「伝える」と「伝わる」のあいだに Vol.17 仕事が嫌になったら「ジ・オファー」を観よう

こんにちは！読者のみなさまにおかれましては仕事に忙殺されている人も多いかと思いますが、そんなあなたにぜひとも観てほしい作品があります。
公開は2022年なので「とっくに観たよ」という方もいると思いますが、私は2年遅れで出会ってしまって今めちゃくちゃ盛り上がっています、すいません！

それは「ジ・オファー／ゴッドファーザーに賭けた男」という、全10話のドラマ作品。今はU-NEXTで観ることができます。タイトルから分かる通り、あの名画「ゴッドファーザー」の制作舞台裏を描いた物語です。むろん脚色はされていますが実際のエピソードに基づいており、登場人物も実在の人物ばかり。

★実はみーんな崖っぷちだった
「ゴッドファーザー」は公開されるや当時の興行記録を塗り替える大ヒットとなり、アカデミー作品賞、主演男優賞、脚色賞も受賞。いま観れば監督・俳優ともに歴史に名を残す大物しかいない…という誰もが知る不朽の名作ですが、この「ジ・オファー」を観て驚きました。

原作こそベストセラーではあったけど、パラマウントの製作責任者は親会社から「ヒットを出さないと後がないぞ」とせっつかれてる。プロデューサーは畑違いの業界から転身してまだほとんど実績なし。
他に断られた挙句にお鉢が回ってきたコッポラ監督はヒット作がなくマイナー。主演俳優マーロン・ブランドは人気が下降気味の上、気難しくて業界内で敬遠され気味。もう1人の主演アル・パチーノは当時ほとんど無名ゆえ、会社からは起用を猛反対されてる。
…とまあ、今聞くと「うそでしょ？？」と言いたくなるような「難ありチーム」だったわけです。そして実際に製作がスタートしたらしたでまあ、よくもこんなに…と笑けるくらい、次から次へとえげつないトラブルが続くのですよ。

★あの人もこの人も奮闘してる
このドラマをなぜおすすめするかというと、徹頭徹尾「仕事めっちゃ大変！ドラマ」であり、「各々が各々の立場でいかに苦労してるか」がよく描かれているからなのです。

プロデューサーからすると…現場（監督スタッフ役者）はこだわりが強くやりたいことを曲げず、勝手に予算が膨らんでいくし、上層部からはあれダメこれダメと難癖をつけられ続け、その板挟みがものすごい。
製作現場からすると…せっかくいいものを作ろうとしているのに、映画のこともろくに知らない会社の人間がケチをつけまくるのでやりたいことがやれず、製作が進まない。
経営陣からすると…映画マンたちの常識をわきまえない勝手すぎる振る舞いで会社が傾くピンチに見舞われ、腹立たしさが止まらない。

これだけ聞くと「そんな胃が痛くなりそうな話やだ！」ってなりそうですが、見事なエンターテイメントに仕上がっているので、ありえないほどヤバいトラブルも最後には「ううむそう収めたか！」ってニヤニヤしちゃうのです。さらに自分の仕事に置き換えてぶんぶん頷いたり、学びがあったりします。

大きな仕事を成し遂げる時は立場も考え方もまるで違う人たちが集っているわけで、そう簡単にはまとまらないし、トラブルも起こる。だけど自分1人がモヤモヤを抱えてるわけではなく、それぞれがそれぞれの立場でのこだわりや良き解決方法を模索しながら進んでる。自分の立ち位置からは見えないそんな景色を、この作品はたくさん見せてくれます。
というか「彼らに比べたらラクかも」なんて思ったりして、お仕事トラブル耐性がつきそう。そういう意味でも観る価値はあります（笑）

★乱暴すぎる学び一覧
というわけで、全員クセモノでワガママ、でも全員が熱くてプロフェッショナルなこの作品について語りたいことはまだあれどこのへんにしておいて、全話通しての気づきや教訓をダーッと並べてみますね。

・やりたいことは絶対にやるという信念
・上にへつらわない折れない
・でも困ったら「助けて」って堂々と言う
・こだわりは捨てない
・だから衝突を恐れずどんどん喧嘩する
・言いたいことは言っちゃえ
・ヤバいトラブルでもうろたえるな
・「大丈夫、何とかする」と言っとけ
・方法は後で考えろ
・利用できるものは何でも利用する
・誰にも支持されなくても貫く
・もうだめだと思ったらスピーチで何とかする
・直接会いに行って熱心に話せば解決する
・だからとにかく今すぐ会いに行け
・えらい人の懐に入れ
・ここぞというときに出てきてもらえ
・下の人間をバカだと思うな意見を聞け
・全く気が合わず理解しがたい人がいても、その人はその人なりの信念があったりする
・顔も見たくねえと100回思っても、仕事がうまくいくなら手を組もう（個人の好き嫌いとは別）

登場人物たちがどんなに苦しみ何度絶望しようと、観てる私たちは知っています。苦労の末うみだされた「ゴッドファーザー」がどんな評価を得るかを。だから最後までわくわく観ていられる。
いっぽう私たちの仕事も日常も、その結末は誰ひとり知らない。でもがむしゃらにやっているなら、きっと盛大なハッピーエンドになるに違いない。そう信じて暮したい。そう思いました。