「つぶやく」だけじゃない X(旧Twitter)スペースの無限の可能性
X(旧Twitter)には、「スペース(Spaces)」と呼ばれる音声機能があります。
これは、複数人が同時に音声で会話できる“ライブ配信型のトークルーム”のようなもので、リスナーとして参加したり、自分がホストとなって話すこともできます。最大で13人が同時に話すことができ、参加者は文字でコメントすることもなく、ただ「聞くだけ」で参加することも可能です。一見すると、ただの「音声版チャット」や「ラジオ的な配信ツール」ともすれば「Clubhouseの後追い機能」に見えるかもしれませんが、スペースの本質はそこではありません。
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スペースの画面、色々な話題で集まっている
雑談でもいい、聞くだけでもいい。なのに、深くつながれる
スペースの魅力のひとつは、「話さなければならない」というプレッシャーがないことです。
話したい人は話し、聞くだけの人は静かに耳を傾けているだけで構いません。「聞く専門」でも、リスナーとして何度も参加するうちに名前やアイコンが自然と覚えられ、発言がなくてもその場の“常連”として認識されていきます。それは、ただの「情報の消費者」ではなく、「場の空気をつくる一員」になるということです。文字だけのタイムラインでは生まれづらかった、“聞いてくれる人がいる安心感”や、“何気ない一言が誰かを笑わせる親密さ”が、音声空間だからこそ自然に生まれます。
フォロー関係を超えた“濃いつながり”が生まれる場所
Xのタイムラインでは、たとえ相互フォローしていても、お互いの投稿が流れてこないことが珍しくありません。特に近年のアルゴリズムは、「最新」ではなく「おすすめ」の投稿を優先的に表示するため、Xが「価値がある」と判断した内容以外は、なかなか目に触れにくくなっています。一方、スペースではフォローしている人が話していたり参加していると、それがアプリ上部に表示されるため、「あの人が喋っているならちょっと覗いてみよう」と参加のハードルが下がります。
また、自分のフォロワーが参加しているスペースは他の人にも表示されやすくなり、それがきっかけでフォロワー同士がつながることもあります。偶然同じスペースに居合わせたことが縁となり、深い関係へと発展していくことも少なくありません。「見るだけ専門」のSNSとは異なり、人と人の関係に“温度”が宿る。それが、スペースの本質なのです。
Clubhouseとの違い
ここまで読んで「それってClubhouseと同じでは?」と思われた方もいるかもしれません。確かに、音声を使ったリアルタイム会話という構造は似ていますが、Xのスペースとは決定的な違いがあります。
それは、「普段の投稿との接続性」です。
Clubhouseは“話す場”に特化していたため、会話の前後の文脈が薄く、相手の人となりが分かりにくいという課題がありました。
一方Xでは、スペースの外でも日々ポストされている投稿があるため、参加中に「この人、どんな人なんだろう」と思ったら、すぐにプロフィールや過去の投稿から人柄を知ることができます。
さらに、スペース終了後もフォローを通じて交流が続き、「会話」というフロー型コンテンツが「関係性」というストック資産として蓄積されていくのです。
まとめ:スペースは“つながり”を再定義する
Xの「スペース」は、単なる音声配信機能ではなく、フォロー関係や投稿の数値を超えた、人と人との“濃いつながり”を生み出す場所です。
話す人、聞くだけの人、何気なく入った誰もが無理なくその場に存在できる「余白」があり、雑談から生まれる安心感と共感が、タイムラインでは得られない関係性を築いてくれます。
フォローし合っていなくても、スペースで出会い、声で知り合い、やがて自然と相手を理解していく。
その関係は、SNS本来の“つながる楽しさ”を思い出させてくれるものです。
情報を得る場としてだけでなく、「居場所を感じられる場所」としてのスペース。あなたの声で、あるいはあなたの“沈黙”で、誰かの今日が少し温かくなるかもしれません。
今夜、ただ聞くだけでも。Xのスペースを、そっとのぞいてみてはいかがでしょうか。

JECCICA客員講師 矢崎 宏一郎
(株)ISSUN チーフマネージャー
得意分野/WEB広告 EC販売支援
WEB広告のなかでもAI系広告を得意とし、事業規模に合わせた集客戦略でD2Cの売上を2年で10倍にするなどで、日本上位3%の代理店であるGoogle Premier Partner認定に貢献。