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強みに変える物流視点 あの企業は変貌した

不向きとされたECで風穴を開けた
コロナ禍をきっかけに、ECが盛り上がりを見せていて、それを思えば思うほど、物流はそれと表裏一体である事に気付かされます。

先日、物流に詳しいリンクス 代表取締役 小橋重信さんと話していた時に、印象的だったのは、今までは「ECと物流の関係性」で述べられていたのが「リアルとネットを融合させてどう物流を効果的に使うか」に多くの時間を割いて話すようになっていて、視点が完全に切り替わっていることでした。

だからこそ「物流を活用すること」の重要性を述べていて、彼が成功例として挙げたのはウォルマートでした。本来、ウォルマートは小売業では考え方も「古い」と言われてきました。なぜなら、ウォルマートがメインに据える「生鮮食品」はECに不向きであるとされ、ウォルマート自体もデジタル化は無理だと考えられていたからです。無理もありません。日本国内で見てもEC化率はわずか3%程度に過ぎず、相性の悪さが目立ちます。

しかしその本質を読み解かなければなりません。生鮮食品がECに不向きだとされた理由はその単価の安さにあって配送代金が邪魔して、ECの利用そのものが敬遠されたからです。ウォルマートが賢かったのは「配送しないで」受け取りに来てもらえれば、その配送代金はかからないとした点です。ラストワンマイル戦略で「デリバリー」よりも「ピックアップ」を強化する方向へ舵を切って、ネットを強みに変えました。

お客様に極力、お店まで来るよう促し、その代わり注文から時間をかけることなく渡せるよう生産性を高めた結果、今度は弱みとされていた全土に渡るリアルのお店が、オセロのように彼らの強みとなって、差別化要因になったのです。

小売の4割がオムニチャネル売上
単純に在庫連動などの「オムニチャネル」の「表面上」の話だけをみていたら、その本質は見失っていた事でしょう。彼の話はそれに気づかせるもので、リアルとネットを融合させた時、店としての付加価値は何かを考えた先に今がありました。

EC、リアル問わず「専業である事」は過去の話なのかもしれません。野村総合研究所調べでは、“オムニチャネル”で売上を作っている割合が、2020年で約61兆円と推計されています。小売量販売額は約146兆4570億円だとされているので割合で出せば、“オムニチャネル”で売上を作っているシェアが小売全体の4割を超える計算になります。

ここを当たり前に考えることに、店舗の伸び代があるのではないかと思いました。

盲点だったふるさと納税特化の物流
物流を味方につけていくという視点。それは「ふるさと納税」でも見られていて、東京都内にある「さとふる」の物流拠点にいって来ました。そこに次の時代における「ふるさと納税」のあるべき姿があって、それはEC同様に、デジタル化における必要な変化を学べると考えたからです。日本初のふるさと納税特化の冷凍倉庫で僕がみたのは何か。

「ふるさと納税」のマーケットは寄付額でその成長を見る事ができます。2019年で約4800億円だったのが2020年で約6700億円にまで伸長し、急激に事業者の出荷に関する負担も増えているのが現状です。

「さとふる」は物流を差別化要因にしようと考えました。中でも冷凍に特化しているのは返礼品で食品が占める割合が大きいからで、食品における冷凍の配送は常温などと比較してもコストがかかります。

冷凍便が各地で縦横無尽に配送されることになれば、その分コストが膨れ上がりますから、彼らは一旦、東京でまとめて預かってそこから出荷することでコストを抑えようと思案したわけです。倉庫を作る利点はもう一つ、食品にはつきものの賞味期限です。出荷の拠点を一つにすれば、コントロールしやすくなって時間指定も可能になります。

冷凍倉庫は会社の新しい可能性を示す
この日、僕が行った倉庫で保管されている「返礼品」の数は70種類。案外、種類が多くないと思いましたが、「ふるさと納税」特化の冷凍倉庫が日本初ゆえの堅実さなのかもしれません。

倉庫に集められた返礼品は北海道と九州の事業者のものをメインにして、絞っていたのです。寄付者のボリュームゾーンが首都圏にあるので、一番遠い箇所から始めようという意図がありました。
そして、トラック一台分丸々、一社で済むくらいの受注が見込まれる事業者を主としていました。それは、その事業者を優先的に扱いコストを抑えながら「さとふる」は倉庫内での生産性を高める工夫をし、倉庫に対しての知見をその間に貯めようとしているのです。

それが完了する頃、いずれ一つのトラックで複数の事業者をまわり、返礼品を相乗りで入れられるようにしていく考えで、その対象地方も北海道、九州だけではなく、全国各地対応させていく事を狙っています。

勿論、この話は「ふるさと納税」に関わる事業者と寄付者のためを考慮し、考えられているものですが、これが確立されて、独自の冷凍の物流プラットフォームになれば、会社として「ふるさと納税」以外にも挑戦できる差別化要因になりうるでしょう。

改めて、ネットに絡む事業は物流を一体で捉えて、何ができるかを考えるべきです。コストの減少、差別化要因の顕在化など、まだまだ見出せていない要素はきっとあると思います。コストセンターとだけ考えている人は時代遅れと言われてしまうかもしれないですね。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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