AIで進化する日本のネットスーパー:注文から配送までの自動化事例
ショート動画が象徴する現代の消費者行動
最近、週2日ほど出社する機会が増えた中で、通勤電車や公共の場でスマートフォンを手にショート動画を楽しむ人々の姿が増えていることに驚きました。LINEリサーチによれば、10代の約7割がほぼ毎日ショート動画を視聴しており、特に10代女性ではその割合が6割に達しているそうです。しかし、私の通勤ルートでは、年齢や性別を問わず、多くの人が自動再生されるショート動画を延々と見続けているのが印象的です。
こうした短時間で効率的に情報を得る消費スタイルは、2022年ごろから普及した「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉とも結びつきます。この言葉の普及自体が、多くの人に時間効率を意識させる要因になったのかもしれません。かくいう私も、ECで買い物をする際にはタイパを重視し、利便性を求めるあまり、かえって時間を無駄にしてしまうことがあります。
特に、利便性を追求する消費行動が顕著に見られるのは、衣食住のうち「食」に関連するサービスではないでしょうか。ネットスーパーにおいても、消費者は商品を探す手間を省き、直感的で効率的な購買体験を求めるようになっています。
食料品購入の煩雑さを軽減するAI活用―イオンのネットスーパー「グリーンビーンズ」
私は普段、ネットスーパーとリアル店舗を併用して買い物をしていますが、最近、新たにイオンが展開するネットスーパー「グリーンビーンズ」を利用し始めました。このサービスは、AI技術を活用した便利さと高い品質で、日々の買い物を効率化してくれる優れた選択肢です。
グリーンビーンズの概要と3つの特長
グリーンビーンズには、「便利さ」「信頼性」「豊富な選択肢」という3つの特長があります。AIを駆使した「スマートカート」や柔軟な注文システムによって、消費者が欲しい商品を効率的に購入できる点が大きな魅力です。さらに、配送時間を朝7時から夜11時まで1時間単位で指定できる柔軟性、配送予測通知、そして長時間対応のカスタマーサポートが利用者に安心感を提供しています。
ラインナップも充実しており、冷凍食品や大容量商品に加え、地域特有の商品やミールキット、ピカールの商品など幅広い商品が揃っている点も特徴的です。また、AIによる在庫管理により欠品率を低く抑え、必要な商品がいつでも手に入る仕組みを実現しているそうです。さらに、サービス上には季節のレシピなどが掲載されており、レシピからそのまま食材をカートに入れることも可能です。ネットスーパーというと商品選びが事務作業のように単調になりがちですが、単なる買い物以上の楽しさを提供してくれます。
AIが生む新たなショッピング体験:「スマートカート」に感動
私がグリーンビーンズを利用して最も感動したのは、AI技術を活用したWebやアプリ上の体験「スマートカート」です。この機能では、過去の購入履歴をもとにAIがユーザーが必要としそうな商品を提案し、カートに自動的に追加してくれます。
例えば、定期的に購入している牛乳やパンが事前にカートに入っているので、買い忘れの心配がありません。また、季節に応じた商品やキャンペーン対象商品も提案されるため、新しい商品との出会いのきっかけにもなります。商品を一から探す手間が省けるだけでなく、最適な選択肢を提示してくれることで、効率的なショッピングが可能になりました。
特に忙しい日常を過ごす中で、「探す手間」を省いてくれるスマートカートの存在は非常に便利で、使うほどにパーソナライズされる体験が楽しめます。
柔軟な物流体制がもたらす利便性
グリーンビーンズでは、物流の面でもAI技術が活用されています。千葉県にあるフルフィルメントセンターでは、イギリスのネットスーパーを事業の中心とする小売業者「オカド(Ocado)」の傘下企業「オカド・ソリューションズ(Ocado Solutions)」が提供する最新型ロボットが導入されており、1分間で約50点の商品を迅速に処理する能力を持っています。この効率化により、商品が適切に管理され、必要なタイミングで配送が可能です。
また、配送時間を朝7時から夜11時までの1時間単位で選択できる点も非常に便利です。私の場合、仕事のスケジュールや生活リズムに合わせて配送時間を柔軟に設定できるため、買い物と生活の調和が取りやすくなりました。配送予測通知もあるため、受け取りのタイミングを正確に把握できる点も安心感につながっています。
忙しい現代の消費者にぴったりのネットスーパー
グリーンビーンズは、AIを活用した利便性の高い機能と、安心できるサービスで、日々の買い物を快適にしてくれるネットスーパーです。特に、スマートカートの直感的な使いやすさと、1時間単位で選べる配送システムには感動しました。
これらの特長が組み合わさることで、単なる便利さだけでなく、生活の中に新しい価値を提供してくれる存在として、私にとって欠かせないサービスとなりました。忙しい日常を過ごす消費者にとって、グリーンビーンズは非常におすすめのネットスーパーだと実感しています。
アプリによる一気通貫したシームレスな体験を提供
グリーンビーンズのアプリは、商品選定からカート投入、購入手続きに至るまで、ECサービスにおける重要な一連のフローを効率的かつシームレスに提供しています。特にAIを活用した「スマートカート」によるパーソナライズ体験が特徴的です。この機能により、単調になりがちな食品選びのプロセスが効率化され、日常の必需品である食料品を選ぶ負担を軽減します。
食料品は毎日の消耗品であり、購買決定の頻度が多いため、選択に伴う煩雑さがユーザー体験上のペインポイントとなりがちです。グリーンビーンズのスマートカートは、過去の購入履歴や嗜好データを活用し、ユーザーごとに最適な商品を提案・自動カートインすることで、このペインを見事にカバーしています。これにより、買い忘れの防止や検索時間の短縮だけでなく、ユーザーが無意識のうちに重要な選択を効率よく行える体験を提供しています。
さらに、アプリは配送体験の向上にも注力しています。フードデリバリーサービス「Uber Eats」のように、商品の発送準備、配送開始、到着直前といった進捗がリアルタイムでプッシュ通知される仕組みを採用しています。これにより、注文を忘れてしまった場合の不在リスクや、「いつ届くのか」といった不安を解消します。通知による適切な情報提供は、ユーザーとのコミュニケーションを強化し、信頼感を高める重要な要素となっています。
AIが切り開くネットスーパーの新時代
AI技術を活用したネットスーパーは、消費者の「探す手間」を省き、直感的で効率的な購買体験を提供しています。グリーンビーンズのようなモデルが業界全体に広がることで、より多くの消費者がその恩恵を受ける未来が期待されます。AIの進化が、ネットスーパーを「便利」から「手放せない」存在へと押し上げるでしょう。

JECCICA客員講師 村石怜菜
株式会社パルコ・シティ シニア・コンサルタント。
日本女子大学被服学科卒。大手専門店企業で接客販売・店舗運営を経験した後、Eコマース支援企業で数々のファッションブランドのECサイトの構築や運用に携わる。現在は、ファッション専門店や商業施設へのECコンサルティングを得意としている。また、クライアント企業のオムニチャネル戦略の計画・実行を支えている。