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「やられた!」 2024年4月を一言でまとめるとすると、これにつきます。

「やられた!」
2024年4月を一言でまとめるとすると、これにつきます。
過去何回か本誌でもアナウンスしましたが、Gmailが「2024年からメールの規制を厳しくするよ」と発表し一部の界隈では大騒ぎとなっているなか、受信側であるGmailや各メール関連サービスが不穏な動きをするようになっています。例えば、Gmail自身の誤判定、Microsoftの過剰ブロック、iCloud の過剰判定などなど、かつては「たまにおきること」だった配信異常が日常的に起きるようになってきました。

そしてこの2024年4月、日本の暦では物事の始まりの月。各ECショップ、企業、自治体などでは年度替わりのキャンペーンやイベントを開催することが通例ですが、今年はそれらのイベントに関するメールがブロックされ、大トラブルになってしまう例が複数ありました。
そこでメールマーケティングのみならず、何らかのイベントでメールを送ることがある方に覚えておいていただきたい新ルールをお伝えします。

<新・重要ルール>
・新しいドメインは使わない!
・年1回の時だけ利用するドメインも使わない!
※よっぽど自信がある場合を除く

この4月、上記ルールにより、公共団体のEC事業イベントと自治体イベントの2つで大きなトラブルが発生しており、そのホットな事例をJECCICAの皆さまだけにお話しします。

◆事例1:公共団体のEC事業イベント
ある公共団体では、EC事業の創業周年事業として一大プレゼントキャンペーンを行っています。そのイベントはだれでも応募できるものではなく、対象商品を一定量以上購入した際にもらえる特別応募券の二次元バーコードにアクセスし、そこで取得したトークンをメールで送信するという、かなり応募者を限定したプレミアムイベントになっています。

少し脱線しますが、ここ数年、Eメールの業界では(とくに各ブラックリスト団体では)こういったメールを利用する応募キャンペーンで、休眠メールアドレスや他人のメールアドレスを借りるなどして多数応募できるような仕組みが忌避され、取り締りを受けるようになっています。

各ブラックリストではインターネット上で流れているメールを細かくチェックしており、通常利用されることのないメールアドレス宛てにメール送信があると“黄信号”にノミネートされ、その流量が多くなると“赤信号”に進行、最終的にブラックリストに掲載されてしまいます。その結果、各種メールサービスあてにメールが送れなくなってしまう・・という悲惨な状況になるのですが、2024年4月以降このチェック機能の厳格化と、黄信号から赤信号に変わる速度が高速化しており、メールの厳罰化が図られているのを実感しています。
言い換えると、既にメールを利用するキャンペーンでは「誰でも応募できる」といったものは現実的ではなくなっているともいえます。

話は戻りまして、この公共団体のイベントではそもそも応募できる人が限定的であり、他人のメールアドレスを借りて送信をする人は殆どいないキャンペーンのはずなのですが、Spamhaus(世界的に最も有力なブラックリストの1つ)のブラックリストに掲載されてしまい、Gmailなど多くのメールサービスにメールが送れなくなってしまいました。

相談を受け調査を行ったところ、いくつか原因と思われることがあったものの「このイベント用に新しく取得したドメインでメールを送っている」ということが有力な原因の一つであることがわかりました。

Spamhausと再三交渉を重ねて、最終的にはブラックリストから解除されたのですが、ブラックリストに掲載されてから解除されるまでの約10日間のあいだ、WEBサイト上でメール受付ができないことのお詫びページを設ける、という結果になってしまいました。

◆事例2:自治体イベント
ある自治体では毎年春に市民限定のイベントを行っており、今年もメールでの応募受付を開始したのですが、受付開始してから数時間後、事例1と同じようにSpamhausにブロックされGmailに送信ができなくなってしまいました。特にこの自治体では「応募時にはGmailを利用せよ」とアナウンスしていたため(理由は不明)応募者の多くがGmailを利用しており、かなり大きな影響となってしまいました。
本件に関しても調査を行ったところ、昨年と同じシステムから送信していると聞いていたのですが、送信に利用しているドメインが昨年と少し変わっていることがわかりました。

昨年利用したドメイン:********-2023.jp
今年利用したドメイン:********-2024.jp

メールに詳しい方であれば、メールを正常に送信するためには「IPウォームアップ」という送信サーバのIPアドレスに実績を積ませる必要があることはご存じだと思いますが、最近ではIPと同じようにドメインについても配信実績を積ませる「ドメインウォームアップ」および「IP&ドメインの組み合わせウォームアップ」も必要になっているということを是非覚えていてください。

とくにEC関連の視点では、キャンペーンを行う際にLP用に新しいドメイン(サブドメイン)を作ることも多いと思いますが、あくまでそれはWEB用のみに使い、メールは日常的に利用しているドメインを使うようくれぐれもご注意ください。

JECCICA客員講師 酒井 愛子

JECCICA客員講師 酒井 愛子

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