ネット通販の「リピーター創造」を考える
JECCICA特別講師 松橋 正一
コストをかけず集客、売上げを維持向上させ経営を安定させるには、リピーターを作ることです。
リピーターを作るメリット
- 集客コストが下がり、利益率が上がる。
- 来場者、利用者の見込みが立ち設備や従業員の配置がしやすい。
- 売上げの見込みが立ち経営が安定する。
- リピート利用で商品サービスを理解してもらえ手間がかからなくなる。
- お店とお客様との親しみ度が上がり新商品などを案内しやすくなる。
などリピーターを作るメリットは数多くあります。
家の新築や不動産は、一度購入したらそうそう再購入するものではありません。
車も毎年買い換える人も多くないと思いますが、住宅や車では購入後のメンテナンスが必要です。
ハウスメーカーや車ディーラーのサービスがよければ付随したサービスを何度でも利用します。
どんな業種にもリピーターはつきます。
どのくらいの期間に何回?どのくらいの金額を利用するか?などリピーターと呼ぶ条件は、それぞれの業種や扱う商品によってお店が決めればいいのです。
数人の仲間と居酒屋に行こうとし、どの居酒屋にするか決めるとします。
- 海鮮がうまい○○○に行こう。
- やきとりがうまい○○○に行こう。
- 接客サービスの感じがいい○○○に行こう。
- 先日行ったあそこの角のお店に行こう。
- この人数で入れそうな○○○に行こう。
- すぐ近くの○○○に行こう。
- ボトルが入っている○○○に行こう。
- クポーンが使える○○○に行こう。
いろいろな理由でお店を決めようとします。
頭の中に入っている記憶データベースで「地理的条件」「人数」「接客サービス」「お店の特徴」「メニュー」を検索し決めると思います。
中にはスマホで検索する場合もあるかもしれません。
○○○(お店の名前)に行こう。 ○○○2Fの海鮮居酒屋に行こう。
このようにリアルのお店であれば、「お店の名前」や「地理的条件」で行く店を示すと思います。
沖縄県が平成25年にまとめた「沖縄を訪れるリピーターに関する報告書」によると、
- 沖縄旅行の経験者数は約4,500万人
- うち過去5年以内に来沖者数は約1,500万人
- 過去5年以内に来沖していないのは 約3,000万人
- 過去に1回だけの来沖者数は約3,500 万人
と、一度沖縄を訪れただけで再度行かない人は、沖縄旅行の経験者数の4分の3を上回り、2回から3回以下のアクティブ層来沖者もリピートしない休眠層へと流出しているとの報告内容です。
リピートしなくなった理由として、
- 沖縄旅行費用より海外旅行など他に安いものがあり金銭面がネック。
- 沖縄でないといけないという強いニーズが足りない。
が考えられます。
「沖縄でしか味わえない」といった沖縄の強みでリピートに結びつきやすい活動を体験できる機会(イベント、サービス)を設け、沖縄旅行の満足度を上げることが大切です。
ネットショップでも同様、リピーターを増やすことはとても大切です。
リピーターを増やすことにより、コストをかけず集客、売上げを維持向上させネットショップ運営を安定させることができます。
ネット通販で以前買った商品を再び購入する場合、利用者はどういう行動をとるでしょうか?
目的の商品売り場を探す
- ブラウザブックマークで商品ページを開く。
- 前の注文確認メールなどのページURLからたどり着く。
- お店のメルマガDMなどのページURLからたどり着く。
- お店の名前を覚えておいて検索する。
- お店の特徴や特徴的な強みで検索する。
- お店の代表的な商品名で検索する。
- 価格比較で探す。
1や2での直接商品ページURLを開くは、まず期待できません。
3は、メルマガを購読する信頼関係にある場合はリピートにつながることがあります。
4は、アクティブに利用しているお店でしたら店舗名も覚えており、探し出してもらえれば転換率も高くなります。
5は、「唐辛子専門店」「鶏卵専門店」など記憶に残る特徴で探し出してもらえます。
6も同じく「ところてん」のようにお店の主力商品で簡単に探し出すことができます。
7で探すお客様は価格重視のお客様ですので、別のお店の商品を探し出すかもしれません。
ここで重要なのは、初回の注文で商品ページに書いてある約束したことをきちんと守ってお取引をするということです。
「商品ページに掲載した商品の品質・商品内容をお約束どおりの日時でお届けする」は当然のことです。
購入者は初回の注文で「ホントに約束通りの日時に届くだろうか?」「ページに書いてある品質と内容で届くだろうか?」と不安なものです。
「ページに書いてあるとおり美味しかった!」「指定日時に丁寧な梱包で商品が届いた!」とお客様に喜んでもらえれば、商品とお店への満足度は上がり、お客様とお店の信頼の扉は少しだけ開きます。
そして、「またあの商品、注文したいな!」と思ってくれたときに、2回目の注文につながる可能性があるのです。
「前回買ったお店の名前、何だったかな?」「あの商品、どこで売っていたかな?」とリピート注文は意外と困難です。
それらのチャンスを逃さないためにも、ネットショップでリピーターを作るポイントをまとめてみます。
リピーターを作るポイント
- 店名とサービス、コンセプトをマッチさせる。
- お店の強み特徴を明確にする。
- お店の思いや商品情報を豊富に発信する。
- メディア掲載や口コミを発生させる。
- お客様に(ページで)うそをつかない。
- お客様との約束 (商品の品質、内容、お届け日時)を守る。
- 丁寧な商品梱包を心がける。
- お客様に丁寧な対応サービスを行う。
- 取扱商品の品質を維持する。
- 常に魅力ある商品開発に心がける。
いずれもあたり前の事柄ですが、これらあたり前のことを守り心がけることが、お客様との信頼につながり、「リピーター創造」に向かいます。
リピーターを作るメリットを考え、ネットショップのコンテンツ見直し、安定した運営に役立ててもらいたいと思います。
JECCICA特別講師 松橋 正一
楽天、ヤフー、amazon、自社サイトなどECサイトの運営経験を基に、数々のショップを構築サポート。大規模ECサイトの効率的な構築、データ処理システム構築を得意とする。