2020年 年頭所感 小野雅之
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
まずは昨年を振り返りまして、一言で2019年ECを表しますと「Yahoo!」。
これには同意していただける方も多いのではないかと考えております。
PayPayは予想通り年始早々の大型キャンペーンから始まり、積極的な獲得プロモーションを実施。スマホ決済でのシェア1位の座を獲得しました。
そして驚きの「ヤフーによるZOZO買収」。一休、アスクル、ロハコに続き、またまた強力なEコマース事業を手に入れました。ヤフーはお買い物が上手ですよね。
最後はなんと「ヤフーとLINEの経営統合」。冗談のような大型統合が実際に行われるなんて、と皆さん本当に驚かれたニュースだったのではないでしょうか。
Eコマースの領域では、BASEの上場、楽天の送料無料など、他にも大きなニュースがありましたが、終わってみると、最初から最後まで立て続けに大きな話題を作りまくったヤフーが強烈な印象を残した1年でした。
本年2020年も、このヤフーの勢いが止まるとは思えません。
買収したzozotownの商品も早々にPayPayモールに提供開始され、認知度の向上だけでなく、商品の拡充も行われています。何気にヤフオクのアップデートも続いています。PayPayフリマのダウンロード数も急速に伸びてきています。独走に思えたメルカリも、ヤフーにフリマアプリ首位の座を奪われる、なんてことも十分ありえると考えています。
なぜこんなに私がヤフーの動きに興奮しているのかといいますと、つねに事業運営で問われる「大企業が力技で攻めてきたらどうするのか?」という状況がECの領域で、目の前の現実として起き始めているからです。ヤフーに誘発され、EC事業のM&Aは続いていくことでしょう。楽天の送料無料のように、プラットフォーム側の一存で急なルール変更が発生することも、もちろんまた起こり得ることです。
しかし、大企業の統合や、プラットフォームのルール変更に文句を言っているようでは、正直何を今更と言わざるを得ません。それでは生き残りは難しいでしょう。ビジネスをする以上、最初から想定していなければいけないリスクです。
また、他社がやっていることを同じようにやるというだけの中小ECは、勝てないばかりか、存続も危ぶまれるのも当然です。自社の強み、特徴をとことんとがらせる。そのためには、すべてに対応しようとするのではなく、やめることを決めて、サービス・機能を大胆に絞り込み、そこにリソースを集中させるという判断をしなければいけません。
そして、場合によっては、先んじて自ら他社と組むという選択肢を検討することも必要になってくるかもしれません。
なんだか憂鬱な気持ちになってしまいそうですが、これまでにない状況ということは、別の見方をすると、今までできなかったことができるチャンスが生まれるタイミングでもあります。
私自身としましては、このうねりに飲み込まれないようにしながら、逆に自らのサービスの勢いに転化できるよう、常に幅広く情報収集を怠らず、発想も柔軟に、精進してまいります。
最後にプチ予想をおひとつ。
昨今のサブスクブームの影響で、クレジットカードの分割払いを全面に押し出してきたサービスが増えてきていると感じています。これまでもクレジットカード分割払い、リボ払いはありましたが、ユーザーへの訴求が増えることによって、これらの支払い方法の利用者が増え、クレジットカード会社の手数料収益が軒並み増加するのではないかと予想しております。
末筆となりますが、皆々様の本年のご多幸を心よりお祈り申し上げます。