一般社団法人ジャパンEコマースコンサルティング協会

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AWSのEコマースのクラウド利用

Eコマースは構築したら終わりではありません。その後のECをどう運用するのかが大事です。ビジネス要件やRFP(Request for Proposal提案依頼書)作成時の段階で運用を意識してどのように構築するか、どのように進めていくかを考えて、最適な構築方法を選択することをオススメします。

Eコマースサイトを構築するには、大きく分けて、ASPやSaaS版のアプリケーションを利用するか、パッケージ版のアプリケーションを利用するかになります。ASPやSaaS版もクラウド利用をしていることになるのですが、オートスケールや冗長構成を行うことはほぼ出来ないと思って良いです。一方、パッケージ版であってもインフラ提供しているサービスもありますので、自由にオートスケールや冗長構成を組むことはできません。Eコマースサイトをクラウドでサーバを構築するには、Amazonが提供するAWSかマイクロソフトが提供するAzureになることが多いです。ここでは、AWSで組めるパッケージ版のアプリケーションを中心に、できる限り簡単にお話しますので付いてきてくださいね。専門家の方はあまり突っ込まないでください。

10年ほど前までは、ECサイトを構築する場合、EC用のショッピングカートのASPやSaaS版を利用するか、自分でサーバを構築してそこにECパッケージをインストールするかのどちらかでした。サーバもroot権限の無いレンタルサーバで行うことも多かったのですが、root権限がないとカスタマイズが出来ないので、サーバのマネージドサービスを使用したり、私のようにサーバの部品を台湾から購入して組み立ててデータセンターで運用する企業も多かったと思います。ただ、この場合3年後のトラフィックがどうなるか?とかアクセスのピークはどうなるかなどを考えてインフラを構築することになります。正直、そんなこと分かるはずがありません。なので、トラフィックが増えてきてサーバがダウンしてから、それからサーバ増強!みたいなよくわからない対策もしていました。

しかし、AWS(Amazon Web Service)などのパブリッククラウドを使うことで、初期コスト削減が出来たり、トラフィックに合わせた柔軟性を享受できるようになりました。EコマースはTVのパブリシティや有名人のSNSなどで爆発的なアクセス急増することが多く、しかも予告なしに紹介されることもあるためインフラ・ネットワーク担当はいつもヒヤヒヤしていました。特に夜の会食中にサーバが落ちた!というメールや緊急電話が飛んでくると、とてもビジネスの話など出来ず、途中で帰らざるを得ないことも多かったのです。お酒を飲んでるときに限って起きるのです。

それが今では、ELB、ALBといったロードバランサーを使用して冗長構成も出来ますし、DBもリアルタイムレプリケーションも出来ます。コールドスタンバイなんて大昔の言葉ですね。オートスケールも出来て、さらにコンテナを利用できれば鬼に金棒です。新型感染症の緊急事態宣言時のようなアクセス急増でも、ほとんどこのテクノロジーでカバーできました。一部の大規模Eコマースサイトだけは、この急増トラフィックをさばけませんでしたが・・・。でもこのテクノロジーがあったおかげで前向きな仕事ができるようになったのは間違いありません。

よくEコマースサイトが落ちるとサーバダウンした!と大騒ぎする方も多いのですが、サーバが落ちるというよりもその原因がネットワークのどこがボトルネックなのかは調べる必要があります。以前多かったのはルータのキャパを超えたこともありましたし、ロードバランサーで落ちることもありました。サーバは何ともなかったことも多いのです。でもAWSやAzureを使用すればこのような課題はそもそも解決できています。

AWSを利用するメリットはたくさんありますが、Eコマースを行う企業や店舗にとってACMやALB、route53を使用してSSLを無料で使用できるのも金額は小さいのですが経営者の方には喜ばれます。

Eコマースサイトを構築する際に、よく聞かれるのが、今回はオートスケールにしておきたいと言う声です。確かにオートスケールを組んでおけば安心感もありますが、まずは冗長化を行ったほうが良いです。AWSならばELB、ALBを利用して簡単に冗長化出来ます。しかもめちゃ安いです。以前にロードバランサーを購入した時は、ハードだけで2000万円くらい掛かっていましたが、今は1ヶ月数千円です。あの費用はなんだったのでしょうか??オートスケールは良いのですが、やはりタイムラグはありますので、一瞬のアクセス急増の場合には追いつけないことが多いです。このため、ロードバランサーで冗長化しておき、さらにトラフィックが増える場合にはオートスケール対応で行うほうが良いです。

Eコマースでは、特に購入する方の特徴として、1セッションでのページ閲覧数が多いということがあります。通常のサイトであれば、5ページも見ればほぼ終了ですが、Eコマースの場合には80ページ閲覧ということも多いのです。カートステップが5つあればこれだけで5ページですし、その前の商品ページ、カテゴリページ、トップページ、検索結果ページなど比較しながら購入することもありますので、必然的にページ閲覧数も多いですし、滞在時間も長くなります。このため、ロードバランサーを用意しておくことで確実にセッションを保持することが出来ます。余談ですが、Eコマースのソリューションの中には冗長化も出来ていないサービスもありますので、確認しておいたほうが良いでしょう。

AWSで注意が必要なのは、SMS(シンプルメールサービス)でしょう。送信先のメールアドレスのエラーが一定数有ると、組んでおいたAWSのリージョンがすべてロックされてしまいます。メールアドレスのエラーをなくした状態で構築、移行すればよいのですがなかなか出来ないことも多いので、その場合にはメールの送信だけはAWSの外で、Sendgridやmailchampなどのサービスを使用することも多いです。

もう一つ、気にする必要があるのが、セキュリティです。基本的なセキュリティは他の特集ページで見ていただき、Eコマースに特化して言えば、やはりWAFは必須です。クラウドフレアのサービスを使用する手もありますし、AWSのWAFも利用できます。WAFがあるだけで安心感は出てきますが、そうかと言ってアプリケーションの作りを甘くしたら本末転倒になりますので、カスタマイズをしたら脆弱性診断はしておいたほうが良いでしょう。特に初心者エンジニアが組んだ場合には要注意です。気をつけましょう!

AWSを使用した場合、使った分だけ請求されます。ここもなかなか予測できない部分です。経営者の方にはここはよく説明しておいたほうが良いでしょう。日本の企業や店舗さんはサーバ代を安くしようと考えがちですが、機会損失のことを考えたら、少し余裕を持った設計にしておいたほうが無難です。

川連一豊プロフィール写真

代表理事 川連一豊

そろばん2級 書道6段 ヤマハデジタルプロコース卒業
浜松南高校普通課卒業  愛知大学法律経済学部卒業
学生時代より音楽活動を行う。1988年ヤマハ世界大会出場
ベストキーボードプレイヤー賞2年連続受賞などTVCM、TV番組、CGの制作に関わる。
インターネットでは楽天市場 2003年ジャンル賞受賞
楽天にて、モバイル講師  HTMLメルマガ講師
他ネットショップに関わる講師多数
2004年6月30日までソフトプレン株式会社営業課長
ネット店舗の店長兼任
2004年7月1日 独立
2004年8月11日 有限会社SAVAWAY設立
2009年9月ネットショップのおもてなしを出版
2012年システム流通総額1500億円を突破
取引数3500社以上のネットショップ、ネット通販企業
50名以上のECコンサルタントを輩出

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代表理事・講師

川連 一豊

得意分野/システム開発・セキュリティ・オムニチャネル

フォースター株式会社代表取締役。年間システム流通額1700億円を超えるシステム開発やセキュリティー専門オムニチャネルのおもてなし戦略、米国やEU、アジアなどのクロスボーダーEコマースを進める。

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川連 一豊

得意分野/システム開発・セキュリティ・オムニチャネル

フォースター株式会社代表取締役。年間システム流通額1700億円を超えるシステム開発やセキュリティー専門オムニチャネルのおもてなし戦略、米国やEU、アジアなどのクロスボーダーEコマースを進める。