一般社団法人ジャパンEコマースコンサルティング協会

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年頭所感 専務理事 雨宮雄一

新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
2016年は、日本においては個人から企業レベルまで、様々な不正、不貞、
不法行為が暴かれ、「正義」が叫ばれた1年だったと思います。
海外においては、Brexitに始まり、トランプ米大統領(候補)の誕生など、
「保護主義」の台頭が目立って来ました。
何れの動きも、経済の閉塞感が漂う環境において、行き場を失った民意が先鋭化
しているという印象があります。
小売業界に目を転じると、インバウンド旅行者がモノ消費からコト消費へとシフト
したことで、インバウンド需要に沸いていた百貨店や家電量販店などが苦戦しています。
食品スーパーやコンビニエンスストアは、出店攻勢も相まって、人口減の中でも
マーケットを拡大しています。
Eコマース業界おいては、全体としては引き続き成長基調にありましたが、
継続成長しているモール(カテゴリ)やECショップがある一方で、既に前年割れ
しているモール(カテゴリ)やECショップも多く見られるようになりました。
優勝劣敗が加速しているように思います。
小売・Eコマース業界を総括すると、楽観的な経営環境にはなく、社会的な動き
も相まって厳しさを増す消費者の声に耳を傾けながら、適切な対応を取って来た
企業が成長を維持していると言えます。
SNSなどの発展により、消費者の声は大きくなる一方ですので、供給者の論理ではなく、
消費者の視点に立ったサービス展開がより一層求められることになると思います。
さて、話題を変えますが、2016年の私は、小売・Eコマース関連でもM&Aに
携わる機会が大幅に増えました。2つの潮流が見受けられます。
1つ目は、事業承継というテーマです。
これは、M&Aの世界では十年ほど前から注目されていましたが、高齢になった
創業者が、親族や社内に後継者を見出すことが出来ず、他社への事業売却・事業統合
によって、ブランド・顧客・社員を引き継いでいくものです。
私の携わった案件でも、ある通販会社が、創業者も顧客も社員も高齢化してしまった為、
ネット対応しても新規顧客の獲得が上手く行かず、勢いのあるECベンチャーに事業を
売却したケースがありました。別の案件では、ある小売チェーンの創業者が、リアル
店舗だけの展開に限界を感じ、オムニチャネルを推進するためにあるECショップを
買収・統合し、そのECショップの経営者を小売チェーン全体の後継者に指名する、
というケースもありました。
商業統計によれば、小売事業者は法人でも全国で約45万社あります。このうち、
2-3割が後継者問題を抱えていると言われています。放置しておくと、廃業という
悲しい結果を生んでしまうことにもなりかねず、ECの力によって事業を承継・
発展させて行くことが出来れば、大きな社会貢献・経済活性化に繋がるものと思って
います。
伝統的小売業のEC企業(その経営者)による事業承継は、今後も個人的には力を
入れて行きたいと考えています。
2つ目は、水平・垂直展開というテーマです。
これは、ベーシックなM&Aのテーマですが、例えば多くの顧客・会員を持つ小売業が
商品・サービスラインナップ拡充を目論んで他小売業を買収する、ないしは、
メディア運営・集客のノウハウを持つ企業が物販にも進出すべく他小売業を買収する、
というようなケースです。
最近では、ある親会社が、子会社をこのままグループ傘下に置いておいても成長させる
ことが出来ないので、他社に売却する、というケースも増えて来ました。
私が関与した案件ではないですが、楽天による爽快ドラッグの買収は、正直言って
驚きました。楽天は数年前にケンコーコムを買収していましたが、医薬品ネット販売
において圧倒的なポジションを確保すべく、ライバルの爽快ドラッグまで傘下に
収めました。日用品・医薬品というジャンルで見れば水平展開ですが、楽天経済圏
という視点で見ると、垂直展開による直販強化、ということです。
また、LINEによる夢の街創造委員会(出前館を運営)への出資も垂直展開の一例です。
LINEが目指す「スマホポータル」において、O2O(Online to Offline)領域
及びデリバリー領域へ本格参入することを目的としています。
このような動きは、今後も益々活発化してくるものと考えています。
もはや、EC業界においてもM&Aは当たり前の成長手段となってきています。
このような時代だからこそ、いつでも自社が買収側に回れる、ないしは、
売却することが出来るよう、「基本を磨く」ことと「進化をする」ことに
邁進しなければなりません。また、ショップを支えるサービス提供者側は、
ショップの「本質的課題」を解決する一手を提案する必要があります。
JECCIAとしては、「基本」を大切にしながらも「進化」出来るEコマース人材を
育成していくべく、引き続き努力していく所存です。
最後になりましたが、皆様方におかれましては、この一年が希望に満ちた躍進の年に
なりますよう心からお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

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