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スキーリゾートから見たITの可能性

アベノミクスの「観光立国」戦略によるインバウンド6000万人計画もコロナの影響で消し飛んでしまい、あちこちで見られた外国人観光客も消えてしまいました。
しかし、コロナが終息し、いずれインバウンド観光客が以前のように増えるものと信じています。
コロナ前の観光統計を見ると、外国人観光客の消費額は、東京だけで全体の35%、上位5都道府県(東京・大阪・北海道・京都・福岡)で全体の70%以上を占めています。この傾向はそれ以前から長く続いているものです。
さて日本の観光資源に目を移せば、歴史、文化、食、自然とたくさんありますが、未だに「日本=歴史」「京都=寺」「食=寿司・ラーメン」では世界の人たちの多くから見れば日本は「一生に一度、行けばいい場所」になってしまいます。
京都の寺社仏閣を何度も訪れたいという寺マニアがどれくらいいるでしょう。

日本には、鹿児島県の屋久島、青森県と秋田県にまたがる白神山地、北海道の知床、小笠原諸島という4カ所の世界自然遺産があります。その自然が観光資源としてまったく活かされてないのが現状だと思います。
自然観光は大きく分けると「海」か「山」かと言うことになりますが、特に山岳リゾートが観光資源として活かされていない、が故に大きな可能性があると見ています。

日本は海に囲まれてマリンリゾート開発は発展してきたかも知れません。しかしマリンリゾートは競合も多く、東南アジアやグアム、サイパン、ハワイなどと競合しなければなりません。
沖縄も冬は意外と寒く泳げないのですが、アジアのビーチリゾートであれば「常夏」ですし、「海外気分」も味わえ、「物価も安い」、しかもLCCで飛べば沖縄より安く行けたりして・・「海」ではそういうリゾートとの競合となります。

私はダイビングもサーフィンもスキー、トレッキングも少しやりますが、最近日本の観光資源について考える中、「山岳リゾート」こそが日本の宝ではないかと強く感じます。
コロナ前、冬のニセコに行くと、外国人ばかりでした。春節の北海道スキーリゾートは中国からの観光客にジャックされます。
富士山を横綱に2000mを超える山々が連なる日本列島、火山が作り出す複雑な地形、湖沼、地中海と同じくらいの緯度に降り積もる雪。高温多湿から生み出される複雑な自然体系。
夏は登山にトレッキング、秋は紅葉、冬はスキー、春は新緑に桜と1年を通して見どころやアクティビティがあるのが山岳リゾートです。
お隣韓国には2000mを超える山はほとんどなく、降雨降雪も少なくほぼ岩山らしいです。火山もなく(済州島は火山島ですが)、雨が少ないので湖沼もほとんどないとのこと。韓国から登山目的で来る観光客も増えているというのも納得です。

特にスキーリゾートはマリンリゾートと比べて「閉じた経済圏」であることが多いのでITが入る余地が大きいと感じます。
この冬訪れた北海道にあるKリゾートではリフトチケット、レンタル費などをRFIDカードで管理しており、Web上で購入レンタル申し込みが出来るようになっています。初回にWeb上で顧客登録をしてリフト券やレンタルを購入、メールで届くバーコードをスキー場の端末で読み込むとRFIDカードが発券され、以降はWeb上で追加で購入するリフト券などは自動的にカードと紐付けられます。

おお、なかなか良いスキーム!・・と思いきや・・
ところが顧客登録やカード決済画面がもうこれダメダメで初回登録ではかなり苦労しました。スマホで操作しているのにカード決済画面が急にPC画面になったり、ボタンのテキストが背景と同色で読めなかったりとなかなか楽しめました。この苦労を楽しめず、Web購入に挫折した方も多いのでは。(挫折しても現地のカウンターで買えます)
またこのカードが使えるのは残念ながらリフト券とレンタルショップだけでレストランや物販店では使用できません。スキー場内レストラン、物販店ではすべてID、QUICPayやQR決済ができるのはスキー場としては進んでいるのですが、せっかくのRFIDカードで支払い完了すればもっとスマートですし、マーケティングデータも貯まり、様々な施策の可能性が広がります。

例えば日本のリゾートでは休日と平日の較差が大きいのですから、毎日リフト券代や飲食代が変わるダイナミックプライシングも可能になるでしょう。リフトやレストランに並ばなくて良いプレミア会員はどうでしょう。

コロナ禍が終わればやがてインバウンドも元に戻り、観光地によっては観光客が来すぎるというオーバーツーリズムも必ずまた問題になることでしょう。
スキーリゾートは閉じた経済圏ゆえに、顧客の行動データから観光地の抱える様々な問題を解決できるマーケティングデータが手に入りますし、今まで見えなかったものが見えてくるような気がします。
インバウンド大国、観光立国日本になるためにはITをフル活用して、日本モデルを輸出できるようになると良いですね。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 斎藤 賢治

(株)クオカプランニング取締役会長
2001年お菓子パンの材料道具販売「cuoca」を立ち上げ、EC・リアル店舗・卸販売・レッスンスタジオとオムニチャネルを実践し最大32億円まで成長させる。食品の商品開発からプロモーションなどを得意とする。


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