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経営指針書策定のススメ

JECCICA客員講師 渡辺 太志
渡辺 太志

お久しぶりでございます。
私は本年度、中小機構基盤整備機構 関東本部の経営アドバイザーとしての活動が始まりました。中小機構関東本部に相談でいらっしゃる方への窓口相談、メール経営相談、経営相談ホットラインへのアドバイスが主業務です。いわば経営のER(救急患者への迅速かつ適切な対応)みたいな業務です。
経営相談業務の中で、アドバイスを多数させて頂きました。
その中でふと、気がついた事があります。この12年でEC業界の流通総額は3倍程に伸びているようです。
2003年の4.4兆→2013年は11.2兆。この10年間では2.5倍です。
毎年6月恒例、経済産業省から2015年度の電子商取引に関する市場調査の結果が発表されました。平成27年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、13.8兆円(前年比7.6%増)まで拡大しています。2003年から12年で3倍以上の市場に拡大したのですが、昨年対比での市場の拡大率は思ったほどではないということです。つまり、市場の成熟化は確実に進んでおり、「量より質」「本物志向」になっております。
市場の成熟化が進むということは、経営の安定度、つまり「絶対ブレない座標軸」が絶対必要になるのです。しかし、相談窓口にいらっしゃる経営者様は、ここが見事にブレブレです。そこで、ブレない行動を起こすために、小規模事業者様を含めた中小企業様。特に創業5年未満の企業様にオススメするのが「経営指針書」の策定なのです。

「経営指針書とは?」
色んな考え方があるのですが、一般的に「経営理念」「経営方針(ビジョン)」「経営計画」この3つをまとめたものだと思っていただいて結構です。

「経営理念について」
経営理念をちゃんと持っている企業様はかなり多いです。これは、企業の個々の活動方針の元となる基本的な考え方です。創業者や経営者によって示されたものが多いです割りとシンプルなものも多いです。私はシンプル・イズ・ベストだと思います。
シンプルだと全従業員が内容を理解し共感します。例えば、ソフトバンク様の経営理念は「デジタル情報革命を通じて、人々が知恵と知識を共有することを推進し、企業価値の最大化を実現するとともに人類と社会に貢献する。」 です。
かなり分かりやすい内容だと思います。でも、これでもちょっと長いくらいです。
ちなみに、旅行代理店の、エイチ・アイ・エス様の場合は、「ツーリズムを通じて、世界の人々の見識を高め、国籍、人種、文化、宗教などを超え、世界平和・相互理解の促進に貢献する。」

これもちょっと長いですが、会社として何を目指すかは具体的になっております。
これは企業の目的は何か?を考え、会社経営の基本的な考え方を明示するものです。
これは、頭の中ではよく分かっているのですが、文章にするのは大変です。

「経営方針(ビジョン)について」経営方針は、この経営理念に基いて、経営の基本的方向を確立し、それに対する戦略を構築することです。
EC業界は時代の流れが極めて早い業界です。自社の状況やリソース、企業の事業機会を時代の流れを鋭く洞察しながら、自社の長所を活かし、短所を改善するための目標設定を行います。これには「SWOT分析」が非常に有効です。

「経営計画について」
経営方針や経営戦略が決定したら、次は確実に実行できる経営計画が必要です。企業が存続し、成長していくためには、将来自社の進むべき目標を明らかにして、具体的に数値化し、人、モノ、金の経営資源をどのように正しく調達し、配備していくのかを、きちんと計画する必要があります。そして、計画を作るだけでなく、着実に実行していくことが、安定的に成長していくための要件となります。
経営計画の進捗については自社の社員のみならず、取引先や金融機関に開示し、理解を求めることも必要です。実はこれは金融機関様に対しては非常に有効な手法です。
経営計画が着実に進捗していることを告知する活動が、内外に対する自社(店)の優良性の証明となり、自社の経営環境をより好ましいものに変えていくことになるからです。
経営を「航海」に例えるなら会社を「船」であり、経営者である社長はさしずめ「船長」といったところでしょうか。到着地点のない「航海」がないのと同様に、目標のない経営はありえません。到着地点は船長が定め、船はそれに向かって進んでいきます。船長ひとりでは船は動かないので、船長は船員に対して役割を分担し航海を進めていくことになります。会社も経営者が目標を定め、それに向かって進んでいかなくてはなりません。方向を誤れば経営はうまくいきません。しかし、経営計画書を作ったことがない社長でも、自分の船の到着地点、そのための燃料の補給などの中継点の設定などは、具体的な行動が頭の中で存在していると思います。しかし、船員が5人くらいまでは良いのですが、それを超えてきますと船長の頭の中だけで航海をすすめていくことは極めて危険です。となると分かりやすい目標設定は必要不可欠なのです。そして目標値を全員で共有することも絶対必要です。

経営理念、方針、計画の成文化を行い、経営指針書を策定し、実行に移すということは
会社が目標に向かって結束し、最大効率での業務推進が可能になります。
ぜひ、経営指針書を策定してみてください!

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