一般社団法人ジャパンEコマースコンサルティング協会

トップページ JECCICA記事 オンラインコミュニケーション
シェア
ポスト
メール

オンラインコミュニケーション

1.大震災で全員リモート体制へ
2011年3月11日、私は中国の成都におりました。中国へはビジネスの話で上海や杭州などにも行って、最終地として成都に行っていました。成都にはEコマースの運用をされている会社があり、日本語が堪能な大学生もたくさんいて、その大学からEコマース運用会社へ就職するパターンも多いと聞き、興味があって足を運んでいました。
成都の最後の夜は、同行していた企業のみなさんが最後だからといって飲みに行かれたのですが、私は中国でいろんなところでご招待されていたこともあり、今日はゆっくり休みますと先に帰ってホテルで一人ビールを飲んで就寝しました。

次の日、朝から最後の見学を行ったりしていたところ、15時ぐらいから周りの方々がしきりに電話をして対応しておりました。同行していた方は大企業や大手百貨店の部長クラスが揃っていましたが、顔色がみるみるうちに変わっていくのを見ておりました。そうです。あの東日本大震災が起きたのです。ところが中国ではそのような報道はなく、ネットもなかなか繋がらない状況で、状況がつかめないのでいったん全員ホテルへ戻って対策を立てようということになったのです。そのホテルへ戻る途中で、ネットにようやく繋がってあの光景が1枚だけ写真で見ることが出来たのです。とんでもないことが起きた・・・というのはその時、ちょっと余裕をかましていた方も一気に顔色が変わったのを今でも思い出します。

ホテルに戻って21時頃から、中国の放送でもようやく少しだけニュースで出ましたが、BSのNHKだけが東日本大震災の状況を伝えてくれていました。中国からVPN接続でグレートファイヤーウォールを抜けたとしても、なぜかシャットダウンすることもあり、なかなか日本とコミュニケーションが取れないのです。次の日が朝4時起きで空港へ向かうことになっていたため、私だけ先に休むことになりました。私は帰国後の予定の関係で、中部国際空港セントレアで戻ることになっていたので、助かったのですが、他の企業の方は成田空港行きのチケットを取っていましたので、果たしてどうなるのかと不安の一夜だったと思います。「日本に帰れないかもしれない」と言っていた方もいました。

私は無事に?というか、かなりの時間がかかって日本に戻れたのですが、成田空港組は、上海までしか戻れないことがわかり、成田に戻れたのは翌々日だったと後から聞きました。

私はその頃、自分で立ち上げた会社で社長をしていましたので、戻って状況を確認したのですが、東京支社は思った以上にいろんな事が起きていて、この辺りは関東にいた方はご存知だと思いますので割愛しますが、46km歩いて家に帰ったとか、ゆりかもめの線路の上を歩いたとか、ビルから追い出されたとかいろいろありました。

問題は会社に来れない方も出てくるということで、思い切ってすべてオンラインに切り替えました。2011年3月13日だったと思います。
日頃から、東京、浜松、大阪をつないで朝礼をしたり、ミーティングをしていたのでオンライン化、テレワーク化は進んでいたと思います。家からも仕事ができる体制はなんとか整っていたため、一気に全員オンライン、テレワーク体制に切り替えたのです。

後から思うと、すべてテレワークにするのは早過ぎたと思いました。というのは、ネットが繋がりにくいことから電話での問い合わせが多かったのです。後から着信履歴を見るとお取引先からかなりの数の着信履歴がありました。浜松本社へも電話が多かったのですが、やはり東京への着信は数が違います。
それでも、できることはやろうということで、ネットに繋がらないネットショップもありましたので、代わりに買い物かごボタンを外して注文が受けられないようにしたり、代行運用も行いました。

テレワークを実施して、毎朝会社にいたときと同じように朝礼を実施して、ミーティングも実施したのですが、今回と同様なことがその時も起きていました。まず、女性陣がパジャマのような・・・彼女たちが言うにはジャージらしいのですが、いつもとは違う服装で朝礼やミーティングに出始めました。そのうち、どこにいても仕事ができるということで、実家や郊外へ移動して仕事をする方も出てきたのです。そして、やはり鬱になる方も出てきたのです。

私はこの仕事を行うときに、将来は皆さん自宅で仕事ができるようになるんだろうなとおぼろげながらも頭に描いていました。きっと皆喜んでくるだろうと・・・。ですが、逆の方が多かったのです。「皆にあいたくて、会社へ行っていたのに、ずーっと自宅なんてイヤ!」と言われたのです。衝撃的でした。そうなんだ・・・。家が好きな私としては、会社に行かなくても仕事ができて暮らせるならば最高だと思っていたのですが、そうではありませんでした。

このとき、すべてのオンライン体制、テレワークを諦め、落ち着くまでは交代で会社に出たり、テレワークにしたり変更したのです。大事なのは、今回のテーマであるコミュニケーションだったのです。会社では雑談もできますし、仲間と息抜きもできます。夜一緒に飲みに行くこともできます。それがずーっと家だとそれが出来ません。
このためコミュニケーションを取るためにちょっとした飲み会を実施したりランチミーティングも行いました。

オンライン体制でテレワークを行うときのコミュニケーションは、このちょっと雑談や皆でワイワイガヤガヤが出来ないというのが欠点です。どなたかが喋りだすとなかなか他の方との会話が出来ない。かなり鬱憤がたまります。また、初めての完全テレワークでしたので、管理者によって差が出ました。厳しい管理者はいちいち連絡してどうなんだ?みたいなことをしていましたし、ゆるい管理者は人任せにしていましたので、チームによって不満の出方が変わったのです。

2.リモート オンラインで起きたこと(今回と同様)
今回のコロナ禍、新しい生活様式では、まさにこのような現象が出たと思います。2011年3月からテレワークを行ってきた身としては、このノウハウをいちはやく関係者には伝えたのですがなかなか広まらなかったのがとても残念です。しかしながら一部の方はすぐにこの失敗例を取り入れてくれて、うまく乗りきっていますと話をしてくれています。

Eコマース業界は早くからクラウド化が進んでいましたので、テレワークはしやすかったと思いますが、それでもなかなか踏み込めないEコマース企業も多かったと思われます。私はこの状態は10年続くと見て会う人には伝えているのですが、テレワークが出来るというか、テレワーク主体の業態にしたほうが良いと考えています。

3.どのような解決方法を実施したか 現在の状況
PCに管理ツールを入れたり、1時間毎に連絡を入れるなどといった管理手法では、テレワークには向かないです。基本的には、チャットツールやバックログでのツールで大丈夫です。性善説で管理していると見せておくのが重要で、「管理しているぞ!」スタイルはよく有りません。しかしながら、管理者や経営者からすると「本当に仕事をしているか分からない!」と勘ぐりたくなるとは思います。ただ、Eコマースのツールというのは、ほとんどが何時にログインしたか、最終閲覧時間はいつなのかとか、システムやツールによって違いますが、この時間が分かるようになっています。もちろん、それを逆手にとって裏技で管理の目を盗むことも出てくるとは思います。大事なのは、「信頼している」というスタンスなのです。

そもそも忙しいECショップやEC企業は、すべてを通常の営業時間内に完了させることは出来ません。ネット販売は基本24時間365日ですが、モールによっては午前1時59分にイベントが切り替わったり、0時にポイントの切替も発生します。朝9時にはいったん受注を締め切る必要がありますから、基本的に24時間稼働を意識しておく必要があります。これを時間労働で管理しようとするのは不可能だと思うのです。

もちろん、お客様の手前、営業時間を記載して顧客の期待値コントロールをしておく必要がありますが、これをイコール作業時間として守っていてはEコマースを伸ばすことは出来ないです。責任感のある方でしたら、社員だけでなく、パートさんであっても土曜日に受注をチェックしたり、緊急のメールのサポートをしていたりします。それらはシステムやツールでログイン時間や最終閲覧時間などをチェックできますから、管理者はそれで判断すればよいです。

4.アジェンダ 議事録 ファイル共有 ルール
オンライン体制で必要なのが打ち合わせになります。定例ミーティングの他に緊急ミーティングもあるかと思います。
緊急での打ち合わせであっても、必ずアジェンダを作成し、24時間以内に議事録を提出する、その役割をどなたが実施するかを決めておく必要があります。オンライン体制では先ほどお話したように、多対多ではなく、1対多になってしまいますので、あらかじめ役割分担を決めておく必要があります。だれがファシリテーターとして進行するのか、議事録は誰が作成して確認するのかなどです。緊急時はなかなか前もって役割分担を決めておくことが出来ない可能性もありますので、その場合にはミーティングが始まってすぐ役割を決めておけばよいです。

そして、そのアジェンダや議事録、必要な資料はファイル共有サービスで共有しておきます。自分のローカル環境に置くのではなく、すべてクラウドのファイル共有サービスに置くようにします。これはルールとして決めておきます。ローカルに入れておくと、共有ができなくて困るのはその人だということをわからせておく必要がありますので、そのような事象が起きたときに都度都度注意しておきます。

5.ファシリテーターと参加メンバーの注意事項
オンライン体制での注意事項として、いちばん重要なのは、ZoomやTeamsなどでミーティングする時に、カメラをオンにして顔を見せることです。マイクはいろいろ雑音が入りやすいのでしゃべるときだけオンにすればよいですが、顔は常に見せる必要があります。これは表情もそうですが、ミーティング中に他のことをやっていないかなどをチェックできます。社内のミーティングではこれを最低条件としておくのが良いでしょう。
社外チームや取引先とのミーティングも最近はオンラインが増えてきたと思います。特にですが、大企業とのミーティングではカメラをオンにしていない方が多いのですが、これでは信頼関係が出来ないです。やはり成長している企業とのミーティングは必ずカメラオンでマイクオフが徹底しています。

オンライン体制で、実はいちばん大事なのは、実はコミュニケーションです。リアルで会って仕事をしているときはすぐにコミュニケーションを取ることが出来ますし、雑談も出来ます。これがオンライン体制では出来にくいのです。東日本大震災後のテレワーク時には、2週間後くらいから徐々に少ない人数で飲みに行ったりしました。結果的にこれが功を奏しました。このようなコミュニケーションがテレワーク時にはとても大事です。かと言ってオンライン飲み会ではこれは出来ないです。このため、交代で少人数で会社に出たり、1対1でオンライン雑談をオススメしています。雑談は30分とかではなく、3分とか5分で大丈夫です。たったこれだけでまったくその後の業務が変わってきます。ぜひお試しください。

川連一豊プロフィール写真

代表理事 川連一豊

そろばん2級 書道6段 ヤマハデジタルプロコース卒業
浜松南高校普通課卒業  愛知大学法律経済学部卒業
学生時代より音楽活動を行う。1988年ヤマハ世界大会出場
ベストキーボードプレイヤー賞2年連続受賞などTVCM、TV番組、CGの制作に関わる。
インターネットでは楽天市場 2003年ジャンル賞受賞
楽天にて、モバイル講師  HTMLメルマガ講師
他ネットショップに関わる講師多数
2004年6月30日までソフトプレン株式会社営業課長
ネット店舗の店長兼任
2004年7月1日 独立
2004年8月11日 有限会社SAVAWAY設立
2009年9月ネットショップのおもてなしを出版
2012年システム流通総額1500億円を突破
取引数3500社以上のネットショップ、ネット通販企業
50名以上のECコンサルタントを輩出

シェア
ポスト
メール
代表理事・講師

川連 一豊

得意分野/システム開発・セキュリティ・オムニチャネル

フォースター株式会社代表取締役。年間システム流通額1700億円を超えるシステム開発やセキュリティー専門オムニチャネルのおもてなし戦略、米国やEU、アジアなどのクロスボーダーEコマースを進める。

関連記事

代表理事・講師

川連 一豊

得意分野/システム開発・セキュリティ・オムニチャネル

フォースター株式会社代表取締役。年間システム流通額1700億円を超えるシステム開発やセキュリティー専門オムニチャネルのおもてなし戦略、米国やEU、アジアなどのクロスボーダーEコマースを進める。