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「伝える」と「伝わる」のあいだに Vol.11 引き継いではいけない「魂」〜2023年の出来事から

みなさんこんにちは。気づいたら何と12月ですよ。みなさんもきっと私と同じく「1年あまりに早すぎ!」と叫んでいることと思います。お互い気を確かに駆け抜けましょう…。

さて2023年を振り返ると、今年はとにかく「強い影響力を持つ、盤石だと思われていた組織があれよあれという間に瓦解する」ことが多かったなと思います。統一教会、ジャニーズ、宝塚など…(簡単に並列していいものじゃないけども)。

閉じた組織の中で長いあいだ隠蔽されたり暗黙の了解になっていたことが通用しなくなり、その体質が明るみに出て厳しい批判を浴びているのを見ると、社会がこうして変わってゆくのはいいことだと心から思うのです。
これまでの悪弊は通用しなくなり、閉じた組織のあれこれはすぐ社会の目にさらされる。黙って耐えるしかなかった・黙殺されていた被害者たちが告発しやすくなる。そういう社会がいい。第三者の目は絶えず入るようになればいいし、風通しはどんどん良くするべき。風通さないとさ、モノも人もどんどん腐ってゆくもんだし。

★ところで私たちは大丈夫なのか?
そんな中でありありと露呈していたのは「長年こり固まったまま存続した特殊なルールやマインドが、いかに一般社会から乖離しているか」ということでした。会見の席で話せば話すほど浮世離れした様子がくっきりとして、見てる側が「大丈夫かこの(組織の)人たち」と困惑するというパターン。事の重大さや酷さがあまり自覚できていない状態。自らも悪弊の被害者である可能性がありながら「私にとってはそれでも良き場所」と言う人の姿は、うう〜んと考えさせられるものがありました。

最初のうちは「この団体の異常さ、こわっ」と他人事みたいに感じてましたが、そのうちだんだんと「これって特殊な業界の話に限ったことじゃなく、一般企業とか身の回りの小さな集団にも起こりうることだよね…?」と思うようになりました。そして「私もこういうのやらかしてこなかったか?」と我が身を振り返ってしまいました。

★無自覚に身につけたものを持ち越さない
思えば私が小中学生の頃はゲンコツを食らわせる先生が当たり前にいて、何なら「そのくらい厳しい方がいい」と評価されてた時代。部活中も当然のごとく「練習中に水を飲むな」の掟がありました。社会人になったら深夜早朝問わず無茶な指令を出してくる上司というのはザラにいたし、女性社員は上司の隣に座ってお酌、カラオケは肩抱きデュエット必須、みたいな時代でもありました。
そんな中で私自身は教師の暴力、部活の上下関係、上司のパワハラセクハラにはほぼ無縁でのほほんと生きてこれたのですが、実際に真横で起きてたことは看過していたわけです。賛成はしないし自分はやらないけど「まあ、そういうこともある」「それを上手くかわしてこそ」みたいなことは思っていたのだと思います。

そして前回のコラムVol.10「 そのコミュニケーション、古びてない? 」で書いた、ベンチャー特有の端的すぎて人を追い詰める話し方。これはまさに「良いと思ってたけど実際は汎用に向かない悪しきハック」でした。「深夜休日問わず働く人ほど良し」「プライベートより仕事最優先」を価値としていたのもそう。強制されてた訳でもないし、上下関係のあまりない「しんどいけど楽しい仕事」としてやっていたことではあったけど、あれを武勇伝や美談みたく語ることはもはや立派な害、悪しき伝統の引き継ぎになるからやってはいけないのだ…と今は思います。

★生存者バイアスに気をつけよう
MVVを作る際に企業のお話を聞くと、どこも良き社内カルチャーを育てたいという思いがあります。ただその時に「イズム」や「魂」みたいなものを作り込むのは、今後かなり慎重になるべきです。
厳しく鍛え上げられたこと。理不尽に耐えて頑張ったこと。いま振り返れば確かにそれがあったおかげでたくましくなった、今の自分がある、とも言える。そのとき叩き込まれた○箇条みたいな掟も教訓も、いまだマインドとして残っている。だから後進にも伝えたい…そんな思いは誰しも多少はある。

でもそれってやっぱり生存者バイアスなんですよ。そこに何とか適応して乗り越えてここまで来れた(それを礎として先に進めた)人たちだけの結果論。「いい経験・良き場所だった」というプラス評価。そこには、合わずに挫折し傷つけられ去って行った人の意見はありません。時代の変化も加味されません。だから「それは本当に本当に、後進に引き継いでいいイズムなのか?」を推敲しなくちゃいけないのです。できれば今の時代の、第三者の目線を入れて。

企業だけでなく、小さな集団でも仲間内でも、夫婦や親子という最小のチームでもそれは同じ。長く変わらず存続していればいるほど、他者が関わることが少なければ少ないほど、その中は凝り固まり、どろりと煮詰まっている可能性もあります。
「それっておかしくない?」という第三者の指摘を素直に検討すること。鉄則みたいに見えるものほど「これって大丈夫かな?」と懐疑的になってみること。そのチームの年長者になった人(私たち!)ほど、それを心がけたいものですね。

JECCICA客員講師

コピーライター 近藤あゆみ

Lamp 代表
博報堂コピーライターから(株)ネットプライス・クリエイティブディレクターを経てフリーに。企業のMMVやネーミング、サイトディレクションなど手がける。恋愛コラムやブログも人気を博す。


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