「何を書いたらいいか、さっぱりわからない」
最近、EC 事業者の方との打ち合わせで、こんな声をよく聞きます。「SNS とか、何を書けばいいかさっぱりわからない。」「コンテンツ作るの苦手で…」。特に経営者ご自身からこの言葉が出ることが多いです。
ところが、そうおっしゃる方に限って、話を聞くとめちゃくちゃ面白いのです。「この商品は実はこういう経緯で生まれて」「あるお客さんにこう言われたことがきっかけで」「最初は全然売れなくて、でもあるとき…」。目の前で語られるその話に、ものすごく引き込まれる。
「それ、そのまま発信したらいいのに」と思いながら、同時に「なぜこんなに面白い話を持っている人が”書けない”と感じるのだろう」という問いが生まれました。
「書くべきもの」を間違えている
おそらく、多くの経営者が描く「コンテンツ」とは、整えられた情報発信のことではないでしょうか。商品のスペック、セールやクーポンの告知、きれいな写真。そういう”ちゃんとしたもの”を出さなければいけないと思っているから、筆が止まるのです。
でも、それは大手をはじめ全員がやっており、予算と体制のある企業には勝てません。しかも、人が本当に見たいのはそこではないように思います。

上記の図にある「なぜこの商品を作ったか」「開発中に泣いた話」「お客さんの声で救われた日」こそ、話すと自然に出てくる言葉であり、実は一番強いコンテンツではないでしょうか。
似たようなコンテンツが溢れる時代だからこそ
いま、SEO で量産された「おすすめ 10 選」や AI 生成記事が溢れています。”正しいけれど、誰が書いても同じ”情報に、読み手は気づき始めています。情報としては正しくても、心には残りません。
だからこそ「この人にしか書けない話」が際立ちます。AI には書けない、検索しても出てこない、その人自身の体験や葛藤。文章として整っていなくても、むしろ整っていないからこそ、「本物だ」と伝わることがあります。
SNS 運用のプロから聞いた話
先日、SNS 運用を専門にしている方と話す機会がありました。印象的だったのは、「今の時代、”物”ではなく”人”にファンがつく」という言葉です。商品スペックだけで選ばれるのは困難で、うまくいっている人は、発信者自身に「この人から買いたい」と思わせる力を持っています。
また、彼らは洗練されたコンテンツではなく、開発中の苦悩や失敗という「泥臭い過程」を共有しています。完成品ではなく途中の姿を見せることで、フォロワーとの間に「応援したくなる関係」が生まれているのです。

「売る前」に、関係性はできている
また、成果を出している人ほど「売る瞬間」に力を入れていないそうです。彼らは普段から、考えていることや悩んでいること、試していることを少しずつ発信しています。特別なことではなく、日々の小さな積み重ねです。でもそれが、いつの間にか「この人の話、なんか気になる」「応援したくなる」という空気をつくっている。だから、いざ商品を出したときには「待ってました」という反応が返ってくる。売り込まなくても、すでに”買いたい気持ち”ができているのです。
逆のパターンも聞きました。普段は発信せず、売りたいときだけ急に告知するのは多くの事業者がやりがちですが、届きません。関係性がないところに突然セールスが来ても人は動きません。

日々の発信は「販促」ではなく、「信頼の積み立て」です。今日発信した一つの投稿が、すぐに売上につながるわけではない。けれど、その積み重ねが、いつか「あなたから買いたい」という言葉になって返ってくる。
こうした考え方は、いわゆる「コンテンツマーケティング」ですが、難しく考える必要はありません。戦略設計の前に、まずはあなたが日々感じていることを一つ発信してみる。今はそういったコンテンツのほうが多くの人に読まれるはずです。
あなた自身が、最強のコンテンツ
きれいにまとまった情報発信ではなく、日々考えていること、迷っていること、大事にしていることなど、その熱量を伝えればいいのではないでしょうか。AI が賢くなっても、昨日の体験や出来事は書けません。大手がどれだけ予算をかけても、そういった言葉は真似できません。
皆さんもそのような観点でコンテンツを発信してみてはいかがでしょうか。