先端テクノロジーを活用する空港
先日、出張でテキサス州ダラスに行った際、ダラス・フォートワース国際空港(以下、ダラス空港)で、最新のテクノロジーを導入した革新的な店舗がありました。”Grab&Fly”と呼ばれるこの店舗は、まさしくAmazonGoと同様のコンセプトで、店舗入り口でクレジットカードをスキャンして入店し、希望の商品を選択して退店すると、退店時に自動的に決済される仕組みになっています。多くの旅客が利用する空港の店舗では、支払いのためにレジで並ぶことが多いですが、レジで支払いする必要がないこの店舗では、人の流れもスムーズです。商品は、スナック、アクセサリー、電子機器、飲み物、お土産などがありました。
帰って調べて見ると、このシステムはAmazonが提供するレジ不要の”JustWalkOut”というテクノロジーを利用しているとのことで、AmazonGoとコンセプトが類似しているのも頷けます。 唯一違う点は、AmazonGoはAmazonのアカウントが必要なのに対し、このダラス空港での店舗は誰でも利用できるという点でしょう。
Grab&Flyを利用するには、まず入口ゲートでクレジットカードをスキャンして登録、もしくは、入店時に手のひらをスキャンしてアカウントを作成することから始まります。次に、店内で棚から欲しい商品を取り出しますが、その際商品 は自動的にバーチャルカートに追加されます。ちなみに、棚から取り出した後に商品を棚に戻した場合は、バーチャルカートから自動的に削除されるようです。最後に、買い物を終えて店を出る際、クレジットカードに代金が請求されます。店内にはスタッフが常駐しており、お客様の対応、質問への回答、必要に応じて棚の補充などを行っています。

ダラス空港では、現在このAmazonJustWalkOutテクノロジーを利用した店舗が2店、またZippinという類似したテクーノロジを利用した店舗が1店あります。
またダラス空港では、オンラインでフードをオーダーしてゲートまで届けてくれるサービスや、キオスクでオーダーしてフードをピックアップボックスから受け取るシステムもあり、空港がまさしく日常生活のように機能しています。この手の最先端テクノロジーの利用は、シリコンバレーが進んでいると思っていましたが、空港に関して見ると、どうもそうではないようです。

敷地面積ではニューヨークのマンハッタン島よりも大きく、世界で最も利用者数の多い空港の一つであるダラス空港は、このような革新的なテクノロジーを導入することで、スムーズな顧客体験の提供に注力しており、利用するのがとても楽しみな空港の一つです。

JECCICA客員講師 渡辺泰宏
カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。