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楽天市場「RPP」の変遷から紐解く、EC運用型広告の「過去・現在・未来」

楽天市場に出店する店舗にとって、避けては通れない最重要施策の一つが「RPP(楽天プロモーションプラットフォーム)」です。現在ではAIによる自動最適化も進んでいますが、ここに至るまでには約10年に及ぶ、緻密かつ大胆な進化の歴史がありました。

今回は、これまでのアップデートの軌跡を振り返りながら、EC事業者がこれからどのように広告と向き合うべきかを考察します。

1. 黎明期:枠を買う時代から「運用」の始まりへ

楽天市場における検索連動型広告の原点は、2016年2月にリリースされた「楽天CPC広告」に遡ります。当時はPCが最低50円〜、モバイルが40円〜という入札単価で、デバイスごとに管理が必要な、まだ「広告枠を買う」という感覚が強い時代でした。

大きな転換期となったのは、2018年4月の「RPP(楽天プロモーションプラットフォーム)」へのリニューアルです。最低入札単価が25円へと大幅に引き下げられ、さらに「除外商品登録」の件数が100件から一挙に5万件へと拡大しました。これにより、「特定の商品だけを出す」のではなく、「全商品を網羅的に露出させ、売れないものを除外していく」という、現在の「運用」の基礎となるアプローチが可能になったのです。

2. 進化期:キーワードとデータによる「精度」の追求

2019年から2020年にかけて、RPPは「より細かく、より確実に」売上を作るための機能を拡充させました。

2019年7月:キーワード設定機能リリース(@50円〜)
それまでは楽天のアルゴリズム任せだった露出が、特定のキーワードを指定して強化できるようになりました。いわゆる「指名検索」や「ビッグワード」への攻めが可能になり、戦略性が飛躍的に向上しました。

2019年11月:ダウンロードCSVに「目安CPC」追加
ブラックボックスだった競合の状況が「目安単価」として可視化され、データに基づいた入札戦略が求められるようになりました。

2020年7月:2ページ目上段への露出拡大
現在は最大4ページ目まで表示されるようになっていますが、この頃から「検索結果の1枚目」だけでなく、ユーザーの回遊動線全体を広告でカバーする戦略が明確になりました。

3. 高度化期:販促のトータルコーディネート

2021年、RPPは単なる広告の枠を超え、楽天市場の「販促」と密接に連携し始めます。

2021年7月には、キャンペーンCPC・商品CPCが10円から設定可能になり、キーワード単価も40円へと引き下げられました。これにより、低単価商品やニッチな商品でも広告を回しやすくなり、店舗の参入障壁がさらに下がりました。さらに同年11月には「運用型ポイ
ント変倍」がリリースされ、広告による露出とポイントによる成約率(CVR)の向上を、同一プラットフォーム上で管理・最適化する時代へと突入しました。

4. 激変期:表示枠の爆増と「面」の制圧

2022年から2024年にかけての最大の特徴は、ユーザーが目にする「広告の露出量」が劇的に増えたことです。

かつてはPCで3枠、スマホで5枠程度だった検索結果の広告枠は、段階的なテストとアップデートを経て、2024年11月にはPC5枠、スマホ7枠にまで拡大しました。また、検索結果だけにとどまらず、アプリトップの「◯◯◯のおすすめ」や、商品ページ下部の「楽天市場の注目商品」といった、あらゆる接点にRPPの掲載面が広がりました。

これは店舗側から見れば「露出のチャンスが増えた」ことを意味しますが、同時に「適切な運用をしなければ、あっという間に予算が消化される」という、競争の激化を象徴する変化でもありました。

5. 新時代:AI自動最適化と運用の「自動化」

そして、2025年7月。RPPはついに「自動最適化機能」という大きなマイルストーンに到達しました。

最低入札単価が20円〜へと調整され、AIがパフォーマンスを最大化するためにリアルタイムで入札をコントロールするこの機能は、これまでの「人間が細かく単価を調整する運用」からの脱却を促しています。同時期にスマホブラウザの商品ページ下部にも掲載面が追加され、まさに「楽天内のあらゆる場所に、最適なタイミングで、AIが商品を提示する」環境が整いました。

まとめ:歴史から学ぶこれからの戦略

こうして約10年の歴史を振り返ると、RPPの進化は「手動から自動へ」「点から面へ」という一貫した流れがあることがわかります。

AIによる自動最適化が進むこれからの時代、店舗運営者に求められるのは「1円単位の入札調整」といった作業スキルではありません。

  • どの商品をAIに託すべきか(商品力・選定力)
  • ユーザーに広告をクリックしてもらう商品画像(CTR改善)
  • 広告で連れてきたユーザーを逃さないページ構成(CVR改善)
  • 広告とポイント、イベントをどう組み合わせるか(収益力)

これら、人間にしかできない「本質的な商売の設計」こそが、RPP運用の成否を分ける鍵となるでしょう。歴史を理解し、進化の波を味方につける。それこそが、楽天市場という巨大なマーケットを勝ち抜く唯一の道なのです。

RPP歴史年表:主要アップデート一覧
RPP歴史年表:主要アップデート一覧
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特別講師・参事

清水 将平

得意分野/楽天などモール出店ショップ支援

日本ECサービス株式会社代表取締役社長。ECマーケター。元楽天ECコンサルタントとして数千店舗を担当。独立後、月商数千万円規模のショップをメインに会員制サービス「ECマスターズ」を運営。

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清水 将平

得意分野/楽天などモール出店ショップ支援

日本ECサービス株式会社代表取締役社長。ECマーケター。元楽天ECコンサルタントとして数千店舗を担当。独立後、月商数千万円規模のショップをメインに会員制サービス「ECマスターズ」を運営。

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