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インターネット上で何か情報を探すとき、3年前と同じ検索方法で探していますか?

今年の夏は暑かったですね。やっと暑さもひと段落して、みなさん冬商戦に向けた施策の佳境に入られる頃でしょうか。
そういう時期を狙ってなのか、電話やDMなどで「SEO対策のプロ」を名乗る会社の営業さんから熱いセールスがまた増えてきたのですが、皆さん、インターネット上で何か情報を探すとき、3年前と同じ検索方法で探していますか?

はっきり言って自分は3年前とは検索手法が全く変わっています。
飲食店ならInstagram で探したり、最新の出来事や法改正などはまずChatGPTに聞いて概要を調べたりなど、Google検索窓に直球勝負する3年前の方法で情報を得ることは少なくなっています。
利用するツールは違ったとしても、私と同じく、求める情報へのアプローチ方法が変わっている方が多いのではないでしょうか。

たとえばGoogleで検索するとしても、ページ上位でAI(Gemini)が要約検索してくれるので、それさえ読めばユーザーは各ページへのリンクをクリックせずにあらかたの答えを得られるケースが増えているように思います。

もしこの仮説が正しいとするのであれば、従来の”検索エンジン=Google検索結果に上位表示されることを目指すSEO”という考え方はもう過去の遺物化しているともいえる気がして、先日、前述の「SEO対策のプロ」の営業さんからの電話に出た際に(スーパー失礼な人間ですが、つい興味が抑えきれず)直接聞いてしまいました。

その後もずっと気にかかっていたため、実際に複数社のWEB担当の方に従来型SEO対策が今も有効であるかヒアリングしてみたところ、効果は全くないわけではないがやはり薄れているという声が多かったので、その内容をまとめてみました。

なぜ従来型SEOの効果が薄れていると感じるのか?
・AI検索は要約して答える
→ ユーザーは検索結果ページを見ずに、AIの回答だけで満足することが多い。
・クリック率の低下
→ Google検索の上位表示を取っても、AIボックスに表示されなければ流入が減る。
・情報源の非透明化
→ AIが「どのサイトを参照したのか」分からないことも多く、リンク経由の流入が読みづらい。

これまでの「キーワード選定+記事量産で上位表示」という施策は相対的に効果が落ちていく可能性が高いと考える方が多いようです。

私がヒアリングした範囲でも、これからは従来型SEOとは方向性を変えてAIに合わせたSEO対策に舵を切るよう勉強している、と回答された方も多かったです。

そんなAIに合わせたSEO対策としてどんな点に気を付けるといいかまとめてみました。

(1) AI検索に「引用される」情報源になる
AIは学習や検索回答を生成するとき、信頼できる一次情報を優先的に使います。
AIに自社サイト内の情報をたくさん使ってもらうには、「自分しか持っていない情報」「公式性のあるデータ」を発信することが重要になってきます。
<例>
・事例、統計、利用者の声など、自社独自のコンテンツを公開する
・技術情報や商品情報を「一次情報」として整備(FAQやマニュアル形式で)
・権威性(専門家コメント、第三者評価)を高める   など
これは「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」の流れがさらに加速したもの。

(2) ブランド検索を強化する
AI検索では、ユーザーが「●●(ブランド名)」と指名検索しない限り、競合の中に埋もれてしまいます。
当然ながら「上位順位で見つけてもらう」から「ブランド指名で探してもらう」へシフトできればそれは一番確実です。言うは易く行うは難し、な目標ですが。

<目標>
・SNSや動画でブランドを認知させる
・PRや広告で「●●といえばこの会社」という認知を取る
・オフライン(展示会、イベント、紙媒体)とも連動してブランドを覚えてもらう

(3) UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用
AIは、公式サイトだけでなく口コミ・レビュー・SNSの情報も参照します。そのため、ユーザーが自社の商品やサービスについて発信できる場の公開や、発信したくなるような仕組み作りは必須コンテンツとも言えそうです。

<例>
・購入者レビュー(やらせじゃないもの)が集まる仕組み
・SNSでシェアキャンペーンを行う
・顧客事例や導入事例を積極的に公開する

(4) 動画・音声コンテンツの強化
検索の主戦場が「文字」から「マルチモーダル(動画・音声・画像)」に移っています。
AIは動画内容を解析して要約するようになってきているため、動画の持つ情報価値が高まるよう利用しやすい形に加工していくのが良いようです。

<例>
・商品紹介をYouTube/TikTokに動画で掲載
・ウェビナーやポッドキャストを公開
・動画に字幕・テキスト情報を付与してAIに読み取らせやすくする

(5) 構造化データの整備(テクニカルSEO)
こんなに書いてきてまるで意趣返しみたいですが、決して「SEO対策が不要になる」ということはありません。検索エンジンが読み取りやすい情報設計は引き続き重要です。

特にAI検索では、構造化データやメタ情報をきちんと整備してあるサイトの方が引用されやすいとされ、AIに配慮した設計がキーになるといえます。

<例>
・FAQページに構造化データを設定
・製品情報をスキーマ(価格・在庫・レビュー)で記述
・OGPやメタディスクリプションを充実させる   などなど

この点については、既存のSEO対策のプロの方が今後もその技術を発揮できるところになるのだと思います。

最初は、従来型SEO「順位取り合戦」はもう古い!と言い切ってしまってもいいかと思っていたのですが、ヒアリングした方からは、AIに合わせるからこそ基本的なWEB技術やセオリーについてはより重要になっている、といった昔ながらのSEO対策を肯定する声も聞かれたのは印象的でした。

最後にまとめとなりますが、これからのSEO対策としては:

・AIに引用されるサイトを目指す(一次情報・権威性を持つ)

・ブランド検索を増やす(SEO依存から脱却する)

・口コミ・UGCを広げる(AIが拾う情報の母数を増やす)

・動画や音声も情報資産にする(テキスト以外の検索対策)

・技術的SEOも最低限は継続する(構造化データ整備)

つまり、これからのSEO対策は「検索順位を上げる技術」から、「AIとユーザーに選ばれる存在になるための情報発信・ブランド戦略」 へと進化していくようです。

JECCICA客員講師 酒井 愛子

JECCICA客員講師 酒井 愛子

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