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「儲かる順に」 Doプランの費用対効果

クライアントさんのECの経営者や権限を持つマネージャーの方々と様々な「雑談」をしながら夕食を共にする機会も少なからずで、この「雑談」が意外にも(そして心外にも)好評です。昼間に行う具体策を伴ったコンサルティングのメニューなどについては自社のスタッフに聞かせておいて、経営者自身は話半分程度にしか聞いていないのに(ここが心外なところなのですが・・・)夕食時の諸々の長時間に渡る「雑談」を全て録音していたり、居酒屋にメモを持ってきたりする経営者も少なからずだったりしています。(苦笑)

笹本としては多くの時間を費やして調査や分析を行った結果としてクライアントさんに持って行った「昼間」のコンサルティングメニューよりも、こなれた雰囲気の中で何の資料も根拠もないまま適当にしゃべっている方が「経営者の皆さん」の役に立っているのは嬉しいことでもあり、少し悔しいことでもあります。以前、笹本との夕食の際には必ずメモを持ってくるクライアントさんに「なぜメモを取るの?」と率直に尋ねたところ、「(以前から経営者さんご自身が)考え続けていたことがまとまるから」という答えだったので、その後は「雑談」の中にもごく基本的なコーチングの要素を取り入れたりSWOTを聞き出すテクニックをチョイと入れたりはしていますがっ。(笑)

経営者の皆さんは本当に「いつでも いつでも」社業のことを考え続けていると思います。常時において社業のことを考え続けているので「やりたいコト/やらねばならないコト」は既にご自身が充分に分かっているケースがほとんどです。でも「今、何をしたら(一番)良いか」を決めてこれを行動に移すことはとっても大変なことであることも間違いないでしょう。
 今 何をしたら良いか を決めること自体は最終的にはそれぞれの経営者ご自身が決めることであって、コンサルタントの立場は「決心=判断」の材料を提供しているに過ぎないと思っています。コンサルタントは経営に付随する責任を取れる立場にないので、それ以上のコトは申し上げてはいけないと思っている次第です。

だからこその「雑談」なのですが、今までとても多くの“夕食”=雑談的なご相談を受けてきた経験則をブレイクダウンすると「何をしたら良いか」という“悩み=ご質問”は「大別すれば2つ」の内容に分けられると思います。

A・何から手を付けていいかが分からない状態
=様々な選択肢や課題/あるいはDoプランは見えているがDoの優先順位が見えていない状態
B・何をすればよいか自体が分からない状態
   =何がわからないのか が 分からない状態

上記Aタイプのお悩みについて前述では“分からない状態”という表現を使いましたが、厳密に言えば“分からない”のではなく「ある程度見えてはいるが決心/判断にいたるまでの“整理”ができていない状態」だと思っています。このケースのご質問に対しては、いつも決まって【 儲かる順 】にやって下さいと言っています。簡単でしょっ。(笑)でもこれだけだと読者の皆さんに叱られそうなので補足させて頂きます。

実は「儲かる順」という簡単なコトバは、笹本もかなり長い期間をかけて考え続けて導き出した一つの回答でもあるのです。儲かる順を考えることとは「Doプランの費用対効果」をきちんと“整理”してみることに繋がります。〇〇をすれば確実に〇〇円儲かるという図式が明確に見えていれば、経営者のみならずどんな人でもこれをDoに移すはずです。(笑)でもこの図式が見えないからこそ=費用対効果が整理できていないからこそ、考え続けている状態になっているのではないでしょうか。
もちろん経営者の方々が決心/判断に至る際には「全ての事柄が明確に見えている状態」はごく稀なケースです。日常のほとんどが充分には判断材料を持たない環境で様々な判断をされているので、逆に言えば「ある程度まで見えてくれば」「ある程度まで費用対効果が想定できれば」それで充分だとも言えます。だからこそ雑談にて「整理の仕方」のヒントを申し上げるだけでDoプランに移せるようになるとも思うのです。

Doプランの費用対効果を考えて頂く際に(飲みながら(笑))いつも申し上げることとは、

 「どれぐらいの負荷=労力/人員が必要と思いますか」
 「では業務負荷までを含めてどれぐらいの費用がかかりますか」
 「うまく行った場合“少なくとも”どれぐらいのリターン(売上や利益の向上)が見込めますか」
 「どれぐらいの期間が必要ですか」
 「どんなリスクがありますか」
 「じゃ、何割ぐらいの確率で成功しそうですか」
 「仮に失敗した場合、会社の危機になりますか」  
大体こんな感じです。

でも全ての項目を尋ねるのは稀かも知れません。察しの良い経営者の方々は、費用はどのぐらい?期待できるリターンは?成功確率は?あたりの3つをご自身で“整理”して頂くだけでGo/Dropの判断ができてしまう様な・・・。実はこの設問は「どの部分が見えていないのか」をブレイクダウンして把握して頂く意図も持っています。人的な労力や必要なスキルの部分が見えていないために判断するに至らないのか、期間やリスクが見えていないのか、あるいはリターンが見えないために判断するに至っていないのか、等について「将に整理」して頂くのです。
具体的にどんな項目についての判断材料が足りないのかが分かれば、後は不足している部分を改めて確認するだけの話です。場合によっては外から見積を取ってみたり、社内のスタッフに改めて聞いてみたり。これで「何が分からないのかが分からない状態」から「何が分からないのか?が分かった状態」になります。ちなみに「成功確率」と「つぶれませんか」の設問ですが、未来は誰にも分かりません。これは経営者ご自身に課題案件への「パッション」を再確認して頂くためのもの。ウジウジ状態のお尻を叩くためだけの設問なのですが、ハッと我に返るのごとくかなりの効き目がある様です。(笑)「儲かる順」を考えて頂くにあたって、案件/課題ごとに前述のようなワーク?のごときお話をさせて頂いたりしています。

もう一つ補足しておきます。実は前述の設問のやりとりでは、笹本は何も具体的なアドバイスをしていません。
単純に言えば質問しただけなのです。元々、経営者の方々は「まだはっきりとは固まっていないが」「既に」「ご自身で」「その答えを持っている」場合がほとんどの様に思えます。それぞれの商品やサービス、そしてお客様やマーケットを一番良く知っているのは「そのご商売をされている方」だと思います。また、自社の能力やスキルあるいは価値を一番よく知っているのも経営者の方々です。そしてECの様々なノウハウや情報も持たれている方々でもあります。
もちろんコンサルタント視点での様々な具体的なアドバイスや様々な提案を充分に準備することが前提ですが、経験則から申し上げれば経営者の方々が「既に持っている答え」を固めてゆくお手伝をすることによって導き出された“答え”の方が結果として最適解に近かった様に思えます。
 ある意味では「自分の考えていること」を「まとめるための」話し相手として笹本を使っている様な・・・。ここが大変嬉しくもあり、一方で心外な部分でもありまして・・・。経営者ご自身がアイデアを見つけたり考えをまとめることができればいいので、コンサルタントとしての具体的な提案やアドバイスは単なる「たたき台」や「きっかけ」扱いになってしまうことも少なからず。やってもらえれば必ず成果が出る“課題”を持って行っても、なかなか消化してくれない場合も。人に言われた課題よりも、自分で見つけたアイデアの方がDoの優先順位が高くなってしまうのは無理からぬことだとは思いつつも、ここが少し心外なところなのですが。(笑)

 変化の激しいEC業界にあって、ECプレイヤーが取り組むべき課題もどんどん増えているかと思います。限られた予算や人員の中で、どの課題に優先的に取り組むべきかを判断するための材料を準備しておくこともコンサルタントとして必要なスキルなのではないでしょうか。齟齬を恐れずに申し上げれば、ダメ出しや提案までは誰でもできることなのではないかと・・・。そのダメ出し=課題や提案を受けとった経営者の方々も、目の前で話を聞いているわけですから全く興味がないということではないと思います。その提案などについて、一応は“お役立ち情報”として捉えながらも、「決心/判断ができない」あるいは「たくさんのお役立ち情報=課題」の中でどれから取り組むべきか“迷っている”のがほとんどの様に思えます。
諸々の課題に対して、今はやらないという明確なNo(=明確に判断できた状態)という答えを聞いたためしがないことも事実なのです。限られた予算や時間あるいは人員などを鑑みながら、どの課題に取り組むかが決められない状態とも言えます。これらの“課題”を「他社からの提案と見積書」や「WEBに掲載されている商品やサービスの内容と料金表」などに置き換えて考えてみて頂くのも宜しいかと思いますが、これらについての知見を提供するだけでなく決心してそして行動して頂けるまでの後押しを以ってこれをDoに繋げ、Doした結果として「成果が上がる」ところまでをケアできるコンサルタントでありたいと思っています。

 「儲かる順は?」という設問には、もう一つの意図があります。先に例を挙げさせて頂くとex.引っ越し屋さんは一般人に比べて引っ越しが/効率よく=ローコストで/早く/上手に/確実に/高いクォリティーで・・・etc.できるから引っ越しで商売ができます。パン屋さんは一般人に比べて美味しいパン造りが(~以下同文)。つまりプロであるex.引っ越し屋さんは、引っ越しという「作業」に対する損益分岐点が低いと言えます。作業に対する損益分岐点が低いからこそ、引っ越しをすることで儲かるという構造を持っているわけです。
Doプランの優先順位を考える上で、作業の損益分岐点の低い部分=隠れたストロングポイントを見つけることは大変重要です。他社に比べて「それほど負荷を感じずに」「楽に」「あまり予算をかけずに」こなせる課題を見つけてあげることが、費用対効果の高いDoプランに繋がるのではないでしょうか。

儲かる順は?という設問の答えの中には「その会社が持つ“隠れた“強み」を見つけるヒントがたくさん詰まっています。

JECCICA特別講師

JECCICA特別講師 笹本 克

全国各地で有名ネットショップを輩出。自治体・関連団体にもEC関連の講演や講師を務め、DeNA、Yahoo!Japanショッピング事業部へのレクチャー、ドリームゲート起業講座の他、コンサルサイトの累計約600社、多業種でのコンサル実績も豊富。


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