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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol⑩ 具体的施策(4P):製品戦略

STPが決まればおおよその方向性は決まる
これまでのまとめは、市場環境分析を行うことで、自社の強みが活かせて競合に勝てる、「同じニーズを持つ集団=細分化」を発見。その集団にはどんなターゲットが居るのか、仮想人物を描くペルソナを作成し、ポジショニングで「顧客から見た時の優位点(優位性)」であり、言い換えれば「顧客に対して行う価値ある印象創り」を行うとお伝えした。
つまりSTPを整理すれば、「誰に?どんな価値を提供するのか?」という、コンセプトを導く事が出来る。何度もお伝えするが、「顧客はコンセプトを購入している」という理解で、自社のECサイトを設計して頂きたい。そしてコンセプトが明確になれば、4Pの方向性はおおよそ決まってくる。(※図①)

4P:マーケティングミックスとは
STPで抽出したコンセプト、つまりターゲットに対する魅力の打ち出し方を見つけたら、今度は具体的施策、つまり実行プランとして4Pを行う。4Pとは「Product(製品)」、「Price(価格)」、「Place(販路)」、「Promotion(売り方)」の4つの要素を、STPで導いた基本コンセプトを踏まえて整合性を図りながら、最適な組み合わせを行うことである。(※図②)

この実行プランで一つ留意する点は、4要素をバラバラでやらない事である。往々にしてあるのは、4Pがバラバラに行われるケース。製品開発は自社の技術ありきで開発部門が進め、価格は調達部門や営業部門が製造原価や競合視点を意識して決めることが多く、販路は営業部門の理論で既存のチャネルが優先されるため、新たな販路開拓には慎重であるし、売り方は広告宣伝部主導で行われる。こうした整合性が低い4Pを行うと、顧客に対する価値がうまく伝わらない。更に言えば、こうした4Pを行うという事は、STP自体も明確でないケースが殆どである。整合性のないプランを行うことを阻止するためにも、「マーケティングを俯瞰で捉えるマーケター」が、全体をバランス良く見て「市場環境分析⇒基本戦略(STP)⇒具体的施策(4P)」という縦の整合性と、「4P」の横の整合性を図る必要がある。

製品の価値を整理した「プロダクト3層構造」

製品戦略を考える場合に、何から考えたら良いのか。先ずは価値を整理し、その構造を明確にすることである。製品は顧客にその価値を認められて「商品」となり、その商品の印象が明確になって、顧客から無くてはならない商品となると「ブランド」として認識される。
顧客ニーズ(不の字)を満たす価値の提供、つまり顧客をハッピーにすることが、マーケティングの本質である。その価値を整理する上で重要なフレームワークが「プロダクト3層構造」である。この3層とは「中核」、「実体」、「付随機能」に整理される。
先ず「中核」とは、顧客が対価を支払って手に入れたい基本となる便益である。つまり何のためにその製品を購入するのかを意味する。次に「実体」とは、製品の中核を実現するために欠かせない構成要素である。つまりその要素を外してしまうと、製品として成立しない要素を示している。そして「付随機能」とは、製品の中核には直接的な影響は及ぼさないが、その存在でより大きな魅力が高まる要素である。例えば自動車を例に取ると、プロダクト3層構造はこのチャートのように整理出来る。(※図③)つまりその時代や自動車の普及に応じて、求められる価値は変化している。また製品の価値構造は常に不変であるわけではなく、顧客のニーズや競合との関係など市場環境よって変化する。

プロダクトライフサイクルとプロダクト3層構造の関係
人間にも生まれてから亡くなるまでの一生があるのと同じで、製品にも同じようなプロセスがある。この流れを整理したフレームワークが「プロダクトライフサイクル(PLC)」である。
4つのプロセスから構成される。製品が市場に登場したばかりで認知が低い「導入期」。製品が急速に市場に普及する「成長期」。製品がおおよその市場に普及する「成熟期」。そして売り上げが急激に下がる「衰退期」である。この4段階毎で、市場への普及率が高まり、取るべき作戦が変わってくる。(※図④)

同時に先のプロダクト3層構造を照らし合わせると、市場の浸透に従って製品を構成する価値の要素が、「中核」から次第に「実体」そして「付随機能」と、外へ移行するのが一般的である。この組み合わせによって、顧客に伝える要素が変化してくる。つまり「今、勝負のしどころは何処なのか?」を明確にすることが可能となる。

顧客の言葉でより製品価値を明確にする「製品コンセプト」
先のプロダクト3層構造で、その製品の価値が整理されることをお伝えしたが、プロダクト3層構造は、製品価値を「売り手視点」で定義付けた言葉であるため、言わば分かりにくい。そのため顧客に分かりやすく伝わる言葉として「買い手視点」で定義付けた言葉に変換する。これを「製品コンセプト」と言って次の3要素で整理する。(※図⑤)

① ターゲット(誰が使うのか?)
② シーン(いつ、どこで、どのように使うのか?)
③ ベネフィット(主な価値は?)
製品コンセプトで言語化する意味は次の3つである。
① STPとの整合性が分かりやすい。
② 社内で関係者が共有する場合に認識のずれが無い。
③ 他の3つのP、特にプロモーションで伝える要素が導きやすい。
つまり製品コンセプトは端的に言えば、「誰が?どんなTPOで利用すると、価値があるのか?」を分かりやすく整理するフレームワークである。

※次号Vol⑪は、「具体的施策(4P):プロモーション戦略」と題して、顧客に伝えて販売を完結する売り方のセオリーをお伝えする。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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