2026年 年頭所感 服部愛子
― 新年のご挨拶 ―
新年あけましておめでとうございます。
会員の皆さま、そして日頃よりJECCICAの活動を支えてくださっている関係者の皆さまに、心より御礼申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、ここ数年、私が特に注目している国があります。それがベトナムです。
理由は大きく五つあります。
一つ目は、平均年齢が約30歳と、若くて人口が多いこと。
二つ目は、年間7%前後という高い経済成長が続いていること。
三つ目は、今なお国際的な競争力を持つ人件費水準。
四つ目は、日本に対して非常に友好的で、日本製品や日本式の考え方への信頼が厚い国民性。
そして五つ目が、日本との時差がほとんどなく、ビジネスを進めやすいという点です。
若い人口と経済成長が続く国では、医療・ヘルスケア、消費財、IT、そして越境ECなど、さまざまな分野で今後も市場の拡大が期待できます。
ベトナムはまさに、これから長い時間をかけて成長していく市場だと感じています。
2026年以降を見据えると、中国だけでなく、アジア全体への越境ECはさらに活発になっていくでしょう。
アメリカやヨーロッパではAmazonが中心ですが、中国や東南アジア、中南米では、それぞれの国や地域ごとに強いECプラットフォームが存在します。
この「国ごとの違い」をきちんと理解できるかどうかが、海外展開の成否を分けるポイントになります。
ベトナム経済は、ここ10年以上にわたって安定した成長を続けてきました。
2024年のGDPは約4,300億米ドル、ASEANの中でも上位に位置し、2025年には8%を超える成長が見込まれています。
また、外国企業を呼び込むための税制優遇や手続きの簡素化も進み、ビジネス環境は年々整ってきています。
人口は1億人を超え、その約6割が35歳以下。まさに「人口ボーナス期」にある国です。
教育水準も着実に向上しており、多くの日系企業が、ベトナム人材のまじめさや学習意欲、チームワークの良さを高く評価しています。
医療や健康分野においても、日本の技術や品質に対する期待は非常に大きく、今後さらに需要が広がっていくでしょう。
もちろん、課題がないわけではありません。
行政手続きの分かりにくさ、文化や商習慣の違い、周辺国企業との競争、物流コストなど、簡単ではない部分もあります。
だからこそ、現地をきちんと理解し、信頼できるパートナーと長い目で取り組む姿勢が重要になります。
日本市場は成熟し、競争も激しくなっています。
限られたパイを奪い合うだけでなく、これから発展し、ともに市場を育てていける国へ目を向けてみる。
ベトナムは、その選択肢として非常に魅力的な国の一つではないでしょうか。
本年が、会員の皆さまにとって新たな挑戦と実りに満ちた一年となることを心より願い、年頭のご挨拶とさせていただきます。

JECCICA理事・講師 服部 愛子
物流企業にて物流業務、貿易業務に携わり独立。海外製商品の日本へ輸入。日本と海外との貿易に多くの実績を持つ。日本越境EC協会の立ち上げに参加し、越境EC支援事業をスタート。
中国語、韓国語、英語はネイティブレベルで、中国企業との提携などで多くの実績を持つ。