AIを活用したEコマース

パーソナライズされた商品レコメンデーション、カスタマーサービスチャットボット、価格最適化と需要予測、スマート検索、物流の最適化など、AIはEコマースにおいて様々な分野で活用され始めています。AIは、顧客体験の向上と売上増加のための高度なツールを企業に提供することで、Eコマース業界に変革をもたらしています。
中でもGoogleは、今年の5月に行われたイベントで、AIを活用したEコマースの未来像を発表しました。新しいAIモード、バーチャルアパレル試着、エージェントによるチェックアウトなど、Googleはオンラインショッピングのルールを塗り替えようとしております。
Googleの新しい検索エクスペリエンスであるGoogle AIモードは、GoogleのAIモデルであるGeminiを搭載したチャットのようなインターフェースで、ショッピングや検索など、より深く、文脈に沿った、パーソナライズされた検索結果を提供するように設計されています。Googleのショッピンググラフは、機械学習を活用した世界中の商品と販売者のリアルタイムなデータセットになっており、現在500億件以上の商品リストが収録され、1時間あたり20億回以上更新されているとのことです。つまりAIモードは、商品、販売者、レビュー、在庫状況に関する非常に詳細で最新のデータセットから、信頼できる最新かつ正確な情報を取得しているということです。

例えば、AIモードに”かわいい旅行用バッグを探している”と伝えると、AIモードはユーザーが視覚的なインスピレーションを求めていることを理解し、ユーザーの好みに合わせてパーソナライズされた、美しく閲覧しやすい画像と商品リストのパネルを表示します。さらに、”6月の梅雨の時期に東京への旅行に適したバッグを欲しい”と絞り込んだ場合、AIモードは複数の検索を同時に実行し、雨天や長旅に適したバッグの条件を判断し、それらの基準に基づいて、防水仕様のバッグを提案します。

次に、オンラインショッピングでは、新しいスタイルやトレンドを身に着けた時の自分の姿を想像するのは難しいものです。Googleのバーチャル試着技術は、ユーザーが写真をアップロードするだけで、数十億点ものアパレル商品をバーチャルで試着できまます。これは、ファッション向けの新しいカスタム画像生成モデルを搭載しており、異なる素材が体型に応じてどのように折り畳まれ、伸び、ドレープするかといった人体と衣服のニュアンスを理解し、これらの微妙なニュアンスも保持された試着体験が実現します。

AIエージェント機能では、価格の追跡、フォームへの入力、Google Payを使った購入の完了など、エージェントがユーザーに代わって操作します。AIエージェントとは、ユーザーに代わって自律的に動作するソフトウェアプログラムで、幅広いタスクを実行できます。ユーザーは、適切なサイズ、色、または好みのオプション、購入金額を設定するだけで、エージェントが購入情報を確認し、Google Payを使ってユーザーに代わって商品を販売者のウェブサイトのカートに追加し、安全にチェックアウトを完了します。これらのエージェント機能は、ショッピングだけでなく、チケットの予約といったタスクにも適用されます。
さらに、Googleは、AIエージェントがユーザーの直接的な介入なしにオンライン取引を安全に完了できるようにするオープンスタンダードの”エージェント決済プロトコル-AP2”を最近発表しました。Googleによりますと、AP2は、ユーザー、加盟店、決済プロバイダーがあらゆる決済方法で安心して取引を行える、決済方法に依存しないフレームワークを確立するとのことで、ローンチ時には、Mastercard、PayPal、American Express、Coinbase、Salesforce、Shopify、Etsyなど、決済、テクノロジー企業がこのプロトコルのサポートを表明しています。