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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol⑦ 基本戦略STP:ターゲティング

市場環境分析から勝てる市場グループ(集団)の発見がセグメンテーション
前回までの内容を整理すると、先ずは市場環境分析「PEST分析・3C分析・SWOT分析」を踏まえた3つの結論を導く。
① 「KBF=key buying factor」⇒顧客像を明確にしてニーズ(不の字)を深堀する。そして顧客が買う時の理由を抽出する。
② 「KSF= key success factor」⇒顧客のニーズと競合の動きを見据えて、自社が市場で勝つための成功要因を発見する。
③ 「市場機会と事業課題」⇒自社の強みが最も発揮出来る市場を発見し、それを活かすために解決すべき事業の課題を整理する。
その上で「セグメンテーション」を、次の2点をポイントに行う。
① 「先ずはニーズで括る」⇒自社が強みを発揮して勝てる市場には、どんなニーズを持つ(不の字を持つ)顧客像が居るのかを明確化。
② 「そして属性を加える」⇒上記のニーズを持つ顧客像を属性で表すと、主にどのような属性を持つ顧客像が多く存在しているのかを明確化。
ここまでの作業を行えば、セグメンテーションを更に具現化・詳細に落とし込んで、自社が狙うターゲットの整理を行う事が可能となる。(※図①)

ターゲットを関係者で共有するために有効な「ペルソナ分析」。
ターゲットをわかり易く記す手法に「ペルソナ分析」がある。ペルソナとはラテン語で「仮面」と言う意味で、ペルソナ分析はあたかも実際の人物が居るかの如く「架空の人物を設定」して、自社が狙うターゲットを具体的人物として定義したものをいう。
文章と同時に、ターゲットをイメージする写真などビジュアルを用いて、関係者の間でターゲット像を明確に共有する分析手法である。
実際の顧客には、さまざまな人が当然のことながら含まれるが、「ペルソナ分析」ではセグメンテーションに基づき、最も価値の恩恵を受ける重要な人物像、つまり中心となる顧客に焦点を当てることによって、ターゲットを具体化して明確にするメリットがある。ちなみにペルソナ分析という言葉は昨今では良く知られているが、この言葉が一般化する前から、筆者が経験した広告業界では、ターゲット像をクライアント企業に分かりやすく提案するため、こうした作業を行い企画書に書いていた事が懐かしい。(※図②)

ペルソナは「ニーズとKBF」を明らかにする。
ペルソナを実際に行う際には、架空の人物を書き記して作文する。先ほどもお話ししたように、ペルソナは昨今では良く知られるようになり、様々なマーケターが作文をしてイメージ写真を貼りつけ、分かりやすい資料を作成するようになった。しかし中には往々にしてフレームワークに沿っていない、ある意味「勝手な想像の思い込み作文」をしているケースもある。

ペルソナの作文に必ず入れて欲しい2つの要素は「ニーズとKBF」である。
つまりセグメンテーションで明確にした「顧客ニーズ(不の字)」、そしてその顧客が当該製品を買う時の購入決定理由である「KBF」の2点である。今までもこの2点は度々お伝えしているが、それだけ重要な要因であるため、再三にわたりお伝えしている。
筆者はこの2点を「ペルソナの言葉」として、架空人物が「どんなニーズを持ち、購入時に重要視している決定理由は何か?」を、分かりやすく言葉にしている。その上でペルソナのプロフィールを属性で付け加えている。(※図③)
先ずはここまで作文することが出来れば、ペルソナの概要となる根幹は完成したと言っても過言ではない。

ペルソナを更にブラッシュアップするために。
では先のペルソナを更にリアルに作文するには、どのようなステップを踏めば良いのか。
それは「ヒアリング」にある。このヒアリングは、コストと時間をかけたフォーマルな市場調査でなくても良い。先ずは「半径5mの市場調査」をお薦めしている。これは自分自身の周辺で、ペルソナに近い人物にヒアリングをすると言うものである。その結果を参考にしながら、ペルソナの「性格・ライフスタイル・価値観=定性情報」を作文して付け加えていくという加筆方法である。
一方でダイレクトマーケティングの世界ではVOC(Voice Of Customer)、つまりデータを活かして「顧客の生の声を反映させる」事が出来る事は大きい。
新商品の場合には、過去のデータの中からサンプルを抽出して「アンケート」や、更に深堀をしたい場合には「電話調査」を通じてヒアリングを行えば良い。
既存商品の場合には過去の購入者データから、比較的多く買われている属性はすぐに分かる。従ってその顧客がどんなニーズを満たしているのか、そして購入時の意思決定要因は何だったのか、ヒアリングをかけることでターゲットの深堀を行い、より顧客の琴線に触れて、より顧客獲得を図ることが出来る「クリエイティブ開発=売り場開発」が可能となる。
ペルソナをブラッシュアップして、よりリアリティを持たせるには、絶対に想像による作文をするのではなく、必ず「ヒアリングによる事実」を活かして作文を膨らまし、精度の高いペルソナを完成させて欲しい。(※図④)

※次号Vol⑧は、「基本戦略STP:ポジショニング」と題して、狙ったターゲットに対して、自社製品の魅力付けをどう行うのか。ブランディングの観点も取り入れながら、ポジショニングのセオリーをお伝えする。

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