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2020年 年頭所感 北村貴

2020食のトレンド予測

いよいよ2020年の幕開けです。世界的な環境変化やオリンピックで注目があつまる日本へのプレッシャーが高まる中、どのように社会が変化していくのか非常に楽しみな1年です。
さて年初は食トレンドについて予測していきたいと思います。すでに「トレンド」という言葉が死語になりつつありますが、それでも毎年食業界にはヒット商品が生まれています。みなさんにとって「身近さ」があり情報接点が多いにもかかわらず、ファッションなど自己表現にかかわる個別化が進む業界と比べると情報性が低い業界なのかもしれません。一方で日々の営みの中に組み込まれているからこそ、ビッグトレンドはゆっくりとした変化しか起こっていないのですが、気づくと変わっていた!すっかり置いていかれていた!というようなことにならないよう、ぜひアンテナを高くしていただければと思います。

2019年はタピオカに象徴されるように、まだまだ過去の価値観が色濃く表れている1年でした。瞬間風速的なトレンドは非常に危うく、しかし一気に稼いでいくスタイル。ここに商機を感じて投資する方もいらっしゃいますが、ECの場合トレンドを追えるのは資金力、またはそれに呼応するユーザー層をつかんで常に情報発信し続けているショップに限定されます。短期間での商品開発力、製造能力、同時に次のトレンドをつかみ商品開発のトライ&エラーを行える資金と人材の余裕と余力が求められるからです。また、ゴミ問題や過剰な甘さなど社会的な課題も多く残したタピオカドリンクは、すでに出だしからオールドバリューでした。一方2020年同様にブームの兆しがあるのは「バナナジュース」です。タピオカと大きく異なるのは「定番の見直し」である点でしょう。ここ数年、バナナの多様化はスーパーの棚をみてもわかる通りで、中には皮まで食べられるバナナも登場しています。また、可食部分が多く食べ残しが少ないこと、甘味料を加える必要がないこと、素材の栄養価が高いことなど、タピオカドリンクと比べると新しい価値に近づいていることがわかります。一方で自宅でも簡単に作ることが可能であるため、専門店やプロの仕事には差別化が求められます。SNSが当たり前の時代ですから、単純な素材の組み合わせでは素人にさえに負けてしまいます。素材調達力、商品開発のアイディアと技術がますます重要で、外部の力も借りながらオリジナリティを構築できるECショップだけが生き残っていくでしょう。

この例にみられる通り、今後注目すべきは「じわじわ人気」商品です。一気に売り上げ貢献したりはしませんが、徐々に認知と人気が高まり、気づくと誰もが食べる定番になっている商品を探して、自社のラインナップに組み込んでいくことは、ビジネス全体をボトムアップさせます。例えば「スパイスカレー」。カレーをコミュニケーションツールとするユニット「東京カリ~番長」が2000年にスタートしてからじわじわとスパイスのブームがやってきていました。途中、札幌のスープカレーや、タイ料理ブームがあり、発祥の地と言われる大阪では2013年頃に個人店によるスパイスカレーが人気となりました。その後SNSなどを通じて全国へじわじわと広がり、今やどの都市に行っても必ず1件はスパイスカレーのお店があるほどです。国民食とも言えるカレーですが、「ルーカレー」の単純な味わいから、ビリヤニやポークビンダルーなどアジア各国の地方色の豊かなカレーまで。土地の背景にあわせた複雑な味わいで、非常に奥深く、探求心がそそられるのも継続的に人気を得る理由です。これは「発酵食品」などにもつながる要素です。

最後に、スパイスカレー同様の傾向が感じられるじわじわ商品をランダムに上げてみたいと思います。

単一食材では「クミン」「バナナ」「クラフトアルコール類(ワイン、ジン、ラムなど)」、メニューでは「タコス」「フムス」などの中南米や中東系、継続的ではありますが特に注目すべきは「チーズ商品やメニュー」「豆乳、米粉、雑穀を使った菓子類」など。消費スタイルとしてはオーガニックやエシカルをあえてうたわず、自然と消費している姿を目指す「エシカルスタンダード」。食べチョクや坂の途中などにみられる、「CSA(Community Supported Agriculture)」の価値にのっとった変型判、既に各所で見られる「フードロス対策商品」。最後に商品開発やメニュー開発などで我々が日々の仕事で、最近求められている新しいスタイルはオーストラリア発の「グレージング・テーブル」、コンセプトは「ギルトフリー」。このキーワード、興味を持った方はぜひ検索を!

2020年も400人の料理家・シェフと一緒に、みなさまの食の課題解決に向けて日々邁進しますので、どうぞよろしくお願いいたします。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 北村 貴(きたむら たか)

株式会社グロッシー 代表取締役


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