー
得意分野/WEB広告 EC販売支援
WEB広告のなかでもAI系広告を得意とし、事業規模に合わせた集客戦略でD2Cの売上を2年で10倍にするなどで、日本上位3%の代理店であるGoogle Premier Partner認定に貢献。