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認定支援機関目線で見た「事業再構築補助金」について

経済産業省の新しい補助金で史上最大予算の「事業再構築補助金」公募が始まっております。
事業再構築補助金の総予算は1兆1,485億円を確保されており、従来の持続化給付金が赤字補填と言う守り型の給付金に対して、この補助金は事業転換補助金という意味合いが強く、新たな取り組みを行うために必要な設備投資などを補助する攻めの補助金です。
今回は、私が実際にこの補助金を申請して分かったことを書いていこうと思います。

公募要件について
 事業再構築補助金は具体的にどのような場合に申請ができるのでしょうか?
少なくとも以下の3つに該当する必要があるのでご確認ください。
① 売上が減っている
② 事業再構築に取り組む目途が立っている
③ 認定経営革新等支援機関と策定した事業計画がある
1つずつ内容を確認していきます。

①売上が減っている
事業再構築補助金を申請するには「売上が減っている」必要があります。
そのため、どんなに事業を再構築しようと考えていても、売上が減っていなければ申請が出来ません。経済産業省から発表されている内容は以下のようになっています。
・2020年4月以降の連続する6か月のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少しており、2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高がコロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して5%以上減少していること。
※詳しくは公募要領をご参照ください。

②事業再構築に取り組む目途が立っている
事業再構築補助金を申請するには「事業再構築指針」に則った「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編」のいずれかに取り組む必要があります。
会社の「取り組む姿勢」だけだと通らない可能性が高いです。理由は③にあります。

③認定経営革新等支援機関と策定した事業計画がある
事業再構築補助金を申請するには、認定経営革新等支援機関と策定した事業計画がある必要があります。私は認定支援機関なので事業計画に着手させていただきました。
つまり採択されるには合理的で説得力のある事業計画を策定することが重要です。
そのため、我々みたいな認定支援機関に相談したほうが、採択率は上がるかと思います。
補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)も参加して策定する必要があります。殆どの金融機関が認定支援機関を兼ねているので金融機関だけで申請しても問題ありません。私は3,000万円オーバーの案件を金融機関とコラボして申請し採択されました。この補助金は初物の補助金なので、正直言って金融機関は
詳しく内容が分かっていない方が多いです。内容があまりにも煩雑ですからね。
ただし、「与信」はしっかり見られます。つまり、もしこの補助金が採択された場合は
補助事業実施期間の資金調達と当面の事業計画の数字だけは金融機関はしっかり見ます。
現在の借入額から、この新規事業の実現性の可否と返済能力の有無を判断します。
つまり、公募に申請する前に金融機関から「申請NG」が出るパターンがあるのです。
補助金額が補助金額なので仕方ないとは思いますが…。

事業再構築の類型をよく考え、内容をよく理解する
再構築指針とは、実施する事業再構築が、「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編」5分野の類型のどれかに当てはまらないと申請が出来ません。
どの分野に該当するのかで、利用できる補助対象経費も変わってきますのであらかじめよく理解をして確認が必要です。実は、ここの解釈ミスで不採択になる事例も多いです。
不採択になる理由の多くは、「事業計画における売上高要件の未達成」です。
認定支援機関がついていながらダメな話なのですが、第1回公募はこの理由での不採択が続出しました。確かにそれだけ複雑なのですがまとめるとこうなります。

今回、あまりにも特殊な会社法上の再生行為「事業再編」の説明は割愛いたします。
重要なのは、③の「売上高10%要件」と「売上高構成比要件」があることなのです。
「売上高10%要件」は、事業再構築を行って3~5年後の企業の売上が現状より10%以上成長している事が要件です。
「売上高構成比要件」は、事業再構築を行って3~5年後の企業の売上構成比が最も高い事業になることが要件です。

色んなケースがあると思いますがこの条件を満たしやすいのは「新分野展開」と
「業態転換」あるのは一目瞭然なのです。この分野は「提供方法」についても問われます。
そこで、新商品販売手段としてECサイトの新規構築も必要になるケースが多いです。
しかし、ここを勘違いして「事業転換」や「業種転換」なのに10%成長計画で事業計画を策定してくる事業者が多かったと聞いております。
実際、私の所には「事業転換」の相談は非常に多かったのですが、「売上高構成比要件」の説明をすると諦める方がほとんどでした。確かによほどでないと難しいと思います。
ちなみにこの補助金は、不採択になっても事務局に電話すると不採択の理由を教えてくれます。不採択の理由を聞いて再チャレンジすることも可能なのです。

採択されたら事前着手承認制度は使いまくる事!
事業再構築補助金の特徴として、事前着手承認制度というものがあります。
つまり、交付申請決定が出る前に事前着手の承認を受けた場合は、早期の事業再構築を図るため必要となる経費について、交付決定前であっても令和3年2月15日以降に購入契約(発注)等を行った経費も補助対象経費とすることができます。ということは補助金の採択結果を待たなくても使えます。申請が不採択になったら自腹になるだけですからね。
「コロナ禍で多大な影響を受け、早期に事業再構築に取り組みたいと考えている事業者が多くいらっしゃると思います。このような事業者にとって、非常に使い勝手の良い制度となっています。」という名目ですが、現実的に建物費が補助対象のこの補助金は交付申請決定が出るまでにものすごく時間がかかります。建物新築の場合はなんと半年近くかかります。申請も相見積とって積算根拠まで必要なので、事業者側も大変なのです。
ですから、交付決定を待ってられないのでじゃんじゃん申請して使いまくってください。

再構築補助金は、第4回公募申請の受付が11月中旬から。締切りは12月21日です。
公募は来年1月末締切りの第5回まで実施予定です。採択率は平均30%くらいです。
専用のホームページには採択された事例も掲載されています。ご参考になれば。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

以上になります。補助金のご利用は計画的に。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 渡辺 太志

(株)アイズモーション専務取締役/プロフィットシステム常務取締役
コンサルタントとして企業の経営戦略から組織開発までトータル支援が可能。SNSを活用した集客・販促により宣伝広告費の圧縮を行い、経営改善に繋げるシステム作りのコーディネートを得意とする。


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